ウェコムンドの戦い①では、
・グリムジョー vs 一護
・アーロニーロ vs ルキア
・ノイトラ vs 剣八
をレビューしたので、その続き
ザエルアポロ vs 恋次&雨竜
ウェコムンドでの戦いは、どれも並行して進んでたんだけど、最後まで長引いたのがザエルアポロ戦。
前哨戦は恋次と雨竜の凸凹タッグなんだけど、なぜかマジの戦闘中に、ちょろちょろ存在をアピールするペッシェとドンドチャッカのゆるさが秀逸。ペッシェはなんか馬の頭みたいな仮面、ドンドチャッカは南国の原住民の神様みたいなどでかいカラフルな仮面のヤツね。とにかく、本筋が実力伯仲で緊迫してて救いのない感じだから、それに対する配慮だと思うんだけど、ネル、ペッシェ、ドンドチャッカの3人がめっちゃいい味出してる。緩急が絶妙。あたし、実はバトルシーンにそれほど興味がないらしく、バトルシーンが長いと眠くなっちゃうんだよね。(自分でも何だそりゃ、って思うんだけど仕方ない)。だから、いい塩梅にお笑いシーンがはさまってくれて、飽きずに見ることができてます。
一護とネルの組み合わせは想定できたけど、恋次とドンドチャッカ、雨竜とペッシェの組み合わせは意外性があって愉快すぎる。いやもう、大好き。ドンドチャッカのボケが突き抜けてるし、それに対する恋次のつっこみスキルがだんだん上がっていく感じが、二人の距離が近くなってくのと比例してて好感度上がる。ペッシェはもう、人格的に破綻気味なのがよい。それを、一見四角四面の真面目人間に見えて実は天然でズレてる雨竜と組ませるあたり、センス抜群。ここまでお膳立てできてれば、あとはもう勝手にキャラが動いて楽しくしてくれるっていう感じがする。
あたしは、特にペッシェとドンドチャッカが決めポーズしながらバラバラに決めゼリフ言ってるヤツ。あれが好き。あれは何度見ても笑える。会話のテンポも絶妙。特にペッシェの声優さん。戦いの緊迫した場面で、最初の一音目から気の抜けた声なんだよね。張りはあるのに。一瞬にして場の雰囲気をゆるめる一声。すんばらしい。
あー、二人が好きすぎて脱線した。ザエルアポロでしたね。食虫花みたいに花がパクっと人を食べちゃうのかと思いきや、もぐもぐペッ、って吐き出されて、助かった~とか思ってると、その人のかわゆーいマスコット人形がポンッ!って出てくる。なんか液にまみれてるのがキモい。で、人形の胴の中にカラフルなジェリービーンズみたいなのが入ってて、それを1つずつひねり潰していくの! その1つ1つが体内の臓器を表していて、それが本人の臓器と連動してる。つまり、それを潰すと本人の臓器が潰れるってやつ。恋次も雨竜も完全に餌食になって弄ばれてしまって。
残酷すぎ。
ザエルアポロ vs マユリ
あ、でも、この残酷さを楽しむ感じ。加えて研究者といえば、あの人でしょう?
そう! こちらにはマユリさまがいらっしゃいます。満を持しての登場ですよ。
なんだろうね、ウェコムンドの戦いは、無鉄砲には無鉄砲を(一護vsグリムジョー)、戦闘狂には戦闘狂を(剣八vsノイトラ)、マッドサイエンティストにはマッドサイエンティストを(マユリvsザエルアポロ)、というイスラム教の教えのような対戦カードになってる
で、このえげつないマッドサイエンスの仕込み合戦ですけどね。混迷を深めます。マユリさまの金色疋殺地蔵は、相変わらずキモいし。毒薬は仲間も巻き込むし。もうシッチャカメッチャカ。いったんは勝利したかのように見えたのに、ザエルアポロもさすがのマッドサイエンティストぶりで、なんと、自分が捕まえている人物(=ネム)に自分を産み付け、ネムの霊力を栄養にして再誕生するという。はっきり言ってキモい。死なないのではなく、無限に誕生し直すことで永遠の命を可能にするという新しい発想。『動的平衡』(福岡伸一)を思い出したんですが。
毎回思うんだが、この作者さんのアイディアが計り知れなくて驚く。死すらも自分の生の一過程にしてしまうという、輪廻転生的ループを人工的に生み出すみたいな感じなのかなぁ。
死んでも何度でも生まれ変わるって、もう最強じゃない? これ、どうするの?って思ったら、なんと、マユリさま。常時ネムの体に毒薬を仕込んでるらしいっす。ネムが食われたり乗っ取られたりしたときのためにね。いや、倫理観のない科学者は悪魔だね、ホント。
この薬ってのが、また素っ頓狂で、その名も「超人薬」。時間をゆっくり感じさせる薬。剣が止まって見えるとか、そういう達人の域を人工的に体感できる薬だそうで、え、それって、相手に有利になっちゃうじゃん、と、混乱してたら、なんと、本来25万倍に希釈して使う薬を原液で仕込んでおいたと。なので、ザエルアポロにとっては、1秒が100年に感じるようになってしまってるらしい。ちょうど最近、『Witch Watch』でそれに似たギャクを読んだばっかりだったので、ちょっと笑っちゃったんですが、まあ、1秒が100年は笑いにもならないね。刃を向けられてからそれが自分に到達するまでに何百年もかかる。ほぼ静止しているようにしか見えない刃を見つめたままただただ数百年をすごすって、それはもうメンタル崩壊しますよね。案の定、ザエルアポロも「早く貫いてくれ」と懇願し、半ば喜びの中で貫かれるって最後でした。あのメンタルじゃ再誕生なんて考えられなくなってるよね。いやほんと、うまく出来てる。
てなわけでね、全戦闘において、からくも死神側が勝利したわけなんですが、なんと、この戦い、空座町に攻め込む準備ができるまでの、ただの時間稼ぎ。ウェコムンドに足止めさせて戦力分断させる作戦。そういえば確かに、今回の戦いで出てきたエスパーダは5番以下だね。死神側はけっこう戦闘能力高いのが来てるのに。まんまと愛染の策略にはまってしまって、ウェコムンド遠征組の死神たちは、ウェコムンドに閉じ込められちゃったんです。
空座町決戦は、どうやら主人公もヒロインもいない状態でスタートするってことね。さすがBLEACHです。それでもね、死神側もそれなりのキャラクターが残ってるし、バイザードも出張るのかな? ウェコムンドには一護と因縁のあるウルキオラもいるしね。
どうなっていくのか、楽しみだ~
