日本共産党都議団代表質問で都立病院の独法化、カジノ、羽田新ルート「小池知事の3つの問題」追及 | 尾崎あや子オフィシャルブログ「東へ!西へ!尾崎あや子の活動報告」Powered by Ameba

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都議会第1回定例会がはじまり、2月27日には日本共産党都議団を代表し、和泉なおみ都議(葛飾区選出)が代表質問に立ちました。都立病院・公社病院の独立行政法人化やカジノ問題、羽田新ルート問題の小池知事の3つの問題を中心に、新型コロナ肺炎への対応、教育問題、高齢者支援、国民健康保険、防災、横田基地問題などについて取り上げました。

 

<代表質問全文>

一、新型コロナ肺炎への対応について

 まず、新型コロナ肺炎への対応です。
 病院、救急隊、検査機関など、昼夜を問わず献身的な活動をされている関係者のみなさまに、心から敬意を表します。また、感染された方々の早期の回復を願い、亡くなられた方々に心からのお悔やみを申し上げます。

 知事は施政方針表明で、事態は新たな局面を迎えていると述べました。感染経路のわからない、人から人への感染が都内・国内で広がり始めているいま、感染拡大の防止と都民のいのちを守るうえで、まさに重大な局面であることについて、知事の認識を伺います。

 先日、都内介護施設職員の感染が報告されました。利用している高齢者や家族、職員に感染が広がらない万全の対策、都内全ての介護施設の感染防止対策の現状の把握と対策強化、都としてマスクや消毒液を確保して提供することが必要です。何よりも、都民、関係者の不安と要望にこたえるよう全力をあげる必要があります。いかがですか。

 さらに、都内の学校の生徒、教職員から感染者が出た場合、どう対応するのですか。また学校における感染予防対策には、どう取り組んでいますか。

 新型コロナ肺炎について都は昨日、国に要望を行いましたが、政府の対応がきわめて不十分な中、最前線で対応している都として、局面に応じて国に働きかけ、国を動かすことが必要です。知事いかがですか。

 なかでもウイルス検査を、広く、早く実施できるようにすることは急務です。感染の不安をもつ多くの人が、速やかにウイルス検査を受けることができるよう、PCR検査体制を抜本的に拡充強化することを、国につよく要請すべきです。見解を伺います。

 知事は、検査機器を増やす補正予算を提出しましたが、職員体制の拡充強化も必要です。高い専門性をそなえた臨床検査技師を増やす取り組みを、ただちに具体化すべきです。いかがですか。

 開業医をふくめ専門外の医師に対する、新型コロナ肺炎の正確な知識、対応策の普及・啓発、情報提供も重要です。都は、どう取り組むのですか。

 観光業や中小企業への影響について、相談を待つだけでなく、都として実態把握をする必要があります。いかがですか。

 検査、相談、医療、産業支援をふくめ、今後の事態の推移に対応し、状況に応じて、今回の補正予算にとどまらず、さらなる追加対策に迅速に取り組むことも必要です。知事の認識と対応を伺います。

二、高齢者福祉について

 さて小池知事は、就任当初は「反自民」の改革者として振る舞い、都民の人気を得ました。しかし希望の党を立ち上げ国政に出ようとして失敗して以降、流れは変わりました。
 結局、都民の期待にこたえる都政の改革は、実現されていません。なかでも、石原都政が切り捨てた高齢者福祉の立て直しや、貧困と格差対策は、きわめて不十分です。

 知事は、戦略ビジョンで「長寿」を掲げました。
 ところが新年度予算案では、特別養護老人ホームも、介護老人保健施設、認知症高齢者グループホーム、地域密着型サービスも、整備費補助が大幅減額となっています。局要求で減額だったのを知事査定でさらに切り込みました。
 知事は、特養ホームなどの介護基盤整備の重要性を、どう認識しているのですか。これまで一般的重要性の認識は答弁していますが、行動がともなっていないのではありませんか。

 これらの介護施設の高齢者人口一人あたりの定員数は、いずれも全国最低水準です。特養ホームの待機者は約3万人で高止まりしており、都の整備目標に対する進ちょくも立ち遅れています。
 都のきびしい条件でも「入所の必要性が高い」とされた待機者でさえ、3年間で3956人から3820人に、わずか3パーセント、136人減少しただけです。これでは、「入所の必要性が高い」人でさえ、全員入所できるまで何十年もかかります。知事それでよいのですか。
 少なくとも、「入所の必要性が高い」人がすぐに入れる緊急整備に取り組むべきです。いかがですか。

 介護基盤整備は、高齢者だけでなく、介護をする家族にとって切実な課題です。「介護離職ゼロ」は知事の中心公約です。介護基盤整備なしに「介護離職ゼロ」はありえません。知事の認識を伺います。

 介護人材不足対策も急務です。介護職員に対し、保育士と同様の都独自の人件費補助を行い、賃金の底上げを図るべきです。いかがですか。

三、国民健康保険について

 多くの都民を苦しめている国民健康保険料・保険税の重い負担への対策は、予算案に盛り込まれていません。
 23区では、値上げがまた提案され、低所得世帯は軒並み値上げとなります。赤ちゃんもふくめ、すべての加入者に課される均等割は、一人あたり5万2800円にもなります。
 知事は、国保の制度設計は国の責任だと繰り返していますが、子どもの均等割を軽減する自治体は、全国で少なくとも25市5町に広がっています。都内でも5つの市が実施しており、武蔵野市は新年度から始める予定です。
 子どもが多いほど重くのしかかる均等割は、子育て支援や子どもの貧困対策に逆行するからです。
 知事は、都内や全国の自治体のこうした動きを、どう受け止めていますか。子どもの均等割軽減の重要性をどう認識していますか。都も踏み出すときではありませんか。

四、都民生活への支援について

 内閣府が発表した、昨年10月から12月期の国内総生産速報値は、年率換算で6・3パーセント減と、大幅に落ち込みました。GDPの約6割を占める個人消費が前期に比べ2・9パーセントのマイナスになり、消費税増税の影響などにより消費の冷え込みが深刻化しています。
 アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは、「日本の消費税の大失態」と題する社説を掲げ、イギリスの雑誌エコノミスト電子版は、「最大の経済的愚策を繰り返した」と書きました。
 知事は、消費冷え込みの深刻な現状と、消費税増税の影響を、どう認識していますか。

 知事は、第4回定例会のわが党の質問に「中小企業の現場の声に耳を傾けて、その実態を的確に把握をする」と答弁しました。そうであるなら、中小企業の消費税増税の影響調査を継続し、調査対象を拡大して行うべきです。いかがですか。

 賃金の引き上げ、国や自治体による経済的支援などにより、国民・都民の家計をあたためる経済政策への転換が急務です。認識を伺います。

 都が発注する契約において、賃金の支払いが適切に行われているのかが問われています。

 知事は、第4回定例会で「労働者の適切な処遇の確保は重要」であり、今後はフォローアップ調査を行い、実効性を高めていくと答弁しました。どのくらいの規模で、どのように取り組むのですか。

 労働者の処遇改善のためにも、公契約条例の必要性があると考えますが、いかがですか。

五、待機児童対策について

 知事は、戦略ビジョンのトップに、子どもへの支援を掲げています。
 これまで認可保育園の増設は前進しました。しかし今回の施政方針表明に、待機児童ゼロの言葉がありませんでした。しかも、認可保育園などの保育サービス整備目標を、これまでの年間2万1000人分から、次期計画案では1万4000人に引き下げています。
 わが党の調査では、2月26日現在、都内12区17市4町村だけでも、認可保育園入園の一次選考不承諾の子どもは、約1万4600人もいます。
 知事は、今年3月までに待機児童ゼロを実現すると約束していました。この約束を棚上げするのですか。待機児童ゼロをいつまでに、どのようにして実現するのですか。

 そもそも知事の言う待機児童ゼロは、本当のゼロではありません。いわゆる「隠れ待機児童」をふくめたゼロを実現し、保育を必要とする人だれもが、いつでも認可保育園に入れるようにすることが必要です。知事の認識と対応を伺います。

六、子ども・子育て支援について

 子ども食堂は全国に広がり、約4000カ所とも言われています。都内でも大きく広がりました。わが党の提案にこたえて、都が子ども食堂への補助を実施したことは、都内の取り組みを支える力となりました。子ども食堂の取り組みをどう評価していますか。

 都が全額補助するのは、新年度までの予定です。子ども食堂に取り組む方々から、全額補助を継続してほしいとの声があがっています。都の補助が後退すると、区市町村の財政力の違いが事業に大きく影響します。
 子どもの貧困対策の役割とともに、すべての子どもに開かれた居場所であり、地域の交流の拠点になっている子ども食堂への補助を継続し、拡充することが必要です。見解を求めます。

 学校給食は、「学校給食摂取基準」が定める栄養価を満たすことが必要です。そのためには、食材費高騰への対応が大きな課題です。ある区の調査では、十年間で野菜の価格は34%、魚は14%も高騰しています。
 そのため、給食のリンゴを、4分の1から8分の1にする、モヤシを増やすなどの対応が余儀なくされています。一方、給食の質をよりよいものにしようとしたら、保護者負担を増やさざるを得ないという問題に直面します。
 知事は、学校給食が、よりよい食習慣を形成する上でも重要だとの認識を示してきましたが、食材費高騰が、必要な栄養確保や食育を進めるうえで障壁となっているという認識はありますか。

 知事は、学校給食は重要な学校教育活動である、義務教育は無償が憲法の原則だ、という答弁をしています。であれば、学校給食費の無償化に踏み出すべきです。

七、私立高校生の保護者負担軽減について

 私立高校の学費負担軽減も重要です。
 都の「子供の生活実態調査」によれば、私立高校に通う低所得層の74パーセントは「家計が赤字」です。
 私立高校で学費の相談にのっている方の話では、都の入学支度金貸付制度だけでなく社会福祉協議会の融資制度などを紹介することも多く、みなさん必死に費用を工面していると言います。
 不登校経験などがある場合、たとえ経済的に苦しくても、子どもに合った私立に行かせたいという家庭も少なくありません。

 来年度予算案に、私立高校生の授業料無償化の年収910万円までの拡大が盛り込まれたことは重要です。同時に、入学金や施設費については補助がなく、低所得家庭でも全額を自己負担しなければなりません。
 知事は、私立高校の授業料負担軽減の意義をどのように認識していますか。入学金も学費の一部として、同様の意義があるのではありませんか。
 知事、入学金減免に踏み出すべきではありませんか。

八、子どもの権利について

 知事は施政方針表明で、子どもを大切にする社会をつくりたいと述べました。そのためには、子どもの「意見表明権」を大事にすることが必要です。知事の認識と対応を伺います。

 また、子どもの権利条例の検討を求めるものです。いかがですか。

九、教育施策について

 知事が戦略ビジョンで、2030年に向けた教育の目標として、区市町村立小中学校の「全国学力テストの全教科・全設問で全国水準を上回る」ことを掲げたのは見過ごせません。
 しっかいの全国学力テストは、序列化や過度な競争、画一的な教育などの弊害を生むと、国会でも国民にも批判され、国も十分配慮するとしていたものです。まがりなりにも都教委は、これまで全国学力テストの点数を教育の目標としたことはありません。

 教育長に伺います。そもそも学力テストの目的とはなんでしょうか。

 また、知事が区市町村立小中学校の教育の目標を決めることは、区市町村の教育への介入に当たるのではありませんか。

 国連子どもの権利委員会は、子どもにとってあまりにも競争的な日本の教育環境を改善するよう、日本政府に勧告しています。

 全国的には学力テストをやめる県も増えています。教育現場にゆがんだ競争を持ち込む政策目標は撤回すべきです。知事、お答え下さい。

 教育の充実のために、いま急ぐべきは少人数学級を広げることです。

 東京都は2010年度に、小学校1、2年生と中学1年生を35人学級にしました。しかしその後、一歩も前進していません。その間に多くの県が実施を拡大し、全国の7割以上の県が、小学校の3年生以上も少人数学級にしています。
 東京と同じ学年のみの実施だった佐賀県も、今年度から小中学校全学年で35人学級を可能にしました。山梨県は昨年から5回の検討会を経て、より質の高い教育を実現するために、25人学級の推進を決めています。
 経済格差の拡大や、いじめ、不登校、特別な支援が必要な子どもの増加など、学校をとりまく状況が複雑化するなかで、少人数学級は効果を発揮しているからこそ、全国で広がっているのです。知事は、こうした事実をご存知ですか。

 東京でも、小中学校全学年で35人以下学級を実施すべきです。知事、お答え下さい。

十、都立病院・公社病院の独立行政法人化等について

 次に、小池知事が進める「3つの大問題」の中止を求めて質問します。

 第一に、知事が昨年の第4回定例会で突然表明した、都立病院・公社病院の独立行政法人化です。
 知事は施政方針表明で、独立行政法人化が都民の安全安心を確保する取り組みであるかのように述べました。事実を真逆に描くものです。
 また東京都は、独立行政法人化しても、いままでの医療と変わらないと宣伝しています。これも都民をあざむくものです。

 都立病院は、感染症医療や災害医療、周産期医療など、他の医療機関だけでは対応困難な行政的医療に取り組んでおり、その中核的な役割を果たしています。その役割を果たし、採算の確保が困難な行政的医療を提供するためには、東京都の一般会計からの繰り入れが不可欠です。知事は、どう認識していますか。

 独立行政法人化のねらいは、都立直営から、より民間に近い経営形態に変えて、効率化や採算性を優先し、都の一般会計からの繰り入れを減らして、都民のいのちを守るための医療への支出を減らすことにあります。そうなれば、不採算などの行政的医療の後退や、患者負担増、医師・看護師の労働環境の悪化などを招くことは明白です。

 独立行政法人化を推進してきた都立病院経営委員会の委員長は、「同じような税の投入が継続するのでは、何のための独法化か」と発言しています。
 また、昨年末に都が示した「新たな病院運営改革ビジョン(素案)」では、都立病院に「都民の税金が投入されて」いると書き、費用を削減しなければならないとしています。公社病院についても、「更なるコスト削減を図ることで、都の財政負担を軽減させる」と書いています。
 知事、独立行政法人化の目的が、都立病院・公社病院への都の財政支出を減らすことにあることは、明白ではありませんか。

 日本共産党都議団は、都が独立行政法人化の成功例として評価している大阪府の現地調査を行いました。
 大阪府立病院機構に独法化のメリットを聞くと、機動的に新しい料金設定や改定・見直しができるようになったと説明します。しかし、機動的に見直されたのは患者負担を大幅に増やす料金改定です。
 たとえば母子医療センターの分娩料は、直営時から約2倍値上げされ18万4000円。セカンドオピニオン料は約3倍の2万2000円。差額ベッド代も最大6万円まで値上げされています。知事は、この事実を知っていますか。

 知事による意思決定の不透明さも、浮き彫りになっています。

 独立行政法人化の方針は、決裁の手続きが行われていません。知事、都立病院・公社病院の独法化というきわめて大きな方針の決定について、なぜ決裁手続をしなかったのですか。

 都立駒込病院は120年の歴史があります。精神科医療の松沢病院は140年の歴史を重ねています。明治の東京府、東京市の時代から、長い歴史の中、いっかんして公立直営病院として役割を果たしてきました。直営であることが必要だったからにほかなりません。
 独立行政法人化は、都立病院のかけがえのない役割を大きく後退させ、深く傷つけるものであり、きっぱり中止することを、きびしく求めるものです。

 国による公立病院・公的病院の再編統合計画も重大です。国は昨年、「再編や統合の議論が特に必要」とする424病院を、突然名指しして、公表しました。
 これに全国知事会、全国市長会、全国町村会は3会長連名で、「国民の命と健康を守る最後の砦である自治体病院が機械的に再編統合されることにつながりかねず、極めて遺憾」と抗議の声をあげました。
 都内でも、難病医療で全国的に非常に高い実績をもつ都立神経病院、そして区立台東病院や奥多摩病院、町立八丈病院など地域でかけがえのない役割を果たしている病院を再編統合の対象としたことは、断じて許されません。
 しかし都は国に、抗議も、撤回を求めることも、一度もしていません。国に抗議するとともに、再編統合計画の撤回を求めるべきです。いかがですか。

十一、羽田新飛行ルートについて

 第二に、羽田新飛行ルートの中止です。
 都民の安全を顧みず、羽田新飛行ルートを推進している国の責任は重大です。
 同時に、都民のいのちと健康を守ることを使命とする小池知事が、国際競争力の向上や東京五輪に資するとして、国の決定を歓迎し、国と一体となって進めていることに、多くの都民が驚き、あきれ、怒っています。小池知事の責任も、きわめて重大です。

 羽田新飛行ルートは、騒音や航空機からの落下物など、いのちや健康に重大な危険性があることが指摘されているにもかかわらず、国は1月末から実際に乗客を乗せた試験飛行を強行しました。
 直下の地域住民からは、「ボールを投げたら当たりそうなほど飛行機が低くて恐怖感を覚えた」「次から次へと飛行機が真上を通過して、これが毎日続くと思うと耐えられない」「子どもの健康に影響が出ないか不安」「音楽関係の仕事をしているが、騒音がうるさくて仕事にならない」など、試験飛行の段階からすでに住民の暮らしに大きな影響を与えています。知事はこうした実態と都民の声を、どう受け止めているのですか。

 国は、騒音を減すために、着陸の降下角度をより急角度にするとしています。都は、この降下角度変更の理由を、どのように認識しているのですか。

 パイロットや専門家などは、これによりジェットコースターのような着陸となり、非常に危険だと指摘しています。また急角度での着陸は、尻もち事故やオーバーランなど事故の危険性が高まり、世界で最も難しい空港になると警鐘を鳴らしています。
 実際に、アメリカのデルタ航空やカナダのエアカナダは、安全性などの観点から、羽田新ルートでの着陸を見送ったり、成田空港に着陸を変更しました。 
 これでも知事は、羽田新飛行ルートの危険性についての認識をもっていないのですか。

 航空機からの部品欠落は、国の調査でも2年間で974件となり、年間で平均すれば毎日のように発生しています。また直近1年間の方が増加している衝撃的な事実が明らかになりました。航空機からの落下物は避けることはできません。

 知事、重大事故が起こってからでは遅いのです。国に、羽田新飛行ルートを撤回することを強く求めるべきです。知事の答弁を求めます。

十二、カジノ誘致について

 第三に、カジノ誘致の検討をやめることです。

 カジノ担当の元副大臣で東京選出の現職の国会議員が、カジノ事業者から賄賂をもらった疑いで逮捕されました。知事は記者会見で「デメリットの部分がこのような形で出たことはとても残念」と述べました。知事、その認識はいまも変わっていませんか。
 また、記者に問われて知事は、「都としてメリット、デメリットについては今後も検討を重ねていく」と答えました。都は、カジノの調査を2014年度以降、延々とつづけていますが、カジノのメリット、デメリットとは、なんですか。知事、それぞれ具体的に答えて下さい。

 知事選の争点になるのを恐れて、いつまでも「メリット・デメリットの検討を続ける」としか言わない態度は、都民をあざむくものです。

 知事は今年度、IR、特定複合施設等に関する、みずほ総合研究所への委託調査を予算化しています。新年度予算案にも、カジノの調査費用1000万円を計上しています。誘致する気がないなら、こんな調査に多額の税金を使うはずがありません。
 知事、誘致する気があるから、お金をかけて調べているのではありませんか。

 カジノ問題で現職国会議員が逮捕されたのをきっかけに、北海道はカジノ誘致の申請を断念し、千葉市もカジノ誘致申請を見送りました。横浜市でも「カジノの誘致は反対」の運動と世論が広がり、東京都内にも「カジノいらない!東京連絡会」ができました。
 共同通信社の世論調査によると、カジノをふくむ統合型リゾート施設・IR整備を見直すべきだとの回答は、77・5パーセントに達しています。世論は、カジノは「見直し」「凍結」で明確です。
 知事、こうした住民の運動と世論をどう受け止めているのですか。

 厚労省の推計によれば、ギャンブル依存症の疑いの人は全国ですでに320万人、いまでも深刻な事態です。完治できないと言われているギャンブル依存症をさらに増やすカジノ誘致の検討は、きっぱりやめるべきです。知事の答弁を求めます。

十三、都市政策について

 小池都政による、東京のまちこわしも深刻です。

 大手デベロッパーが進める神宮外苑の再開発は、長い歴史でつくられた景観、環境、文化、貴重な緑を破壊し、文化的価値もないがしろにするものです。
 なかでもイチョウ並木は、都民はもちろん、観光名所として世界中から多くの人が訪れる憩いの場所です。ところが今回の計画では、ホテル併設の野球場が、イチョウ並木のぎりぎりまで迫って建設され、景観を圧迫します。
 80メートル、185メートル、190メートルの超高層ビルが建ち並び、神宮の森は、高層ビルの森に変わってしまうと言われています。
 知事、こんなことをしてよいのですか。現在の神宮外苑のもっている景観的価値、文化的価値をどう認識しているのですか。

 環境アセスで示された計画案に対し、「『緑豊かな風格ある都市計画を保全する』とうたうのであれば、即刻計画を見直してほしい。並木が死んでしまう」「現在でも少しでも風の強いときはまともに歩けないのに、超高層ビルが建つと安心して歩ける場所ではなくなってしまう」などの都民の意見書が殺到し、事業者は批判の強さに、計画案の一部を修正せざるを得なくなりました。
 その修正案に対しても、地域での説明会では、「地球温暖化による問題が世界で起きているのに、高層ビルばかりの公園は時代に逆行している」「自然豊かな外苑地区がどんどん変わってしまう」など、計画の見直しを求める声が相次ぎました。
  知事は、環境アセスの調査計画書や説明会で、都民から計画へのきびしい批判がよせられていることを、ご存じですか。住民の声を尊重すべきではありませんか。

 都は、外苑地区を「世界に誇れるスポーツクラスター」にすると位置づけています。ところがこの開発によって、外苑地区にある6面もの軟式野球場、フットサルコート、一部のテニスコートなどが軒並み廃止されます。軟式野球場は、抽選に当たるのは宝くじに当たるようなものと言われるくらい、都心の貴重な施設です。
 スポーツクラスターすなわち「スポーツの集積地」をつくると言いながら、超高層ビルは建てる一方、都民が親しめるスポーツ施設を減らすのは、おかしいのではありませんか。知事いかがですか。

 首都高の日本橋の地下化も大問題です。
 大手デベロッパーが地下化のための用地と資金を提供する見返りとして、容積率の大幅緩和をしてもらい、日本橋川沿いには超高層ビルが建ち並ぶことになります。江戸時代から続いてきた老舗などから、景観と環境をこわすことに強い疑問の声があがっています。
 そのうえ、さらなる首都高地下化にともなう大型車の迂回ルートについて、国や都を中心に検討されていますが、これにあわせて周辺地域の再開発も行われます。
 これを実施すれば、事業費はさらにふくらみ、首都高株式会社や都の財政を圧迫します。費用とその分担をあいまいにしたまま突き進むことは許されません。知事いかがですか。

 ほかにも、渋谷、虎ノ門、池袋、新宿、大手町など都内各地で、都市再生特別地区などによる容積緩和をうけて、超高層ビルを林立させる計画が進んでいます。
 知事は、「成長と成熟が両立した東京をつくる」と言いますが、ロンドンやパリなど欧米の成熟した都市は、超高層ビルの開発は一部の地域に限定し、古くからの街並みを保存しており、東京のようなやり方はしていません。
 デベロッパー・ファーストのまちこわしはもうやめて、歴史的な景観、文化、環境との調和を大事にし、住民が住みつづけられる、住民参加のまちづくりへの転換が必要です。知事の見解を伺います。

 日本橋再開発で計画されている5つの超高層ビルのうち、八重洲一丁目北地区、日本橋室町一丁目地区の2つをつくるだけで、建設後、建築物から年間1万7570トンのCOが排出されることになります。それにより増えるCOを吸収するためには、中央区の面積の1・6倍もの森林が必要です。知事は、そのことを認識しているのですか。

十四、気候変動対策について

 ゼロエミッション東京戦略で、都がその目標として、2050年に温室効果ガスの排出量ゼロを実現し、産業革命前からの平均気温の上昇を1・5度に抑えることを据えたことは重要です。
 しかしそのためには、これからの10年間に大幅に排出量を減らすことが必要です。国連事務総長も、2030年に45パーセント削減する必要があるとしています。都がゼロエミッション戦略で掲げた、2030年までの削減目標は、これにまったく足りていません。知事、その自覚はありますか。

 しかも都は、太陽光パネルを増やす、乗用車の新車販売の半分をゼロエミ車にするなどの一つひとつの対策で、どれだけの温室効果ガスが削減できるのかという数値を示していません。
 これでは施策を進めても、2030年までの不十分な削減目標でさえ実現できるのか、見通しがもてません。知事、根拠や数値を示して下さい。

 専門家や環境団体は、気候非常事態の打開に必要な2030年までの目標についても、そのために必要な方策についても提案しています。
 知事が目標を本気で実現しようとするなら、専門家や環境団体を集めて、目標の設定、達成手段から練りあげること、その内容を都民や企業に伝え、行動を呼びかけ、力を発揮してもらうことが欠かせません。知事の認識と対応を伺います。

十五、防災対策について

 地球温暖化にともない、台風や豪雨による災害が増え被害が大きくなっています。

 昨年の台風19号では、京成本線の葛飾区側は、鉄橋の橋ゲタの下1・2メートルのところまで、荒川の水位が上がりました。
 半世紀前、死亡者数1100人、30万世帯を超える浸水被害を生んだカスリーン台風によって、私の地元葛飾区は、ほぼ全域が浸水しました。「水が桜土手を越えるのを江戸川の土手から見て、あわてて家に戻り、家族と一緒に避難した。あの時の恐怖は忘れない」などと、当時の記憶は古くから住む方々の胸に深く刻まれています。それだけに、台風19号がもたらした状況は、記憶を呼び戻し、水害への不安が高まっています。
 葛飾、足立、江戸川、江東、墨田の区東部低地帯は、多くが海抜ゼロメートル以下で、浸水が想定される地域は人口250万人におよびます。近年の異常気象のもとで、この住民の生命・財産を水害から守るため、避難を中心としたソフト対策はもちろん、様々なハード対策の強化が求められていると思いますが、知事の認識を伺います。

 急がれているのは、京成本線の荒川橋梁の早期架け替えです。
 荒川の堤防は、高度成長期の地下水のくみ上げによる地盤沈下で低くなりました。その後、国は堤防のかさ上げをしましたが、荒川橋梁部分の堤防は、周辺の高さより3・7メートル低いまま取り残されています。
 増水時には水が堤防を乗り越え、堤防を掘り崩し、決壊させる恐れがあり、江東5区をふくむ7つの区の区長も先月、国に対して要請を行っています。都としても、架け替えの速やかな実施を国に求めるべきです。知事、いかがですか。

 洪水が最も大きな被害をもたらすのは、堤防を越えた水が堤防決壊を引き起こす「越水破堤」であると、水防関係の専門家が共通して指摘しています。莫大なエネルギーの水が一気に流れ込むため、避難や救助もままならず、人家も流されるからです。
 しかし現在、国が越水対策として進めているのは、いわゆるスーパー堤防です。スーパー堤防は、地域で開発が行われるときに整備される仕組みであるため、開発の計画がなければ整備されず、完成までには何百年という歳月を要し、最近の異常気象に対する水害対策としては、間尺にあいません。

 堤防強化が緊急課題であり、有効な強化策は、堤防の頂上部、のり面、のり尻の3点を補強することです。かつては国土交通省も研究を進め、実際に全国9つの河川で実施された経験があります。その後も、いくつかの工法が提案されています。国に、必要な検証や研究も行いつつ堤防強化を急速に進めるよう求めるべきです。いかがですか。
 なかでも先にあげた荒川橋梁は、架け替えに着手しても完成までに一定の時間を要します。それまでのあいだ、現在の荒川橋梁部の堤防の強化をしてほしいというのは、地域の切なる願いです。知事はこの要望をどう受け止め、対応するのですか。

 避難対策も重要です。
 私たちが各地で行った聞き取りから、正確な情報提供、地域の力を引き出すことや、避難所の多数を占めている学校側の協力の重要性が浮かび上がりました。
 事前の準備を積み重ねて、これらを的確に進めたのが足立区の第18地区町会自治会連絡協議会です。強力な台風が来ると判断した時点で、地域の役員、専門家、学校の校長・副校長を集めて、洪水が発生した場合にどのような危険があるか情報共有し、台風上陸の二日前には、要支援者への具体的行動をよびかけるチラシ配布と訪問を行い、前日に避難を開始しました。学校も前日に生徒らと机を運び出し、3階の教室を避難所にできるようにし、夕方には開設しました。
 これらが可能になったのは、同協議会が専門家も入れて、くり返し議論とシミュレーションを重ね、「コミュニティタイムライン」という形で、いつ、だれが、どんな対応をすればよいか、わかりやすくまとめていたからです。

 足立区第18地区町会自治会連絡協議会の取り組みは、消防庁の「第16回地域の防火防災功労賞」で、消防総監賞である最優秀賞を得ました。消防総監は、どういう点を評価して最優秀賞に選んだのですか。

 知事は戦略ビジョンで、コミュニティ重視を掲げ、施政方針表明では「共助の要は地域のコミュニティ」だと述べました。水害などの防災対策にとって、同協議会によるコミュニティタイムラインなど、先行的な取り組みを進める地域のコミュニティの役割は重要です。認識と対応を伺います。

 いつ来てもおかしくない首都直下地震に備えるため、住宅の耐震化は急務です。阪神淡路大震災の犠牲者の大半は、建物の倒壊による圧死でした。
 ところが知事は、住宅耐震改修助成の予算を2年連続で大幅に削減し、9億6千万円から2億5800万円に、なんと4分の1に減らしました。近年の助成の実績も、わずか300件程度にすぎません。施政方針表明でも、住宅耐震化への言及がひと言もありませんでした。
 知事は都知事選挙で、「住宅の耐震化・不燃化を2020年までに加速」すると公約したことを、覚えているのですか。この公約を、どうやって実現するのですか。

十六、東京オリ・パラ大会について

 東京オリ・パラ大会について、都民が心から歓迎できる大会として成功させる立場から質問します。まず、巨額の費用負担の問題です。

 大会経費の都負担は、立候補ファイルの時の1538億円が、いまでは5975億円に、4倍近くになっています。これに関連経費を合わせると、都負担だけで1兆3700億円にのぼります。
 組織委員会と国の大会経費も合わせると、実に2兆1千億円をこえています。そのうえさらに国の関連経費が加わりますが、その全容は明らかになっていません。会計検査院は、都と組織委員会、国をあわせた費用負担の総額は3兆円におよぶと試算しています。
 大会にかかわる経費の「縮減と透明化」は、知事の中心公約です。知事、公約をまともに実行したとは、とうてい言えない現状だと思いませんか。

 知事は施政方針表明で、大会経費について「一層の効率化を進める」と述べました。これは、どういう意味ですか。最後まで「縮減と透明化」を追求すべきです。知事の答弁を求めます。

 知事は、組織委員会の文書公開を、公文書と同程度の扱いにしたいと言っていました。しかし、組織委員会にはいまだ情報公開制度がありません。理事会の議事録も、共同実施事業の競争入札の入札経過も非公開です。知事、これで「透明化」の努力を尽くしたと言えるのですか。

 大会後の文書管理と保存も重要です。
 IOCに提出する公的報告書は永久保存となっていますが、大会にかかわる会議の議事録や会計簿などの保存期間は、公益法人法を根拠に十年間とされています。

 東京大会の招致不正疑惑をめぐり、招致委員会の会計書類がなくなっていることが大問題となっています。過去、長野五輪招致では、会計帳簿を廃棄したという悪しき前例もあります。こんなことにならないよう、都民・国民の共有財産として、きちんと検証できるようにすることが必要です。
 五輪大会は、関係者が多く、利害関係も複雑です。しかも巨額の公費を使っているのですから、法的に定めのない文書もふくめ、後々まで検証できる状態にしておくことは、開催都市としての責務です。知事の認識と対応を伺います。

 公益法人協会などは、政策的判断により議事録など法を超える長期保存、永久保存をしています。知事は、都民、国民の共有財産として永久保存することを、組織委員会と協議すべきではありませんか。

 組織委員会の解散後、清算人が引き継ぐ保存文書は,開催都市の責任で複製して公文書として保存し、閲覧できるようにすることを求めておきます。

 また、組織委員会の副会長である、副知事が清算人になることを提案します。知事いかがですか。

 東京五輪大会を、「平和の祭典」として成功させることも重要です。ところが知事は施政方針表明で、そのことにひと言もふれませんでした。民族や国境を越えた「平和の祭典」として次世代に引き継ぐ、その具体化が問われています。知事は、どう取り組むのですか。

 夢の島のアーチェリー会場のすぐ近くには、第五福竜丸展示館があります。ところがオリ・パラ期間は、セキュリティーの関係で休館になると聞いています。
 核の悲劇を国内外に伝える絶好の機会であり、競技会場の近くだからこそ開館すべきではありませんか。展示物など国内外の多くの方々に見ていただくことは大事だと思いませんか。知事の答弁を求めます。

十七、横田基地について

 最後に、横田基地周辺の環境汚染問題です。

 横田基地で、有機フッ素化合物ピーフォス、ピーフォアをふくむアワ消火剤が大量に流出したという報道を受け、都が基地周辺の井戸で水質検査を行っていたことが明らかになりました。
 立川市、武蔵村山市の井戸から、アメリカが飲料水基準として定める目標値を超える高濃度のピーフォス、ピーフォアが検出されています。これらの井戸は、飲用には使用されていませんが、災害時などには、やむをえず飲料水や農業用水としての使用が想定されています。
 ピーフォス、ピーフォアは、沖縄の米軍基地周辺でも検出されています。自然界ではほとんど分解されず、作物や人体に摂取されると蓄積されやすい有害物質です。国連のストックホルム条約会議で製造・使用が原則禁止されています。
 横田基地および基地周辺の深刻な環境汚染を、知事はどう認識し、対応するのですか。答弁を求め、再質問を留保して質問をおわります。