鍼灸症例。
眠りが浅く、熟睡できない40代男性の症例をご紹介致します。
40代男性
【主訴】
眠りが浅く熟睡できない。
常に疲れが取れない
【問診】
普段から眠りが浅く、途中で起きてしまう事が多い。
睡眠の質を測ってみる(流行りの腕時計の様なアイテム)と熟睡できているのは40分程度。
自分でもそんな感じがする。
脳が常に活性化している感じ。
寝て起きても寝た気がしなく疲労が取れない。
仕事が基本的にデスクワークで同じ体勢で目を酷使している時間が長い。
肩こりは自覚があり、姿勢も悪い。
集中していると食いしばっているのがよくわかる。
睡眠時も食いしばりがあるのか起床すると顎が痛い事がある。
自律神経の乱れは自覚があるがどう治せばいいのかわからず鍼を試してみたいとの事でご来院されました。
【視診、触診】
首から背中にかけての筋緊張が強い。
触察時に指が入りづらい。
皮膚緊張も強く診られ、皮膚のベタつきがある。
→交感神経緊張状態だ思われる。
【治療】
鍼の響きは好きという事でしっかりと響かせ認知覚を与えました。
治療筋…僧帽筋、胸鎖乳突筋、肩甲挙筋、頭半棘筋、頭板状筋、後頭下筋群、胸部多裂筋(上部)
1回目…治療直後からすっきり感あり顎も軽い。よく眠れ、90分は熟睡できた。
2回目…食いしばりが減って、顎が楽。
3回目…徐々に熟睡できる時間が増えている。
4回目…起床時のスッキリ感がある、疲れが取れてる感覚がある。初期の症状はほぼほぼ改善。
よく眠れる様になってから身体の疲れも同時に取れる様になったようです。
現在も週1回にてメンテナンス含め治療継続中です。
【まとめ】
自律神経系の乱れからくる不定愁訴というのは数え切れない程多くあります。
寝つきが悪く眠りが浅い、疲れが取れないといった様な症状は、その多くある症状の中のごく一部に過ぎません。
今回の患者さんの症例では、デスクワークにて1日の殆どをデスクの前で過ごし、長い時間集中し続けて休憩を取ることを忘れてしまう事が多かったそうです。
身体にかける緊張感(ストレス)が長時間掛かれば掛かる程、緊張感のある時間が日常になってしまいます。
鍼の響きをしっかりと感じてもらう事で切り替えるタイミングを強制的に身体に教え、脳に休ませるキッカケを与えました。
近年は超情報社会。そして超ストレス社会であります。
ポケットにスマホという沢山の情報があり、なんでもできる便利な時代です。
その代償でしょうか、原因不明な症状で苦しんでいる人が超増加傾向にあります。
便利ではあります。
化学の進歩。
果たしてそれが、『幸せですか?』と聞かれますと、う〜〜ん...と考えてしまうのは私だけでしょうか。
当院では若い人も高齢者も沢山の患者様がご来院されます。
自律神経系の乱れというものは、年齢は関係無いのです。
お薬で眠るようになる事よりも人間の根本的な機能を見直すこと。
眠りにつける身体の環境を一から見直し根本から整えるという事が何よりも大切です。