50代 男性
【主訴】
ジョッキが持てない…2ヶ月続く肘の痛み
【問診】
2ヶ月前からの症状である。
仕事中キーボードを打っている際に右の前腕がやたら疲れる感覚が
特に心当たりはなく、
自分でマッサージや湿布をしてみたが痛みは一向に治らず…とりあえず整形外科へ。
テニスはしていないが『テニス肘』と診断される。
電気治療、湿布、
最近は肘から人差し指にかけてピーン!と走るような痛みと、それに沿
現在はパソコンやスマホなど右手の作業時や就寝中も疼く痛みが出るようになる。
また、
日常生活にも支障が出ているため、
【視診・触診】
触診
総指伸筋を触診時に人差し指への再現痛と顕著な圧痛がみられる。首肩から背部、患側の肩甲骨周辺に筋緊張がある。
【治療】
主な治療部位
①総指伸筋
②長・短橈側手根伸筋
③棘下筋
④僧帽筋
⑤頭半棘筋
主訴である肘を中心に元々自覚症状のある首肩も合わせて治療。
【治療経過】
1回目
上記①のポイントに刺鍼時、
2回目
前回後、痛み軽減。
ペインスケール10→6〜7
夜中に痛みで目が覚めることはなくなった。
3回目
6→4
デスクワーク時の痛み軽減。
使い過ぎなければ痛みは出ない状態に。
4回目
残り1〜2割。
重たいメガジョッキを持っても痛みなし。
たまに前腕が張る感覚があるが日常生活での支障は無くなった。
治療をすると一週間元気に過ごせるので、現在も定期的に治療は継続している。
【異構造接合部とトリガーポイント】
今回の症状である上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
ただ実際のところ炎症というよりは外側上顆に付着する伸筋群(
治療としてはこの伸筋群に形成されたトリガーポイントを鍼治療で
そもそもトリガーポイントは『異構造接合部(いこうぞうせつごうぶ)』という組織が異なる場所に出来やすいです。
例えば
①筋肉が腱に変わるところ(肉離れも多い所です)
②腱が骨に付くところ
③靭帯が骨に付くところ
この様に組織が異なる場所を『異構造接合部』といい、トリガーポイントが多く形成されます。
肘という部位は密に異なる作用を行う筋群が密集している場所です。
サラッと湿布や電気治療で治ってしまえばいいのですが、今回の様に的確に鍼治療で外科的に処置しないと長い痛みに繋がることもあります。