9月18日の厚生文教委員会で、「日の丸・君が代」の教職員への強制を強化するよう求める陳情が審議され、賛成ゼロで、不採択となりました(既報)。
当日の、私の討論原稿を掲載します。
24第10号陳情「10・23通達の順守を求めることに関する陳情」と24第11号陳情「10・23通達の強化を求める意見書の提出に関する陳情」については、ともに不採択とすべきです。
第一に、憲法第19条は「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」としています。そもそも、2003年の10・23通達は、石原都政のもとで、都教育委員会が教職員の卒業式・入学式での「日の丸」への起立と「君が代」の斉唱を強制し、それに従わなかったものを処分するもので極めて不当なものです。日本弁護士連合会も、「君が代について、大日本帝国憲法下の歴史的経緯に照らし、君が代の起立・斉唱・伴奏に抵抗があると考える国民が少なからず存在しており、こうした考え方も憲法19条により憲法上の保護を受けるものと解されることを指摘し、君が代の起立・斉唱・伴奏行為は日の丸・君が代に対する敬意の表明をその不可分の目的とするものであるから、卒業式等においてこれらを職務命令で強制することは思想・良心の自由を侵害するものであると重ねて表明してきた」と、その違憲性を明確に指摘しています。
第二に、第10号陳情は、「不起立が予想される教職員は式に出席させないこと」「クラス担任を受け持たせないこと」「受け入れない」つまり採用しないことなどを求めています。第11号陳情も、「解雇をふくめた厳罰」「異動」「退職勧告」などを求めています。ここまでして憲法違反の強制を強化することは許されませんが、学校長や教育委員会の人事権に、これほど詳細に議会が干渉することは、教育の独立を侵すことになります。過去の侵略戦争において、教育を支配下において軍国主義教育を推進した痛苦の教訓から戦後明確にされた教育の独立を侵すことは許されません。
第三に、第11号陳情は、「10・23通達の強化」を求めていますが、第10号陳情も、「順守」と言いながらその内容を見ると、「強化」を求めるものとなっています。今年1月16日の最高裁判決は、職務命令については適法としたものの、職務命令に反した不起立などの行為について「動機・原因は個人の歴史観・世界観等に起因するものであり、行為の性質・態様は積極的な妨害等ではなく、物理的に式次第の遂行を妨げるものではない」と指摘し、「減給以上の処分を選択することについては慎重な考慮が必要となる」として、不起立で停職1か月、減給1か月などの処分を「重きに失し、裁量権の範囲を超えて違法」と取り消しました。解雇や退職勧告、不採用を求めるこれらの陳情は、いずれも最高裁判決に反した違法な要求であり、議会が加担すべきでないことは明らかです。
よって、24第10号陳情、24第11号陳情ともに不採択とすべきです。
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