久々にマンガ読んで泣きました。
というか、気づいたら涙が出てて自分でビビった。
「ランフェイで笑って」全22巻
今日読み始めてね、さすがに読み終わるのにちょっと時間かかりそうだけど、それまで待ってられないから、とりあえず3巻読んだところでレビューしちゃう!
あくまでも3巻までのレビューだから、作品全体としては間違ってることもあるかも。それはそれで、読み終わってから自分で答え合わせをしようと思いますので、ご了承くださいませ。
まず、思ったのは、これは、いわゆる『スポ根モノ』だな、と。
絵はかわいげだし、女性ファッションの話で、冒頭女性モデルが主人公然として出てきてるから、少女漫画かな、って思ったのね、第一印象は。でも、中身がどうも女子っぽくない。
まず、ショーモデルを目指す主人公「千雪」が女っぽくない。というと、語弊があるんだけどね。身長は低いけど、細身のモデル体型の美人だし、振る舞いだって普通に女子なのよ、確かに。かわいいしね。なんだけど、話しているときの様子とか、男性に対する振る舞いとか、気持ちいいくらいフラットなんだな。自然体。女性的なところと男性的なところの塩梅がいいんだろうね。
で、生き様はめっちゃ男前
パリコレモデルという熱い夢があって、でも、「低身長」という、努力ではどうにもならないハンデを負っている。そして本気だからこそ、自分のハンデが絶望的に大きいことも痛いほどわかってる。いろいろあって迷ったり決心が揺らいだりするんだけど、でもやっぱり夢が捨てられない自分に気づいて、その夢が、もはや自分のアイデンティティなんだって自覚する。で、夢を追うことでしか生きられないってわかったら、もう「やるしかない」よね。
不可能に思える壁にぶち当たって苦悩しながらも、周りを知り自分を発見しながら少しずつ成長していく。これってもう、スポ根でしょ? しかも、才能あふれているのに致命的なハンデ背負ってるとか。もう定番中の定番じゃん!
それで掲載雑誌を確認したら『週刊少年マガジン』だったわ。少年マンガだったのね。ジャンプじゃないけど、努力、友情、勝利……ってことですかね。
で、でね。そういう出だしだったから、千雪の物語かと思いきや、ダブル主人公なのよ。ってか、むしろ、こっちが主人公なのか。少年マンガなんだから。
デザイナーを目指す貧乏少年「育人」。地味で目立たなくて自分に自信のない高校生。でも服を作るのが大好きで、実は天賦の才能を秘めてる。家庭の事情があって夢を追える立場になくて苦しんでる。
育人の家族がみんな愛情深くてね。お互いがお互いを思い合いすぎてて、かえってギクシャクしちゃってるパターン。子供4人を1人で育ててきた母は過労で倒れて入院中。長男の育人を筆頭に、学業優秀な長女とスポーツに秀でた次女、それからまだ5歳の三女。経済的に逼迫している中で、育人は家族の幸せを優先し、服飾系の学校への進学を諦めて就職を選ぶ。育人はファッションの道に興味のないふりをしているんだけど、家族はみんな育人がファッションデザイナーになりたいのを知っていて、その夢を諦めさせたくないと思っている。でも、自分の夢を追いかけていいよ、と言ってやれる状況にはなくて苦しんでる。
なんか、こうやって書くと設定ベタだなぁ、って思っちゃうけど、なんだろ、「ベタ」って感じがしないんだよね。多分、出てくるキャラクターが作り物っぽくないというか、この家族に限らずね、みんな人間味に溢れてるっていうか、人格がリアルで厚みがある。まあ、一言でいうとバランスがいい。
こういうところが、物語全体の魅力につながってるんだろうな、って思う。
だってね、158cmのランウェイモデルだよ?
素人でもわかる。それはありえない。まあ、昨今の風潮で、雑誌モデルなんかは体型のバリエーションも求められているみたいだけど、服を見せるためのショーモデルさんとしてはありえないよね。
ファッションデザイナーだってさ、いくら才能があるからって、いきなり新進気鋭のデザイナーの事務所に高校生が雇われるとか、ないよねー。
でも、そんな設定は些末なことなのよ。所詮フィクションなんだからね。つまり、物語というのは、現実をよりわかりやすい形で(誇張したり置き換えたりして)提示するものなんだから。大事なのはそこで展開する人間模様。それがリアルであれば十分に共感に値するのよ。
この作品は、それがなんかいい感じなの。
自分に自信がなくて、家族の生活もあって、「ファッションデザイナーになりたい」っていう気持ちをずっと封印してきた育人が、いろんな人に会って、怒濤の出来事に巻き込まれながら、自分の気持ちを見つめ直して、自覚して、最後の最後に「僕な、ファッションデザイナーになりたいんだ」って妹たちに言ったシーン。泣いた。気づいたら涙出てた。あっ、思い出しただけで目頭が。
最近思うのはさぁ、好きなことを「好き」って自覚するの、意外と難しいんだよね。「好きなことがない」っていうのは、実は好きなことはあるのに、それを「好き」って自覚できていないってことが多い。仮に気づけたとして、それを「好き」って自分から宣言するのも勇気がいったりするじゃない。ましてや、それで「食っていきたい」って言うのはさ、もう、どんな覚悟なの?って思うわけ。
だから、このシーンで「あー、育人、覚悟を決めたんだな」って思ったら、涙出てた。ここで物語終わっていいよ、っていうくらいの名場面だよ
まだなにも始まってないんだけどさ
少年マンガとしては、主人公=育人、ヒロイン=千雪、ってことなのかもしれないけど、千雪はヒロインっていうより、ダブル主人公ってスタンスで展開していってほしいなぁ、という願望あります。そして、この作者さんのふわっとしたあったかい雰囲気がそのまま生かされる形で最後まで行ってほしいなぁ、と願いつつ、残り19巻を購入するタイミングを見計らっているなぁ助でございます。
読破したら、またレビューします✨
