自宅近くに新しく出来たコンビニの前に、一対の男女がいた、電灯に照らされてうずくまり、身を寄せ合っている恐らく未だ十代だろうそのアベックはまるで二人で一匹の生き物のようだった。自転車を止めた私に男のほうが視線を向けた。日本人離れした顔立ちと、目の強さに気圧されて、僕はそそくさと店内に入った。
何故か、My name is ass hole というフレーズが頭に浮かんだ。
しばらく動揺が収まらず、手持ち無沙汰に店をうろつき、えいとばかりにミニボトルのニッカボッカとつまみのスナック菓子をとってレジへ向かう。
そこで少年時代の大半を過ごした90年代以降、わずかに残った雑木林や田畑がなんの役に立つかわからない二車線の大道りや、マンションに変わっていったこの町に、僕はほとんどなじみがない。部分的な整形を繰り返す恋人が少しずつ他人になってゆくように、人生のもっとも長い時期を過ごした場所であるこの町は、僕にとって、帰るたびによそよそしい場所になっていった。
そのコンビニがある通りは、人どおりも車どおりも少なく、その店は、もはや飽和状態あるこの町のコンビニ戦線にに止めを刺した形になった。いつ行っても、あまり客は入っていないようで、そのうちつぶれるのではないかと思う。その二人の男女のかもす所在無さはそのいつなくなるかわからないコンビニの灯りの下に、あまりにもふさわしかった。
彼らと比べてこの自分は、この町になんと他愛なく妥協し、曖昧になれあってしまっているだろうか。
自分の部屋に戻り、水割りをあおりながら、そういや、先刻視線を交えた二人は、この町に戻ってきてはじめて一目見て親近感を抱けた対象だったなとぼんやり思った。