原子価結合法とLCAO-分子軌道法(2) | 化学の電子状態のブログ

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積分値の計算は8PRO積分表より引用しますが、水素様原子の波動関数についても再確認しておきます。

原子番号Zの水素様原子の波動関数と3個の関数をあらかじめおきます。
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原子番号Zの水素様原子の波動関数は、次のように動径関数Rと球関数Yの積です。
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さらに球関数Yは、関数Θと関数Φの積で、次のようにおかれています。
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3個の関数R、Θ、Φは、それぞれ次のようなものです。

◎関数R(規格化されている)


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水素原子では原子番号Z=1
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◎関数Θ(規格化されている)
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◎関数Φ(規格化されている)

○虚数関数で表わす場合
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○実数関数で表わす場合


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※ここで問題

関数Φは虚数関数と実数関数の2種類あります。実数関数は表現が複雑です。これは固有関数および固有値という問題で、「1個のmの値に対して1個の関数が対応するのは虚数関数の場合だけである。」ということです。また、空間的に電子軌道がどのように結合しているかという場合は、実数関数を使います。

 

今回はXYZ座標上に、それぞれの電子軌道の電子の存在確立を描画しますので、実数関数の方を使います。n=1とn=2の場合を描画してみます。描画する前に下表で実数の波動関数を整理しておきます。

 

 

実数の波動関数 (極座標)

 

実数の波動関数 (XYZ座標) 
実数の波動関数を極座標(r, θ, φ)で表わしていますが、次にXYZ座標( x, y, z )で表わしてみます。

水素原子のシュレディンガー方程式を解く前、最初に次のように座標を決めました。

変数分離で並進運動は分離したのでX’Y’Z’座標は除外します。そしてXYZ座標表示で、電子( x1, y1, z1 )、陽子( x2, y2, z2 )とおきます。重心は原点( 0, 0, 0 )です。

電子と核は、常に互いに原点の反対側にいて、電子が核に衝突しないことが分かります。

次にrが限りなく小さくなる場合、下図のように核の実半径が無視できなくなる程度まで電子が近づいた場合を想定してみます。ここまでrが限りなく小さくなると、電子は急激にrの6乗の反発力を核から受けます。ゆえに通常の電子運動では、核の近傍で電子は跳ね飛ばされ、電子が核に衝突することはありません。


換算質量は次のようにおいています。

そこで次の様におきます。


図中のr1は次の様に表わせます。

XYZ座標の電子( x1, y1, z1 )は、極座標(r, θ, φ)で次の様に表わせます。

今、電子の状態だけを使っていますので、電子の座標を( x1, y1, z1 )→( x, y, z )と簡略表示にします。次の様に表わせます。

そして実数の波動関数を、XYZ座標( x, y, z )表示にします。

表中μeの値は10の8乗レベルで限りなく1に近い。一方、電子は核にrの1乗の静電的引力を受けていますが、前述したようにrが限りなく小さくなると急激にrの6乗の反発力が作用し電子は跳ね飛ばされます。つまり定常状態では電子は核にぶつかりません。ゆえに通常、表中のμeも1として問題ないと思われます。
逆に電子を核にぶつけるためには、加速器での電子加速・核爆発+確率論という新しき理論の台頭が必須です。

 

実数の波動関数は、XYZ座標の軸に対応していることがわかります。

 

 

 

電子軌道の描画

1s軌道
化学の電子状態のブログ-2-9

2s軌道
化学の電子状態のブログ-2-10
2p軌道
化学の電子状態のブログ-2-11