死神代行消失篇
イッキ見終了。
いやあ、まずは誰もが同じ感想だと思うけど、まさか銀城が黒幕だったとは。ショックすぎる。あたし、銀城イチオシだったのに。
まあね、月島は見るからに怪しかったから、もう一人ホンモノの悪いやつが裏にいるかも、って思ったけど。
でも、初代死神代行だった銀城が、なんであんなに死神たちを恨みに思い、ここまでして復讐しようとしていたのかは、結局最後まで腑に落ちなかった。仮に死神代行証が監視と支配目的だったとして、確かに、それは純粋に死神の代わりに頑張っている銀城からしたら、えー、命を張って頑張ってるのに信頼されてないのかよ、って思うのはわかるけど、あそこまで恨むほどのことなのかなぁ。状況に対して「裏切り」っていう言葉が重すぎて、なんかちぐはぐな感じがしちゃった。もう少し、死神を恨むようなエピソードがあったほうがよかった気がする。
ってか、そのあたり、もっと深掘りできたらよかったのに、後半めっちゃ駆け足だったよね。尻すぼみ的な? ペース配分間違った? ってか、打ち切り系?
月島のフルブリング
それにしても、月島の能力はすごい。しおりのように、他人の過去に自分を挟み込む!
えー、作者天才? 記憶改ざんとか、幻術とかじゃなく。「しおり」かよ!! 「挟み込む」とか、ワードのチョイスがかっこよすぎる
この能力。本当に月島が過去に存在していた、というのがミソ。幻術だったら、存在しない過去を見せられているだけなんだけど、これは事実。つまり、月島は本当に相手と同じ時間を生きているから、相手の過去の情報収集もできちゃう。まあ、一種のタイムトラベルなのかもしれないけど、たんなるタイムトラベルとは違うんだよね。だって、何人もに同時に技をかけられるわけだから、過去に送りこまれているしおりとしての月島は1人じゃないわけだよ。で、おそらく、現在の月島は、それらすべての記憶を持ってる。タイムトラベルと、分身の術の合わせ技で、かつ、分身の記憶をすべて本体が共有している、という感じかな。もう、なにこのチート。神の領域。
そのうえ、1回斬って挟み込み、2回め斬ると元に戻る、つまり、しおりとしての月島がいた、ニセの事実はなかったことになる。でも、月島が収集した情報はそのまま利用できる。もうこれ万能すぎる。起きてしまったことをなかったことにするのは神でも無理なのでは? え、もしかして神を超えちゃった?
銀城の作戦
そして、月島のその能力をうまく使った銀城の作戦が見事。まずは、全員が月島に斬られることで、月島は裏切った敵という事実を作る。その状態で、一護に協力してフルブリングの力を身につけさせたうえで、一護の力を奪おうというもの。一護が完全にフルブリングを身につけたところで、再び月島に斬ってもらえば、本来の目的を思い出せるので、そこで一護から力を奪うという作戦。
自分も含めたXCUTIONのメンバー全員に、月島の技をかけさせておくとか。天才か! 仮に、XCUTIONのメンバーが普通に一護を騙そうとして修業に協力していたとしたら、あれだけ濃密に関わってれば絶対にボロが出たはず。でも、月島に斬られて過去が変わってるから、「月島が怪しい」のはXCUTIONのメンバーにとって事実なんだよね。そりゃ、一護じゃなくても騙されるわ。もう納得するしかない。
月島の悲哀
でも、この作戦って、種明かしされてみると、ただただ月島が孤独でかわいそうすぎる。だって、仲間からは寝返った裏切り者だと思われながら、たった一人でがんばらなきゃいけないんだよ? つらすぎる。1日や2日じゃないからね。ずっと1人。うっかりしたら、自分がかけた術のせいで仲間に殺されちゃうかもしれないんだよ。大好きな銀城が一護とセットで襲ってくるんだよ? ひどすぎる。そんなこと平気でやらせるの、ほんと、銀城はろくでなし。
なのに、着々と役目を果たしていく月島の健気さ。これ、惚れた弱みなのかね。盲目的に敬愛してる感じだよね。だって、白哉の攻撃で、体にホロウみたいな穴を開けられちゃって、絶対死んでるって思ったのに、重症の体を引きずって銀城の加勢にくるとか、「好き」が重すぎて怖いレベル。というかもはや依存症。確か言ってたよね。銀城が死んだとき。銀城がいなくなったあとの生き方を教えてもらってないとかなんとか……。結局、月島は銀城大好きな寂しがり屋ってことでいいのかな?
そして、自称舎弟の獅子河原に背負われて死ぬシーン。あれは悲しすぎる。そして、獅子河原がいいヤツすぎる。心の支えである銀城を失って絶望している月島の前に獅子河原が現れる。獅子河原は「月島さんのためなら死ねる」って、鉄砲玉みたいなこともやってきたんだけど、月島は、獅子河原なんて道具の1つとしか思ってなくて、銀城に命じられて獅子河原を殺そうとしていたんだよね。それが本人にバレちゃってたから、弱っている月島は仕返しされて当然なのに、獅子河原は瀕死の月島を背負って連れ帰ろうとするの。やっぱり尊敬が消えなかったんだよね。それで、月島は気づくのよ。銀城がいなくなっても、自分は1人じゃなかった、って。それが最期のとき。獅子河原が元気に話しかけている中で、静かに息を引き取るんだよね。
後半のこの辺りはもう、物語が「巻き」で進められていたのに、月島の死はすごく丁寧に描かれていたから、作者が大事にしていたキャラなんだろうな、って思ったよ。まあ、能力からしてかっこよすぎて特別扱いだったわね。悲しげな雰囲気とか、なんか、エスパーダのウルキオラを思い出したわ。
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それにしても、月島が献身的なのをいいことに、ほんと酷い作戦を立てたもんだよ、銀城は。名案だけどゲスい。
ただ、まあ、直前まで人でなしの権化のような愛染さまをずーっと見てきてたから、それからしたら、かわいいもんだと思えちゃうね。なんか、しかたないけど、アランカル編がもうキャラの個性が立ってて、敵もおっそろしくパワフルで、すんばらしい出来だったからね。異世界感満載だったし。
そこからすると、フルブリンガーは所詮人間だし、現世を舞台にしているから、ちょっと平凡感が出ちゃうんだよね。いや、平凡じゃないんだよ? 連載の初っぱなにこういうお話が出てきたら、おや?って興味持つと思うし、問題ないんだけど、壮大なアランカル篇のあとだったから、ちょっと落差があって、パワーダウンしたみたいに見えちゃってるかも。それはちょっと不運だなあ、って思ったよね。
しかも、キャラの掘り下げもあまりしないまま終わっちゃったしね。XCUTIONのメンバーは、パッと見ただけでも、みんな個性的だったし、それぞれに複雑な過去を抱えてるっぽかったから、アランカル篇のときみたいに、1人ずつフィーチャーしていくのかな、と思いきや、なんか、その辺の描写が不完全燃焼で終わっちゃたの、ホントもったいなかった。やる気満々でキャラ作ったのに、活躍させる場がないまま終わっちゃったっていう印象。当初の予定より回数が減っちゃったのかね。なんか残念だなぁ。という感じがしたよね。
ということで、今回はこの辺で。
全3回くらいに分けて、レビューする予定です
