【主訴】
慢性副鼻腔炎?
40代女性
【問診】
1年ほど前から急に鼻が詰まる。
鼻声が続き、耳鼻科へ行く。
『原因は不明だが、鼻粘膜が腫れている』…と言われる。年が明けても良くならず、CTを撮ることに。
CT検査の結果『軽い副鼻腔炎』と診断される。
抗生剤を処方され服用を開始。3ヶ月間服用を継続→再検査。
しかし抗生剤の効果はなく、逆に膿が溜まってしまっていた。
膿が溜まってしまう原因を考えられる所は治していこう…と、歯科治療なども行う。
しかし逆効果にて症状はどんどんと悪化していく。
それから鍼灸院を2件。整骨院なども通ったが改善はない。
漢方クリニックなども行くが改善が無い。
何とかして欲しい…との事にてご来院されました。
【視診・触診】
ストレートネック。
細身の体型。皮脂、多少の発疹アリ。
交感神経緊張の皮膚所見。
頚部の浮腫は目立たないが、頚部表層からの緊張や顎関節の可動域にも気になる点が診られた。
【治療】
頚部・顎関節部・背部に対する集中治療を行なった。(50ミリ・0、20鍼30本使用)
1ヶ月間は週2回の治療を継続して頂きました。
初回〜3回:治療後直ぐに黄色の鼻水が出る。これが数回続く。
本人的にも今まで鼻をかんでも出したい鼻水が出なかったとの事にて感動。
4回目〜10回目:黄色の鼻水は少なくなる。時々鼻奥に流れる様な感じ。
治療後はやはりスッキリする。その後もしつこく治療継続。
15回目〜現在:以前より鼻を気にすることも少なくなる。鼻が出る時も色が付いたものは出なくなり、透明のものが多くなっている。
本人的には無自覚で進行していた自律神経の不調が『慢性副鼻腔炎』になりやすい身体の環境になっていたと今になり自覚。
現在も環境改善の為に継続治療中である。
【副鼻腔炎を繰り返す原因とは】
頭は重く、その頭を軽くする為に発生学的に顔面部には空洞があります。
副鼻腔炎を繰り返す方はその空洞に膿が溜まるのですが、西洋医学の治療では『溜まった膿を抗生剤による効果にて排出させる』というのが基本になります。(溜まったものを処置)
しかし副鼻腔炎を繰り返す方にとってはそういった治療はお勧めできず、『慢性的に副鼻腔炎を繰り返す身体の環境を変えなくてはならない』と考え方をチェンジした方が良いのです。
【慢性副鼻腔炎に対する鍼治療】
当院独自の臨床データからすると、副鼻腔炎(鼻疾患)に対して有効な部位としては①頭半棘筋後頭骨停止部②胸鎖乳突筋上3分の1部③後頭下筋群の大後頭直筋④顎関節部の調整の4点がポイントとなります。(他にもその人に応じて治療部位はカスタマイズする)
この部位のトリガーポイントが悪さをして『鼻に膿が溜まりやすいという体質』に身体を変えてしまっています。
体質改善…という言葉がありますが、多くは時間のかかるものです。こういう部分から変えていく事が結果的に全身の体質改善に影響していくのです。