水素分子の定積分 5-1 <AA||AB> | 化学の電子状態のブログ

化学の電子状態のブログ

ブログの説明を入力します。

本シリーズの略記号<AA||AB>は、次の積分です。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-1-1

 

<AA||AB>を求めるには、次のMullikenの近似式を使う方法もあります。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-1-2

しかし本シリーズでは、<AA||AB>を積分して求めます。

次の積分Iを求めます。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-2

()内の積分をI’とおきます。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-3

 

そしてIは次のようになります。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-4

I’は、「水素分子の定積分(4-1) 」で次のように既に得られています。
化学の電子状態のブログ-I-5-5

このI’を代入するとIは次のようになります。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-6

 

このIを電子2で積分します。

化学の電子状態のブログ-I-5-1-7
 

1.計算前の設定

●座標●
上の積分の式を見ると、核Aと核B、そして電子2の3個です。電子1はありません。ゆえに下のようなXZ平面を考えて座標を設定します。核Aと核Bの核間距離rABはボーン・オッペンハイマー近似より定数とします。

化学の電子状態のブログ-I-5-1-8

●XYZ(デカルト)座標と同焦点楕円球座標との関係
化学の電子状態のブログ-I-5-1-9

●変数の範囲
化学の電子状態のブログ-I-5-1-10

●体積要素
化学の電子状態のブログ-I-5-1-11

●電子軌道
テンプレートの関数には核Aと核Bに同じものを使います。次の規格化された水素原子の1s電子軌道を使います。

化学の電子状態のブログ-I-5-1-12
核A の関数は次のようになる。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-13
核B の関数は次のようになります。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-14


2.計算
Iを計算します。

化学の電子状態のブログ-I-5-1-15

rA2とrB2を再掲します。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-16

rA2+rB2は次のようになります。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-17

3rA2+rB2は次のようになります。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-18

 

Iに代入します。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-19

rA2は後で代入します。α=rAB/a0とおきます。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-20

 

ここでI''1、I''2、I''3を次のようにおきます。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-21

Iは次のようになります。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-22

 

そしてI''1、I''2、I''3を積分します。

 

I''1を積分します。

化学の電子状態のブログ-I-5-1-23

 

積分を計算します。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-24
MyLibrary 2-3-2  
化学の電子状態のブログ-I-5-1-25
マイライブラリー2-3-2を、μ→μ2、ν→ν2、と置き換えます。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-26

I''1に代入します。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-27

積分を計算します。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-28
MyLibrary 1-1-2
化学の電子状態のブログ-I-5-1-29

マイライブラリー1-1-2を、μ→μ2、と置き換えます。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-30

I''1は次のようになります。
化学の電子状態のブログ-I-5-1-31


水素分子の定積分 5-2 へ続く