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今朝の「赤旗」1面に「ニコンへの賠償命令確定」お見出しがありました。過労自殺した遺族に対する損害賠償請求訴訟で、最高裁が上告棄却し計約7050万円の賠償支払いが確定したというもの。
上段勇士(うえんだんゆうじ)さんという名前に目が留まりました。日本共産党参議院議員の大門実紀史さんの著書「新自由主義の犯罪」(新日本出版社)で紹介されています。2007年3月に、勇士さんのおかあさんの上段のり子さんがある労働裁判支援集会にあてたメッセージが引用されています。そのまま紹介します。
「私が裁判をつづける原動力は、あの日の勇士の『死に顔』です。一生脳裏から消えない、なんとも哀れでみじめな最期でした。はじめての就職で頑張って働いた結果がこの姿とは、いったいどういうことか、勇士の遺体は、かすかに目をあけ、口も何かをささやくように薄くあいていました。頬っぺたはがっくりと落ち込み、クビには電気コードの跡が、とてつもなく大きく黒々と、焼印のようにあざとなって残っていました。
手が切れそうなほど冷たくなった顔に、私の顔を近づけると勇士の声が聞こえてくるようでした。何を言いたい、何を分かってあげればいい、何をしてあげればいい。
あんまり苦しくて心臓がきりきり痛みました。目と口を閉じてあげようとさすりましたが、蝋人形のように硬くなっていて、目も口も閉じることはありませんでした。いったい何日、放っておかれたのか。
請負会社ネクスターの熊谷営業所の若い所長は、『すみません』と謝り続けました。しかし、かれはニコンでの仕事の内容を一切知りませんでした。それでも、裁判が始まるとネクスターはニコンの応援に回りました。
ニコン熊谷製作所には労組がありました。連合の労組と聞きましたが、外部労働者に気を配ってくれるものではなく、裁判が始まると被告側に立ちました。ここに至って、外部労働者がニコン熊谷製作所の中で四面楚歌であったことを実感しました。
また、提訴の後は会合に行って話を聞いてもらうことも増えました。しかしその場でも、偽装請負という労働形態については『日本の労働現場ではよくあること。やめさせるなんて普通じゃない』『何がわるいの?』という意見が普通にありました。
『偽装請負』労働者は世間からも、当たり前のように見放された存在だったのだということを、息子が亡くなってから嫌というほど知りました。人間は慣れてしまえば、限りなく残酷になります。自分は、差別される側にはいかないものだと、思っています。
・・・・・そんな中で、応援をしてくださる方々が増えました。本日の会場に集まって下さっている方々がその中心だったかもしれません。次第に自分たちの素性を公表して闘う偽装請負労働者が出てきました。ニュースで立ち上がったことを知るたびに、画面に向かって涙が出ました。『生きているうちに良かったね』と思うのです。
吉岡力さんのニュースも強烈でした。ここまでされるものかと思える仕打ちでした。苦しい最中に訴えることは、苦しさも倍増、いえそれ以上、言葉で表せば安っぽくしかならない世界です。それでも立ち上がらなければ、現状は変わらない。あれもこれも背負って立ち上がるのです。そのことを見て知って、ほかの方々が気付いてくれます。
立ち上がった方々、支援の方々の運動が、まだ分からずに心細い思いをしている仲間に届きますようにと願っています。
勇士もK・Tさんも、生きて皆さんと闘えると良かった・・・・・。二人の悲惨だった人生から、力強い判決が出ることを願って裁判を続けています。判決が判例となって今後のみなさんの人生を支えることができたらいいなと思っています。二人とも『千の風』になって、吹き渡れたら最高です」
上段のり子さん、ありがとうございました。感謝の気持ちは、理不尽なこの社会を変えるたたかいを、一緒にすすめることで示したいと思います。
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