露伴先生とルーヴル行ってきました | なぁ助の勝手にレビュー☆

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プライムがやたら推してくるので、露伴先生がルーヴルに行ってくるのを見届けてきました。

 

映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』

岸辺露伴 ルーヴルへ行く

 

あたし、ドラマシリーズの「くしゃがら」が大っ好きなんだよね。でも、ルーヴル編は映画館に行った友人の反応がイマイチだったんで、あんまり期待してなかったの。

 

で。アマプラで見たけど、良かったと思う。ストーリーも構成もわかりやすくまとまってて、おもしろかった。

 

以下、大いにネタバレです。

 

  映像・演出

たしかに、映画館に行って見るメリットは、あんまりないかもしれないな、とは思った。

てか、引きこもりのあたしは滅多なことでは映画館に行かないから、判断基準としてあんまり参考にはならないと思うけけどね。

 

でも、特に映像や音楽に力入れてるって感じじゃなかったかな。

ルーヴルのシーンも、せっかくのロケだったんだし、もうちょっと迫力出せる方法はあったかな、って感じがする。パリの風景も、映画っていうより、観光映像的なショットっぽかった。わざとそうしてるのかもしれないけど。

 

あえて言うなら、あたし、サモトラケのニケ像が、とにかく大好きなんで。あそこが何度も出てきたのはうれしかった。でも、せっかく出すならあんな何回も出さなくていいから、あの圧倒的に高貴で静謐な空間をばーんと、印象的に写してほしかったっていうのはあったなぁ。

 

実は、若かりしころ、パリに1年住んでたことがあって(あ、これ、人生でほとんど何の役にも立たなかった黒歴史なんだけど)、そのときの数少ないよい記憶の1つが、このサモトラケのニケ。

旅行者がほとんどいない閑散期の早朝にルーヴルに行って。ほとんど1番乗り的な?

絶対にまずニケ像を見る!って決めてたんで、ニケスペースに直行。誰もいないルーヴルのニケ像の展示は、とにかく、とにかく、素晴らしかった。(語彙力💦)

張り詰めたような、透き通った空気に満ちていて、白い階段の下から見上げると、ただただ高貴なニケの姿。鑑賞するというより、肌で受け止める感じ。

いやー、あれはもう一度体験したい。

 

ということで、せっかくのルーヴルだったし、もうちょい広さとか迫力とか感じるショットがあってもよかったなぁ、とか思っちゃった。

 

あ、でも、ルーヴルの地下のシーンは貴重だね。さすが、もと宮殿だけあって、じめっと陰鬱で、秘密めいていて、ミステリー・ホラー的な舞台としては最高でした。あの華やかなルーヴル美術館の下にこんな「陰」の空間があるのかと思うと(あれはリアルにあるんだよね?)、なおさらテンションあがる。しかも、そこに常時待機している消防士がいて(設定なのか現実なのかは不明)、「彼らは隠し通路もすべて把握してます」とかいうセリフがある。「隠し通路」とか、ちょっとわくわくしちゃくよね。で、実際の映像も確かに迷路っぽくって隠し通路がいっぱいありそう、っていう感じ。すごく説得力があった。

まあ、そんな湿気の多いところに美術品を貯蔵したらまずいでしょ、とかちょっとツッコミ入れつつ爆  笑

 

  ストーリー

ストーリーは、大きくわけで4つの場面から成っていて、

 

・現在の岸辺露伴パート(杜王町)

・17歳の露伴先生回想パート

・現在の岸辺露伴パート(パリ)

・謎解きのコアとなる250年前の江戸時代パート

デビュー前のまだ若かりし露伴先生が、奈々瀬という不思議な女性から聞いた「この世で最も黒く、最も邪悪な黒の絵」をめぐるミステリーホラー。

 

江戸時代に山村仁左右衛門という無名の絵師が描いたという「黒の絵」。露伴先生は、その絵の話のことは、すっかり忘れていたんだけど、ふと見た画集がきっかけで思い出し、好奇心に煽られ、その真相を突き止めるためにルーヴルへと向かうという流れ。

 

前半パートでは、仁左衛門につながる絵のオークションで怪しい人物と競り合ったり、その絵を見た人間が変死したりするなど、謎を掻き立てるような演出があって、それがいい感じに謎解きに繋がってた。アマプラで「ミステリー・ホラー」ジャンルになってたから、ええ?って思ったけど、本当にミステリー・ホラーでしたよ。

 

で、正確な時間配分はちゃんと確認してないけど、

体感的には、杜王町シーン1/4、回想シーン1/4、ルーヴルシーン1/4、江戸時代シーン1/4って感じ。

前半、結構長めの回想シーンで、なっかなかルーヴル行かないし。

行ったあとは結構ちゃちゃっと解決して、謎解きシーンがわりとゆったりあった印象。

もしかすると、回想と江戸時代はもっと短かかったのかもしれないけど、内容的にも演出的にも濃かったから、体感満足度が高かった。

 

なので、露伴先生をたっぷり堪能するというより、ミステリー・ホラーを楽しむ感じかな。あたしとしては無理に露伴パートを引き伸ばして「岸辺露伴」色を出そうとするより、エンターテイメントとしてまとまってて楽しめたから、満足ですね。

 

  キャスト

さて。ミステリーのきっかけとなった回想シーンは、流石に17歳設定だから、高橋一生じゃなくてイケメンの若者が演じてた。役者さんじゃないな、と思って調べたら長尾謙杜くんという、なにわ男子のメンバーだそう。アイドル疎くてすみません💦

 

頑張ってて好感持てる感じでした。芝居が初々しいから、木村文乃演じる奈々瀬に翻弄される感じが自然に出てて、うん。よかった。

 

でもね、個人的な好みとしては、高橋一生の演じる17歳が見たかったなぁ。「えー、高橋一生じゃないのかよ」って画面に向かって言っちゃったよ。舞台だったら絶対本人がやるじゃん? めっちゃ興味ある。まあ、でも映像では無理かぁ。高橋一生と木村文乃がからんだら、どうしたって大人の魅力になっちゃうかぁ。初々しさを出すという意味では、長尾謙杜くんで正しい選択だったとは思います。はい。客観的には。

 

逆に、江戸時代パートの仁左衛門が、なんと高橋一生の1人2役でびっくりだったわ。ちょんまげ&さかやき似合ってた飛び出すハート

 

かつて出会った謎の女性 奈々瀬は、実は露伴先生の先祖であり、仁左衛門の妻だった人で、仁左衛門の絵に込められた怨念を払ってほしくて現世に現れ、露伴先生を巻き込んだという種明かしがあるんだけど、まあ、この種明かしとなる「江戸時代パート」の高橋一生のお芝居の素晴らしかったことビックリマークビックリマーク

熱演でございました。

 

藩のお抱え絵師の家の後継ぎとして、純粋に好奇心旺盛に絵を楽しみながら家業に邁進する快活なシーンから、勘当され、次第に「黒」に執着するようになっていき、妻の病気をきっかけに、そのこだわりが狂気的になっていって、最後は目の前で病気の妻を撲殺されたことで完全に壊れるところまで。

 

こういうのやらせると天下一品だよね。

毒のないところから、狂気まで。

自然にできるのがすごいんだわ。

あたしの中では、江戸時代パートがいちばん印象深かった。

 

もちろんその前のね。ルーヴルでのクライマックスシーンも迫力ありましたよ。

 

ルーヴル美術館の地下倉庫で、仁左衛門の「最も邪悪な黒の絵」と対面するシーン。一緒に地下室に行って絵を見た人が、次々と幻覚に落ちていくのよ。その絵を見てしまうと、自分や自分の先祖が犯した罪が幻覚となって襲ってくるんだけど、ただの幻覚のはずなのに、その人自身に対しては、その幻覚が現実に起こって死んでしまうという、世にも奇妙な物語的な設定。

 

例えば、兵士に囲まれる幻覚を見た消防士は、「やめてくれー」って叫びながら倒れるんだけど、他の人には何にも見えてないわけ。その消防士が1人で勝手に暴れて倒れたようにしか見えない。幻覚だから。なのに、倒れた消防士を見ると銃弾で蜂の巣になってる。

 

案内役のエマは小さな息子を水難で失っていて、自分の責任だと思い詰めていた。だから、絵を見た途端、息子の亡霊を見ながら自分も溺れていく幻覚に陥る。水なんか全くないところで、大量の水を飲んで窒息寸前の状態になっちゃう。

 

その他、騙した絵師に襲われる幻覚の中で、殴られて死んでいくキュレーター。

炎に包まれて炎上した消防士。

そこにいる人たちが、次々幻覚に倒れていくわけ。

暗い密室での阿鼻叫喚。

 

そんな恐怖シーンを一通り目の当たりにした露伴先生。みんな幻覚に倒れて最後に1人取り残されるんだけど、これだけ恐ろしいことを体験してるのに、「過去の罪が見えるとするなら、自分には何を見るのだろうか。」とか考えながら、脂汗をかきつつ、ゆっくりと黒の絵の方へ振り向くんだよ。このときの高橋一生の顔、サイコーだったよ。まさに「怖いもの見たさ」を絵に描いたような表情。「いやいや、やめようよ。その好奇心」とかね。声にでちゃったよ。

 

で。露伴先生が振り返って見た絵には、かつて会ったあの奈々瀬が描かれていて、それを見た露伴先生の手がみるみる黒く染まっていって、妄想に絡め取られそうになる。まあ、そこは露伴先生なんで、九死に一生を得るんですけどね。怨念にも打ち勝つ露伴先生。さすが。

 

あ、でも、さらにウワテがいてね。

その、世にも邪悪な黒の絵を見たのに、何ともなかった人がいたんですわ。

編集者の泉京香。

さすがです。

ジョジョ的世界観の衣装やらリボンやらを平然と着こなし、なんともいえない存在感を放つ 飯豊まりえ。健在でした。

 

そうそう、衣装といえば。

あの、露伴先生の頭に巻かれている黒いバラン状のシロモノ。

初めて見たときは違和感しかなかったんですが、

今回はもう、全く普通に受け止めていた自分が怖かった。

もしかして、違和感を減らすためにデザインのマイナーチェンジしてるのかなと思って、第1期と映画の映像比較をしてみたんだけど、変わってなさそうだね。

あたしの受容力が上がったのか。

高橋一生がバランに寄せてきたのか。

いや、バランに寄せるって! なんだよそれ笑い泣き

とにかく、馴染んでたわ。いろいろ。

 

そして、個人的に気になる役者さんが出てたので、ちょっと「お」と思っちゃった。

最初の方で、露伴先生が落札した黒の絵を盗み、結局変死してしまった男がいたんですが、あの役者さん、去年だったか、とある舞台を見に行ったときに、ちょっと気になった役者さんだった。前原滉さん。応援してますニコニコ

 

  おまけ

ところで、なんで舞台をルーヴルにしたんだろうと思って調べたら、この作品。なんとルーヴルからのオファーで描かれてたんだね。

 

「フランスのルーヴル美術館とフュチュロポリス社が2005年より実施してきたBD(バンド・デシネ)プロジェクトの第5弾として、2009年に発表された荒木飛呂彦の漫画作品。」で、「新聞社を通じて、ルーヴルからオファーが舞い込み、荒木はこれを快諾した。」(wikipedia)

とありました。

ルーヴル美術館からのオファーっていうのはすごい。

 

しかも、他の参加作品がフルカラーだったからって、123ページをフルカラーで制作したとか!!

 

まって、その当時、センセってば50歳くらいだよ。すごいね、そのエネルギー。俄然原作に興味湧いてきたわ。あー、でもあんまり得意じゃないんだよなぁ、荒木飛呂彦センセーの絵柄キョロキョロ どうしよう。ただいま購入検討中デスグッド!

 

以上、「岸辺露伴ルーヴルへ行く」鑑賞報告でした。