僕は座っていた

ノートを眺めていた


バスが混んできた

女のひとがのってきた

すぐ 目についたのは

その人の鞄についたキーホルダー


『おなかに あかちゃんが います』


僕はノートを眺めていた


たたんで

しまって

立って


それを少し嫌がる予備校帰りの僕がいた


バスは発車した


つり革と手すり 両方を両手で

しっかり持つ女のひと

しっかりいのちをまもる女のひと


ああ 僕はなんて

ああ 次のバス停についたら席を譲ろう


ブザーはならなかった

バスは停留所を通り過ぎた


ああ ああ 次のバス停でバスが止まったら席を譲ろう


ブザーはならなかった

バスは停留所を通り過ぎた


次のバス停でバスは止まった

女のひとが乗り込んでから 停留所3つぶん経っていた

僕はそそくさと席を立った

何も言わなかった

女のひとはそこにすわった

僕が降りていないのには 気がついていなかった

そして女のひとは僕より先にバスを降りた

僕には気付かなかった


でも


それでいいのだと思った


それが


本当なのだ と思った





22
やだよー

やだよー

こえー


めんどくせー


気持ちの整理も準備も石を投げたい気分

とも て何だ

勝手にそんなこというな

勝手に

知らないよ僕は


いーやーだー


ばかばかばかばかばかばか

こっちみろよこのやろう
あああああああああ



どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう


どうすればいいかな


どうしたら


うああああああああああああああああ



なんで何も言わないのさ


未来を信じてるから?



なんで1人でそうやって



ねえ



泣いてるの?



もーーーーーー


あああああああああああああああああ