銀行の書類に書き込むときに、うっかりボールペンを忘れてしまい、バッグに入っていた万年筆で書き込みをしたところ、『フリクションで書いたらダメです』と言われました。
万年筆に入っていたインクが、パイロット色彩雫の霧雨だったのでちょっと色が薄かったんですよね。
フリクションのブラックってグレーっぽいですから、どうやらそう見えたらしいです。
紛らわしくてごめんなさい
イギリスでは、公文書にはブルーブラックインクを使うという決まりがあるそうで、確かにイギリスに行った時に買ったボールペンのインクはブルーだったなぁと思い出しました。
ドイツでは、子どもたちの黒板の書き写しは万年筆にロイヤルブルーのインクなんですって。
だから、ロイヤルブルーにだけ反応して消えるペンがあるのよね。
有名なものですと、ラミーやペリカンからは子ども用の持ち方の矯正できる万年筆が出ていますね。
日本のように名前の筆記サインと印鑑をセットにしている国は少なく、海外では筆記サインが基本。
青インクで書かれたものはそのインクの濃淡で一目でオリジナルの原稿と判断でき、コピーと容易に区別できるためです。
ヨーロッパの慣習では、契約書を書くときに黒色カーボン紙を使って複写し、正式書類はペンの青色、写しがカーボンの黒色と分けていることもあるんですって。
日本ではどうかというと、昔は公文書は万年筆しかダメ、ということがあったそう。
現在では万年筆はダメというお役所もあり、黒・青のボールペンならOK、黒ボールペンしかダメなどいろいろあるようです。
アジアはやっぱり筆記は墨の文化だったからですかね。
実はこの『ブルーブラック』
もともとは色味の名前ではなくて現象の事だったんです。
青の染料以外にインクの中に没食子酸(もしくはタンニン酸)と鉄イオンを入れることで、筆記後に両者が酸化し黒みを帯びた一種の鉄塩が生じ、これが紙に固着します。
一方で青の染料は徐々に退色するので、青グレーに変化するように見えるため、この名が付いたといわれているのです。
その為、この製造方法で作られたインクを没食子インク(もっしょくしいんく/ぼっしょくしいんく)ということもありますが、古典インクと言われるのが主流ですね。
現在は没食子酸や鉄イオンを使わない、染料で経年後の色味を表現するインクが主流になっています。
ってことで、この万年筆の王道インク『ブルーブラック』
各ブランドから出ているのですが、多種多様すぎてここに手を出すのは本当にヤバい
でも、万年筆を使う場合は必ず通る道。
私も持っている万年筆インクは半分以上ブルーブラック系な気がしますw
筆記をしていて気持ちがいい、心が落ち着く色味のブルーブラックを探す旅。
私は一応、一応終えているので
多分、しばらくは在庫も増えないと思いたい
私のファースト『ブルーブラック』は、20歳の時に初めて万年筆(モンブラン/ノブレスオブリージュ/ブルーマーブル)を手にした時に頂いた、モンブランの『ミッドナイトブルー』でした。
これが先程の古典インクだったのですが、現在は成分が変わった『ミッドナイトブルー』になっています。
古典のブルーブラックのインクはインクフローが悪くなったり、鉄筆のペン先の腐食、ペン内部に固着したりする性質があるので、扱いには慎重になりますし、万年筆に慣れている方が使われるものかなぁと思っています。
特にモンブラン・ペリカンはそんな気がします。と言ってもモンブランは今のインクは使ってないけど。
ウォーターマン・セーラーはインクフローが良くて、書きやすいなと思って使っています。
私の持っているブルーブラックインクたち
ウォーターマン ミステリアスブルー
ペリカン/エーデルシュタイン タンザナイト
パイロット/色彩雫 月夜
ノートはmaruman Mnemosyne
文章は徒然草の第75段『つれづれわぶる人は』
文字は『えんぴつで徒然草』を見ながら書いています。
この3種類は、現在の王道ブルーブラックの筆頭だと思います。
大体、好きなブルーブラックインクのアンケートには登場していますね。
普段使いはウォーターマンとペリカン。
私が現在こよなく愛するウォーターマンのミステリアスブルー。
色変化はとてもドラマチックで、ブルーブラックに経年後の青み残りを求めている私の好みです。
LAMYサファリのEFで書いていますが、細い線でも万年筆特有のインクの濃淡がはっきりわかります。
写真ではわかりにくいのですが、レッドフラッシュ多め。
ニーモシネの紙の上だとブルーが薄いのですが、もっとインクを吸う紙に書くと、もっと濃いめのネイビーブルーの中にがっつりレッドフラッシュが現れます。
ペリカン/エーデルシュタイン/タンザナイトは、宝石の名を持つ通りインクの透明感・清潔感が美しくて、更に儚さが最後に残るような色味が素敵。
タンザナイトは私の大好きな宝石なので、余計かもしれませんね。
ちゃんとブルーブラックなインクで、書き始めた頃よりも時間がたった方が黒みが濃くなります。
インクボトルがゴージャスなのは、さすがペリカンの高級ラインのインクという感じ。
すごくどっしりしています。
月夜はお友だちから頂いたカートリッジだったので、これを使うためにPILOTのkakunoを購入。
メッセージやお手紙を書いたりするのに使っています。
青より緑に寄せた黒、という感じで色彩雫のシリーズで一番人気だったかしら。
色彩雫の深海の方がくすみが強くブルーブラックらしい色ですが、このニュアンスのあるグラデーションがしっかり表現される月夜の色がすごく好きです。
満月が出ている明るい月夜の、星がきらめく空の色という感じで、ネーミングセンスも天才だと思う色彩雫シリーズですね。
色彩雫は他の色でも紙に滲みやすいと感じていましたが、月夜も書き並べてみると文字のとめとはらいで特に滲んでいます。
この3つのうちで滲んでいるのはこの月夜だけですね。
あとは、ブルーブラックというか、パープルグレーというか、そんな色たち。
パイロット/色彩雫 霧雨
セーラー/四季織・十六夜の夢 仲秋
ブルーグリーンかな。
セーラー/四季織 山鳥
ノートはmaruman Mnemosyne
文章は徒然草の第150段『能をつかんとする人』
下手を恥じ、余計なプライドに固執するものは結局成長しない(あ、イタタタ
)
色彩雫の霧雨は、記事の冒頭に出てきていたアレです。
グレーですが、ほんのり温かみを感じる大人の上品ニュアンスカラー。
この色彩雫のボトルは、もうそれだけで情景を創り出せるほどの美しさ。
ボトルの制作費が高いのだそうで、色彩雫はあまり利益が出ないと何かの記事で読みましたが然もありなん。
お財布にもやさしいインクです。
月夜同様に紙に滲みます。これはBBじゃないね。
四季織の仲秋はくすみを帯びた紫を含んだグレー。
霧雨にグレーの濃さはよく似ていますが、仲秋の方が青みが感じられます。
夏が終わり、夜が少し冷えてきたころ、大きな月の輪郭に滲む冷えた空気をまとう夜空の色という感じ。
ニーモシネに細字で書くと、エーデルシュタインのタンザナイトによく似ています。
使う紙によって色が変わって見えるので、高発色ホワイトの紙だとブルーブラック寄り、ナチュラルホワイトな紙だとモスグリーンぽいグレーに見えます。
不思議~~。
こちらも四季織の山鳥。
神秘的なブルーグリーン。ニーモシネの紙でもレッドフラッシュが見られます。
最初は深いブルーが強く、だんだんと緑が出てくる感じです。
鮮やかすぎないけど地味過ぎないので、お手紙やメッセージに使うと印象が伝わる素敵な色だと思います。
ヤマドリって、黒褐色じゃなかったっけと思いましたが、ヤマドリじゃなくて日本の情景から山鳥という言葉のイメージの色ってことかな。
私は普段、山鳥を筆ペンに充填して古文を毛書します。
モヤモヤするなぁ


かと言って糸と針を持つ場所でもないしという時に、ゆっくりと筆ペンで静かに文字、それも古文や和歌を書くと気持ちの切り替えができるからです。
その時のインクは山鳥。
美しい濃淡にうっとりして、下手な自分の字も許せるというものです。
そうそう、山鳥色のカヴェコの万年筆はパケオという、めちゃめちゃプラスチックの軽いもので、見た目もお値段もファンシーな感じ。
なんですけども、侮るなかれ。
これがすごく書きやすくて、違う意味で裏切られた感じがしますw
名作ラミーサファリに匹敵するかもしれない
文字を書く手元が大人の雰囲気を醸し出すブルーブラック。
ひとつ楽しんでみてはいかがでしょうか。
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