【ネタバレ、少しあります。】
都知事選もたけなわの7月7日(日)、
完全に春ドラマが終わり、すでに夏トラマもはじまっていますが、
2024年春期、大好きなドラマを3本見つけてしまいました。
丁度ドラマの端境期、4月1日(月)から始まった「VRおじさんの初恋」。
タイトルだけ見ると「又NHKが実験ドラマを。」と思いましたが。
前原滉さんが出演されるという事で観て見ました。
野間口徹さん初の主演ドラマです。
最初は、VR世界のバ美肉系が中心で、見たり見なかったりしていたのですが、
後半、現実世界が表現され出すと、一気に惹き込まれていきました。
映画監督のしばざきひろしさんが、Xで、
「おっさんズラブ・BL・GL(ガールズラブ)・シン(グル)ママの子育て・社会の女性進出・イジメ・親子の確執・リストラ・高齢化社会・がん・会社での人間関係など挙げればキリがないほど、設定が詰め込まれているのに、見事に整理されている」とおっしゃっていますが、
まさにその通りです。
あと、「遣り甲斐のあるお仕事とは?」についても、言及しています。
中・高生から高齢者まで、すべての男女にささるドラマです。
Xで20~50代の男性らしき方々が、「VRおじさん」リアタイしたいから、
仕事早く切り上げて帰って来た。」という人の何と多かった事!!
どうもリアタイする人と1週間分まとめてゆっくり観る人に分かれていたようでしたが、
みなさん再放送も含めて何回も視聴されていたようです。
わたしも再放送、全部拝見しました。
「夕暮れ」のような穏やかな、一日の終わりを締めくくるのにピッタリのドラマでした。
そしてラストは光あふれる「デイブレイク」というVRの世界と
現実での希望だけ残して、きちんとドラマ内で物語が終了しました。
なお「5月期月間ギャラクシー賞」受賞ドラマです。
(ギャラクシー賞、信用している訳ではありませんが、一応権威ある賞です。)
Xにも何度かトレンドにあがりました。
公式さんがトレンド目的に何度も投稿して無理矢理トレンドに上げる事もなく、
純粋に観ている人と、ドラマの演者、
スタッフさんと対等に対峙してくださった原作者の暴力とも子さんのドラマへの感想のみで、時々トレンドにあがっていました。
ゴーグルを付けた口元だけの野間口さんの演技。これだけでも見る価値があると思います。
「孤独なおじさん」と一言でまとめられる野間口徹さん演じる近藤直樹(ナオキ)も、
ベスパに乗ってモッズコートを着てパンダが好きという、ちゃんとした個性があるのです。
当たり前だけど、ひとまとめに言われている人(例えば「孤独なおじさん」とか。)でも、
千差万別個性ある個人なのです。
そういう、ともすれば忘れてしまいそうな当たり前の事を再認識させてくれるドラマでした。
NHKさんから「VRおじさんの初恋」の絵ハガキを送っていただきました。ホクホクです。
ちなみにお友達は、
「VRおじさんんの初恋」のマンガ本が欲しくて、ネットで予約したみたいです。
重版になったため、再発売までに少し時間がかかるようですが楽しみにしているそう。
「今期って何か面白いドラマある?全然面白いのがないんだけど。」とお友達。
丁度「燕は戻って来ない」が始まる前日だったので、
「ドロドロがイヤでなかったら、桐野夏生さん原作の『燕は戻って来ない』が始まるよ。」
「あと、途中からだけど、「VRおじさんの初恋」も今からだと、付いていけるかも。」と、
お話したら、どちらのドラマも気に入ってもらったようで、
電話やラインでドラマについて、お話するのが楽しみでした。
ずっと自分の意志なく人に流されていた石橋静河さん演じる大石リキ。
最後、自分の意志で、男女の双子ちゃんのうち女の子(ぐら)を手に抱いて。
「女は女同士生きて行こう。女はいいよ。」みたいなセリフと同時に、
抱っこ紐に女の子(ぐら)を乗せた時の凛とした意志の強そうな表情。
そして東京渋谷のスクランブル交差点に消えていくリキ。
後日談は読者にぶん投げた、まさに衝撃作でした。
TBS火ドラ「くるり~誰がわたしと恋をした~」が最終回を迎えた後だった事もあってか(笑)、
ドラマ終了後、ビックリの「トレンド世界1位」を獲得しました。
もちろん公式さんは放置プレイ(笑)なので、ほぼ純粋にこのドラマの実力と言えます。
夏野さんはこのドラマが始まる前に「クローズアップ現代プラス」で、
「ドラマ化するに、理解あるスタッフさんに恵まれて、案外これが一番大切かも。」云々と、
おっしゃっていました。
登場人物全員に嫌悪感を抱く稀有なドラマですが、
そんな嫌な登場人物でも、全員どこかに自分との共通点があるのです。
ドラマを観るうち、隠したいようなイヤな部分と対峙しなくてはいけなくて、
どよ~んとした気分になるのですが、それを越えるとカタルシスがあり、
入り込めるドラマでした。
中村優子さん演じる春画家のりりこは「春画はその瞬間しか描かないの。
あとに起こる妊娠や病気等は描かないの。だからいいのよ。」と言っていました。
このドラマもリキが子どもちゃんを連れて逃げた後の事は触れていません。
りりこの言葉は、この終わり方を暗示していたなと思います。
「アンメット」は記憶喪失の医師のお話です。
わたし、そこそこ長く生きていますが、
今まで一度も「記憶喪失」の人には出会った事がありません。
なのに今期のドラマ、6本も記憶喪失を扱っているなんて!!
そんな中でも「アンメット」の記憶喪失はとてもリアリティがあり、
「もしかしたら、わたしも。」と思わせるものでした。
又、ドラマの中に展開される入院患者のドラマが挿入されるんですが、
それがすごくよかったです。
杉咲花さん演じる川内ミヤビと若葉竜也さん演じる三瓶友治の、
お互いを尊重する穏やかな佇まいと心に秘めた熱い思いがとても感動的でした。
又、ミヤビが「後遺症を乗り越える事が一生できない。」と伝えていた所が印象的でした。
TVドラマでは、「大丈夫!!治るわよ!!」的な表現の多い事!!
そんな時は正直生ぬる~い気持ちで見ていました。
そう、後遺症に限らず、治らない病気って乗り越えられるもんじゃないんです。
後遺症を人生の持ち物と例えていましたが、
「病気になってありがとう。」なんて死んでも思わないし、
わたしは出来ればその荷物は手放したいです。はい。
原作者の子鹿ゆずるさんはXで、
「 視聴者の皆様、米田孝P、脚本家の篠崎絵里子さん、
Yuki Saito監督をはじめスタッフの皆様、杉咲花さん若葉竜也さんはじめキャストの皆様、
拙い原作に生命を吹き込んで下さり有難うございました。」
とおっしゃっていました。
原作のあるドラマは、やはり原作者とスタッフさんがリスペクトし合っているものが、
視聴者にも通じる感動的なドラマになるんですね。
「虎に翼」と「光る君へ」はまだ終わっていませんので、あんまり言えません。
ただ「虎に翼」、今の所「らんまん」級に好きなお話です。
「光る君へ」は最初キャッチコピーとして「セックス&バイオレンス」とかおっしゃっていて、
どうしても1998年から始まった「セックス・アンド・ザ・シティ(SATC」)を思い出し、
な~んか古臭く感じてしまいました。
(あくまでもイメージのお話です。元々1000年以上前の平安時代のお話ですから。)
で~洸平くんの周明。
中国語に一生懸命さがあらわれていて、好感が持てました。
演技も聞きやすい低音で不穏さの表現も抜群。
吉高由里子さん演じる賢いまひろに、
不器用な国際ロマンス詐欺をしかけても騙し切れない哀れな「マージナル・マン」の周明。
洸平くんの演技の芯の部分が生かされていて、とても素晴らしい周明でした。
「9ボーダー」は…。残念でした。
というより、「スカーレット」以降のテレビドラマで残念でないのを見つける方が厳しいです。
もちろん録画全部していますが。
「9ボーダー」、リアタイは3話で離脱しましたが、
後半、ある役者さんがゲスト出演して、その部分あたりを視聴。
その方の演技についてコメントしたら、
その方からファボられて、とても嬉しかったです。うっきゃ~。
10月から日テレで医療ドラマですか…。大丈夫かなぁ。
最近ドラマの良しあしは脚本家さんにかかっていますので、
スタッフさんの悪い影響を受けない、忖度しない力のある人を是非お願いします。
(満足度が「VIVANT」より高かった「厨房のアリス」は、劇団の主宰者さんが脚本を書き、
どんどん引き込まれるお話で、観るのが楽しかったです。)
脚本には、野木亜紀子さんや長田育江さんを希望します。
とは言え、日テレとは本当に残念です。
記事にも書いてありましたが、
単独主役は、実力派俳優の登竜門(笑)「NHK火10」か「BS」で飾って欲しかったです。
日テレだのフジだの、アイドル路線で行くと、演技派・実力派の道が遠くなってしまいます。
キューブはオファーが来たら全部受けるスタンスらしいので、正直心配です。
洸平くんが自分で出演作を選べるようになったら、
恐れず(笑)、是非、「NHK火10」「BS」へ来てください。お待ちしております。
(ドラマではありませんが、
個人的には「W松下」のミュージカル「ケインとアベル」を期待しています。)