【主訴】
60代女性 歩行時の膝の痛み
膝の痛みは①関節内の問題か②関節外の問題か③あるいはその両方か...を判断する事が大切です🦵
MRIで検査して関節が擦り減ってる...と言われたとしても、それは加齢によるものであり、現在の痛みとはリンクしていない事も多いです。
負担のかかる関節外組織のトリガーポイントが脳に『膝イタイ⚡️』とメッセージを送っているのかもしれません🧠
【問診】
昨年の10月頃から右膝全体に違和感。
そこから徐々に膝が固まるような感覚。特に階段を降りる時に顕著に痛みが出るように、、
先日から平らな場所でも歩行時に痛みが出始める。
痛みの箇所は膝の上部や下部、内側や外側など日によって変わる。
股関節にも最近は違和感が出始めてきた。
話を聞くと就寝時も膝の痛みで目が覚めることもあり、50代の頃から右足の大腿部が急に細くなったそう。
今までこれといった治療は特にしておらず、日常生活にも支障が出始めたので治療院を当院にご連絡頂きました。
【視診・触診】
視診
右膝を少し庇うような歩行。
健側の大腿部より患側の方が筋力低下もあり、少し痩せ細っている。
触診
大腿部(大腿直筋、内側、外側直筋)に圧痛と筋緊張がみられる。
【治療】
治療ポイント
仰向け時
①大腿直筋 ②外側広筋 ③内側広筋 ④膝蓋靭帯 ⑤腸脛靭帯
うつ伏せ時
①大腿筋膜張筋 ②中殿筋 ③半腱半膜様筋 ④大腿二頭筋 ⑤腸脛靭帯
1回目
まずは膝の局所のTP(トリガーポイント)除去の為、仰向けにて治療。
2回目
前回後ペインスケール10→2
平らな箇所での歩行時の痛みは消失。
膝の伸展や屈曲時の強張るような感覚はまだ残る。
3回目
膝の違和感も軽減した為、自覚症状のある股関節の治療もうつ伏せにて開始。
股関節の屈曲で作用する中殿筋や大腿筋膜張筋を中心にハムストリングも治療。
4回目
うつ伏せ
前回治療後から歩行時に足が上げやすくなってきた。
膝を伸展した際のハムストリングの突っ張りがまだ残っている。
5回目
うつ伏せ
治療後、ハムストリングの突っ張りは低下。
正座など膝を深く曲げると後面に違和感がある。
現在も治療継続中。
〜膝の治療〜
膝関節は骨のみの構造では安定性を欠く為、半月板や靭帯、筋肉や腱によって補強されています。
構造的に膝関節を支える筋肉には日常での負担が多くかかります。
(平地歩行で体重の約3倍、階段の上りで約5倍、下りで約7倍かかると言われている)
治療においても膝関節の痛みを長期間抱えていた患者や高齢者などは大腿四頭筋の萎縮がみられ、その状態では日常生活の動作でオーバーユースになりやすく、治療後はいいけど日数が経つとまた再発する...というのを繰り返すケースが多いです。
再発を繰り返さない為にもトリガーポイント(痛みの原因筋)を的確に除去し、尚且つ膝と腰や股関節周辺の筋肉の連動が取れる状態を作っていかなければ根本的に解決しません。