60代男性
【主訴】
急性腰痛(ギックリ腰)
ギックリ後1週間経過
【問診】
一週間前、荷物を前かがみになって取った時『ピキッ!』と腰に痛みが走る。
歩行もゆっくりだが、何とか整形外科へ。
レントゲンを撮り、痛み止め・湿布を処方される。電気治療も行った。
1週間何とか仕事をしながら我慢していたが、まだ痛みが残っている。
また『ピキッ!』となりそうで怖い。
姿勢も歪んできた気がする。
お仕事は営業職。外回りで常に動いているが、今は機動力を発揮できず周りに迷惑をかけている。
過去に何度もギックリ腰を経験しており、最近頻度も高くなっている様な印象がある。
腰の環境がそもそも悪いのではないかと不安になり色々と検索する。
国立おざわのHPに辿り着きご来院へとつながりました。
【視診・触診】
腰椎の前弯(++)
殿部の緊張(++)
恰幅の良い男性で筋肉量も多い
【治療方針】
腰椎の前弯が強く、骨盤も狭い骨格である。
股関節にも長期にわたり負担がかかっていると判断。
筋肉と筋肉の連結部や筋肉が骨に付くトリガーポイントが出来やすい部位をひたすらに攻めることにした。
①腸肋筋のキワ
②最長筋のキワ
③多裂筋のキワ
④中殿筋の腸骨付着部
1回目
最長筋と多裂筋のキワの部分に『あっ!そこが悪いとこ!』という認知覚を確認。
10→6
2回目~5回目
他、中殿筋の腸骨付着部も『そこも前から気になるところですね』とのこと。
急性腰痛の原因ポイント及び今までの慢性的な腰痛のポイントも同時進行で治療する事にした。
6→1
治療をすると仕事も楽で助かるようで、
現在も定期的に週一度の治療を継続している。
【ギックリ腰のメカニズムと腰痛が及ぼす内臓器へのストレス】
ぎっくり腰は皆、『急に』痛くなった!…と思いがちです。
しかしそれは『脳』が感じているだけです。
メカニズムとしては、
①元々のコリがある(潜在性TP)
→②そのコリ(自覚アリナシに関わらず)に外因(冷え・圧迫・過度の使用・ストレス・虚血)が働く
→③元々のコリ(潜在性TP)が外因により脳が強く痛みを自覚するコリになる(活動性TP)
つまり、
『急に痛くなった!』…と感じるのは脳で、実は前々からそこに潜んでいた…ということ。
これはトリガーポイント(TP)の基本概念です。
さて、
この様に急に『痛み』として出るものもあれば『痺れ』として出るものもあります。
そして気を付けるべきは『内臓器の環境』です。
実は内臓器は筋肉の影響を受けやすいのです。
例えば腰の環境が悪い人は『腎』が冷えやすい。
殿部の環境が悪い人は『腸・子宮』が冷えやすい。
自分では気が付きにくいのですが、腰・殿部の環境が悪い人は腎・泌尿器疾患・消化器下部疾患・婦人科疾患にかかるリスクが大きくなります。
私がトリガーポイント治療に魅力を感じているのは『自律神経ー内臓器』の関係にメスを入れる事が出来るたった唯一の治療法だからです。