10. 内閣府モデルの乗数効果1.1は捏造。DEMIOSモデルだと2.4。「中央政府の支出のみを分母とした乗数」から「裏負担乗数」を引けば2~2.5。
藤井氏は冒頭で内閣府のマクロ計量モデル(公共事業の乗数1.1)を否定し、続いて「地方政府の裏負担乗数」を解説されています。「経済学的には邪道」との断りを入れつつ、過去の統計から独自の方法で「中央政府の支出のみを分母とする公共事業の乗数効果」を算出してみたら、1兆円に対する乗数は4~5兆円になったというわけです。
●5兆円の公共投資を継続的に増加させたときの乗数
画像はhttp://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/20130803-1.jpg より転載。
ご存知の通り、どのマクロ計量モデルを使うかで乗数効果の算出にばらつきがあるのですが、統計の専門家である藤井氏なりの方法で逆算し、「経済学で一般的に言われる一般政府の支出を分母とする公共事業の乗数効果」を2~2.5(内閣府の1.1は捏造データ)と結論づけたのだと思います。
1.「中央政府の支出のみを分母とする公共事業の乗数効果」は4~5だった
2.中央政府が1、地方政府も1、一般政府としては2を支出。裏負担乗数は2
3.逆算したら「一般政府の支出を分母とする公共事業の乗数効果」は2~2.5
要約すると上記の通りです。藤井氏の発言「 それを考えますと、大体、逆に言いますと2から2.5とかそんな感じですね。乗数効果で言うと 」について、私も今ようやく「 逆にいいますと 」の意味が分かり、逆算(裏負担乗数の影響を削除)することで導き出した「経済学で一般的に言われる一般政府の支出を分母とする公共事業の乗数効果」の方を言っているのだとの確信が持てました。この概算はDEMIOSモデルにおける乗数を補強する形になりますね。
まあ、ここまでDEMIOSモデルに近い数値だと、そうなるように操作した疑義は論敵の立場からすれば残って当然なので、rxtypeさんも私のここまでの説明で誤解が解けたなら、当該エントリーに訂正や追記を加えたあと、使用した統計の出典を藤井氏に求めてみるのがいいと思います。
ポルシェ万次郎 2014-09-05 01:21:32
12. Re:Re:内閣府モデルの乗数効果1.1は捏造。DEMIOSモデルだと2.4。
>rxtypeさん 1/2
>裏負担だけで乗数効果2になっているとしか解釈できませんが。
>これはどう考えても乗数効果ではないですね。
そこでいう乗数とは少なくとも、我々と普段馴染みのある「経済学で一般的に言われる一般政府の支出を分母とする公共事業の乗数効果」のことではありませんね。「経済学的には邪道」と前置きしたうえで、いわゆる「国の借金」、つまりは政府債務の増加を心配する財政破綻論者、財政均衡主義者へのカウンタートークと捉えるのがいいでしょう。
公共事業であれば中央政府が支出した分以上に、地方政府に支出させる分も各種効果が合わさり、やがて国庫に戻って来るだろう税収も意外に多い(デフレ期は税収弾性値まで高い)ことを付言しておきたいと思います。
>どう捏造なのかそこの分析が必要でしょう。
>捏造と言い張るだけじゃ何の意味もありません。
マクロ計量モデルについては、各種パラメーターの振り分けや解釈次第で結果にばらつきが出るシミュレーションです。その内訳や計算方法が何処かに公開されているのなら、それぞれのモデルを検証してみたいとは思っています。
私も藤井聡氏と同様に、まずは数あるモデルとの相対評価から、内閣府モデルは不当に低いと認識しています。逆に「マクロ計量モデルによる近年の結果では、1兆円の公共事業をするとほぼ1兆円のGDPが増えるという結果になる。乗数と呼ぶのもおこがましい」と主張される原田泰氏などの論者に対しては、どういった理由でその平均より大きく乖離したモデルが正しいと判断したのか、「公共事業や財政出動全般を過小評価するのに都合がいいから」以外の理由があるなら訊いてみたいです。
次に経験や常識(政府支出と経済成長率との相関が高い事実)から言っておかしいと、こんなものは反射的に主観でも判断できてしまいます。まさに「乗数と呼ぶのもおこがましい」おかしな結果は許容できません。これにピンと来なかった人は、何か認めたくない事情が邪魔をしているのではないかと、自分で自分を疑ってみた方がいいでしょう。
ポルシェ万次郎 2014-09-05 18:21:43
13. Re:Re:内閣府モデルの乗数効果1.1は捏造。DEMIOSモデルだと2.4。
>rxtypeさん 2/2
そしてこれが本稿の醍醐味となるのでしょうけれど、藤井氏は何処からか数字を持って来て「経済学的には邪道な中央政府の支出のみを分母とする公共事業の乗数効果」が4~5であることは先に計算できたので、「地方政府の裏負担乗数(アクロバティック乗数効果)」として提示した2の影響を取り除けば、「経済学で一般的に言われる一般政府の支出を分母とする公共事業の乗数効果」は概算で「4~5÷2=2~2.5」ということになり、書き起こし文末の発言「 で、それを考えますと、大体、逆に言いますと2から2.5とかそんな感じですね。乗数効果で言うと 」に集約されるわけです。
以上の三点が「公共事業の乗数効果は1.1」の捏造の論拠、少なくとも捏造の疑義にはなると思っています。コメント欄でピントのズレた議論をされているのを見て、耐え兼ねてこちらにも投稿させていただきました。
ここまで説明させておいて、せめて「俺らも勘違いしていたわ。各所で『藤井氏だって乗数効果は1.1≒1.25だと主張していた』との嘘を拡散するのだけはやめる。でも公共事業に対する考えは改めないよ。それに藤井氏の説明だって分かり難かったわけだしねw」くらいの強弁に留めておいてくれないと、下記みたくリフレ派は議論の出来ない連中だとの評価がより一層定着してしまうことにもなり兼ねません。
▼▼▼
長くなるので引用しませんが、「空き地」さんがご自身のブログで展開しておられる「経済理論」なるものは、まったく素朴なレベルの需要と供給の「均衡理論」以外の何ものでもありません。
高橋洋一VS三橋貴明ヴァージョン2 - 小浜逸郎・ことばの闘い
http://blog.goo.ne.jp/kohamaitsuo/e/7fdc78583dfe0370d3391ce41d7f26dc
▲▲▲
上記エントリーの結びの言葉ではありませんが、それではまた、お互いにもう少し勉強してから出会うことにいたしましょう。ああ、三橋ブログでまたカチ合えばお相手いたします。ではでは……。
ポルシェ万次郎 2014-09-05 18:22:24
16. Re:Re:Re:Re:内閣府モデルの乗数効果1.1は捏造。DEMIOSモデルだと2.4。
>rxtypeさん 1/4
おっ、まだ続けますか? 私の解説に対する反論からは逸脱していますが、それについてもお返事して行きたいと思います。
>デフレ状態あるいは流動性の罠の状態で公共事業をやっても
>デフレ脱却はできません。
「流動性の罠」という言葉の意味は、日銀だけが量的緩和でアクセルを踏んでも、デフレ下では投資資金が実体経済に供給され難い状態を指し、金融政策に傾倒しがちなリフレ派やヤングリフレ派、あなた方リフレフォロワーたちを、最近では揶揄、批判、嘲笑する際に使われているくらいです。
とある41歳のポジショントーク - Togetterまとめ
http://togetter.com/li/716397
あなたも登場される9時間前に作成された上記の冒頭で、本石町日記さんという方が「 早めに政権も環境整備してあげた方がいい 」と仰られるように、政府による異次元の財政拡大が必ず必要となります。あなたは「 追加緩和すればいいだけって、ちょっと知ってればすぐわかりますよ。もしそれでインフレにならないなら、無税国家(ry 」と仰っていますが、量的緩和のみではフローのインフレ以上にストックのインフレ(資産バブル)を招くことが最大の弊害、ボトルネックとなります。
さらに無税国家云々についてですが、恐らくヤングリフレ派のあの人の受け売り(決め文句)なのでしょうけれど、予算編成における財源を国債発行で賄う措置は、デフレ下ではささやかな資産効果分くらいしか物価に影響を与えない日銀の量的緩和と比べ、同じ「通貨発行権の行使」でも全くの別物となります。
ポルシェ万次郎 2014-09-08 04:48:55
17. Re:Re:Re:Re:内閣府モデルの乗数効果1.1は捏造。DEMIOSモデルだと2.4。
>rxtypeさん 2/4
>なぜなら、使わずに貯金したほうが得だからです。
前述したように、デフレの現在は日銀が貨幣供給を増やしても資産効果くらいしか有効需要は起こり難く、しかし消費性向の高い低所得者層への給付(所得再分配)であればまだいくらか期待はできるも、労働の対価としての「所得」であれば実体経済への波及はさらに早いということで、流動性選好を防ぐことが可能と当方は考えています。
>「仮に消費税を増税したって、そのデフレ効果を上回る大型の財政出動をやれば、
>「倍返し、いや10倍返しだ」となるでしょう。」などという
>中野剛志の戯言は論外です。
その東田剛氏の発言の趣旨は、「消費税増税が政治的に避けられないのであれば、或いは決定したのであれば、せめてそれ以上の財政政策を打て」といった次善策であり、各所でヤングリフレ派にミスリードされているような、「それ以上の財政政策を打てば問題ないのだから、国土強靭化予算とバーターで消費税増税を進めよう」では決してありません。
ちなみに私、「消費税を絶対に上げるなとは言わないが、タイミングは今ではない」などと主張される三橋貴明氏や上念司氏らとは違い、「消費税は何目的かが分からない欠陥税。廃止に追いやるべき天下の悪税」と数年前より考えています。なので、景気対策としての減税策には賛成ですが、最も効果的な減税策である消費税減税をせずして、逆にこれの増税で景気を悪化させておいて、消費税以外の税目を減税しようとの議論は本末転倒だとも思っています。
ポルシェ万次郎 2014-09-08 04:49:26
18. Re:Re:Re:Re:内閣府モデルの乗数効果1.1は捏造。DEMIOSモデルだと2.4。
>rxtypeさん 3/4
>あなたの感覚的なものを言われても誰も納得できません。
>データか数式か何なりで示してくださいね。
各人による前出の「マクロ計量モデル」については指摘のしようもないので、私は前回三つの異なる観点からそれぞれ論拠をお示ししました。その中の二つ目の観点、過去データから見た常識「政府支出と経済成長率との相関が高い事実」についてなら、下記のエントリーや画像をそれぞれご参照ください。
続 日本は世界一の緊縮財政国家|ひろのひとりごと
http://ameblo.jp/hirohitorigoto/entry-11541471921.html
政府支出の増加率(年平均ランキング) ※2000~2010年
http://hirohitorigoto.info/data/097_2_lb.jpg
政府支出増加率と名目GDP成長率の関係 ※1990~2012年
http://hirohitorigoto.info/data/098_2_lb.jpg
廣宮孝信の「国の借金」“新常識” 世界各国過去32年分データを解析:政府総支出と名目GDPの相関関係極めて高い。小泉政権は政府総支出増加も名目GDP増加も世界最低水準!デフレ日本には大胆な財政出動必要!!
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-563.html
●日本の政府総支出
画像はhttp://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-563.html より転載。
政府支出は公的固定資本形成だけではなく、政府最終消費支出が含まれているにしても、公共事業の乗数効果を1.1だとする分析は、過去のデータから考えて説明がつかないと指摘しているわけです。
>>2の影響を取り除けば
>そんなこと、藤井教授は言っていませんので
藤井氏が「地方政府の裏負担乗数」として先に提示したアクロバティック乗数2の影響を取り除かなければ、本来の「経済学で一般的に言われる一般政府の支出を分母とする公共事業の乗数効果」が算出されないことまでは理解できますよね? 当該書き起こしの中で確認できる乗数は、登場順に「4~5」「2」「2~2.5」のみですから、あなたはコメント欄に書き込んだ自身の投稿を下記のように訂正する必要があるわけです。
ポルシェ万次郎 2014-09-08 04:49:38
19. Re:Re:Re:Re:内閣府モデルの乗数効果1.1は捏造。DEMIOSモデルだと2.4。
>rxtypeさん 4/4
×国と地方で合計2兆円出資しているので、乗数は1.25でしょう。(2.5÷2=1.25)
○国と地方で合計2兆円出資しているので、乗数は2から2.5でしょう。(4~5÷2=2~2.5)
そもそも冒頭で乗数1.1を「絶対にあり得ない」と批判する統計の専門家が、そのあと何が悲しくて乗数1.25という大して変わらない数字を主張しなければならないのか、「藤井憎し、公共事業憎しの私的な感情、俗なる上念……もとい、俗なる情念により、読者をミスリードしてはいませんか?」と、私は怒りを込めて指摘しているのです。
藤井批判の先入観が先行して読解を誤ったのか、それとも理解したうえで捏造したのかは分かりませんが、当方のように片手間でコメントを寄せる程度ならまだしも、プロの言論人に対して批判するエントリーを書くのであれば、今後はもう少し丁寧な検証をお願いしたいと思います。
当方もこれ以上ネチネチと、あなたの曲解を批判し続けたくはありません。藤井氏が公共事業の乗数効果についてを、絶対にあり得ない1.1でもあなたが曲解した1.25でもなく、2~2.5と考えていることで合意が取れ、当該エントリーの「お詫びと訂正」を書くのであれば、あとはその藤井氏やDEMIOSモデル等々が主張する乗数2~2.5の妥当性を批判するのはあなたの自由です。
>言論に対して言論で返さず、内容証明を送るって言論人として終わってるでしょ。
言論に対しては言論で応え、コメント欄への荒らし行為に対しては投稿規制で応え、論評の域を超えた人身攻撃や名誉毀損に対しては法的手段で応える、これらはごく当たり前のルールだと思いますよ。
ポルシェ万次郎 2014-09-08 04:49:59