【MY FAVORITE FILMS 10】③…フリックストーリー | OZMA “HARD ROCK PRESS”

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ハードロックベーシスト日記

Facebookで連続で書いた映画に関する記事を備忘録として追記しながら転載しておく。


【MY FAVORITE FILMS 10】

Marshall blogでお馴染みの牛澤 滋由貴(Shigeyuki Ushizawa)さんからのご指名で「好きで好きでしょうがない映画を毎日一本、10日連続で発表するリレー企画」

〈Day 3〉

■「フリック・ストーリー」

悩みに悩んでの三日目。
アラン・ドロンの映画とは決めていたけど…
牛澤さんからご指名頂く前に自粛中に見たのが「冒険者たち」…何度観たことか…映画館で観たのは高一の時。当時好きだった女の子と自転車の二人乗りで京極東宝まで観に行った。
ジョアンナ・シムカスがリノ・バンチェラとアラン・ドロンに挟まって異性間ではあるものの夢を追いかける者として友情や挫折に共感した。「サムライ」…フレンチフィルムノワールの真髄で映像が美し過ぎてたまらない。アラン・ドロンのカッコ良さは他の映画と比べて群をはるかに抜いてるのだけど。感情を抑えきった演技や視線が定まらないような表情でクールな殺し屋に撤する。ナタリー・ドロンのスクリーンデビューでもあって、演技してるのかな?っていうくらいがこの時のドロン扮する殺し屋の恋人って感じで良いかも。
実は昨日までは「サムライ」推しでいこうと思っていた。それで昨日、今日と観なおした。
完璧過ぎてもう…説明を排除しまくるジャン・ピエール・メルヴィルの演出ゆえに何度も何度も繰り返して観ないといけない僕。おかげで観るたびに発見があるという(笑)今回はバーのピアノ奏者を演ずる黒人女優カティ・ロシェの魅力が以前より目に留まった。
これを書いてる時点で、やっぱり「サムライ」だったかなぁって(笑)
2つの作品の共通点はアラン・ドロンが死ぬこと(^-^;実際、彼の主演映画はよく主人公死亡で終わるのがとても多い。共に1967年の作品というのも共通点か…凄いなぁ一年のうちに「冒険者たち」と「サムライ」をファンは観たのか…
選んだ「フリック・ストーリー」
日本での人気絶頂期に公開された実在の刑事ロジェ・ボルニッシュとフランス犯罪史上最悪の凶悪犯エミール・ビュイッシュを描いた映画。
1975年頃のアラン・ドロンって割りとどれもおんなじ(^-^;息子にせがまれて作った「Zorro」以外は暗い役柄が多い。
「フリック・ストーリー」も明るい映画ではない。ただ、ドロンは死なない(笑)そして、ビュイッシュを演じたトランティニャンが恐ろしく冷淡でドロンを食いまくるのである。喰われることによりアラン・ドロンが魅力的に見えるという反作用(^-^)
そして、何より僕がこれを選ぶ理由としてドロンの恋人役がクロディーヌ・オージェであるということ❤️「007/サンダーボール作戦」のボンドガール役で僕はハートを射抜かれた中2の小坊主は同じ年に「フリック・ストーリー」を観てまた恋心を抱くのである(笑)
「サンダーボール作戦」は1965年作品だから10年後の彼女の姿をスクリーンで拝見したわけ。007と違って一切のお色気なしでドロン扮する刑事の恋人を演じる。これが何となく清楚で良くて…ラスト近くの逮捕劇で食堂のピアノでピアフを弾いてビュイッシュの注意を引く場面は緊迫感があって好き。何回見てもドキドキするのはそれだけビュイッシュ演ずるトランティニャンの凄み故。
クロディーヌ・オージェはこの翌年、沢田研二と「パリの哀愁」という映画で共演したっけ。
「ボルサリーノ」で組むジャック・ドレー監督が醸す雰囲気はいつも似ているなぁと思って調べたら撮影監督も同じ人が担当していた。
こうやって好きな映画を並べると…
女優さんにかなり影響されて良し悪しを決めてる気がするな(笑)
うん、残りの七本もそんな感じだわ(笑)
しかし…やっぱり「サムライ」だったかなぁ(笑)
追記…クロディーヌ・オージェも昨年12月に亡くなっていた(涙)
さらに追記…
Facebook記事の中でも書いたけど、どちらにしようかと悩んだ「サムライ」をこの後数回観た。多分、「フリックストーリー」と「サムライ」と比べて前者の方が面白いって書く人は皆無じゃないかなはてなマーク(笑)作風が全然違うからそもそも比較にならないと思う方も多いかと思うが…実在の犯人と刑事について描いている分、トランティニャンがむちゃくちゃ怖い。こんな人のグループに入ったらむちゃくちゃ怖いだろーな笑い泣きって中2の小僧がチビってしまいそうな恐怖を一人で観た映画館で感じたのだろう。だからこそ、クライマックスの捕り物劇に痺れるわけだ。大人になると段々とトランティニャン演ずるビュイッシュという人物もきっと先天的に凶悪犯ではなく様々な要因の連鎖で作りあげられたのではないかと考えたりもして…
しかし…最後はJibunshidai
って締めたいところだけど…
選択を許さない環境
または
選択する思考を一切育てない環境というのもあるのが現実かもしれない。
ここら辺が実話に基づく映画ならではの観客にそれぞれの視点を持たせる味わいではないかと思う。