ピアノ・・・ショパンを弾くにあたって | 八王子高尾 ピアノ教師 の日記

八王子高尾 ピアノ教師 の日記

桐朋学園大学ピアノ科卒業後個人でピアノを指導しつつ演奏活動を続けております。八王子市高尾駅より徒歩5分です。
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バッハやモーツァルトやベートーヴェン、まで順調に上達してきた方もショパンには戸惑う方が意外に多いです。

 

私も最初にショパンを弾いた中学1年生の時に周りに言われたのは

 

「それショパンに聴こえない」あせる

 

本人は、やたら多い♯や♭に楽譜読むのに悪戦苦闘。

黒鍵の多さに焦りまくり、何が悪いのか考える余裕もなし(笑)

ハノンの様な即興曲1番を弾いていた様です。

 

ちょっとその辺り考えてみましょう。

 

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何人かの方に動画でショパンの弾き方をレッスンした事があります。

皆さん上手な方ですが、無理な弾き方で練習し手に負担をかけていた方もいて、意外に奏法が伝わっていないのかな?と疑問に思った次第です。

 

これは比較的初心者の方でも弾きやすいと言われる(弾きにくいです)、遺作のノクターンです。

 

https://www.youtube.com/watch?v=-4quKyrOVww

 

 

ピアノを実際に弾かない方は気づきにくいですが、この左手の弾きにくさが地味~~についてまわります。

ショパンは左手の音域が広く、片手で弾くのが大変です。

 

片手でおさまる、ドミソ、の場合は、予め指を鍵盤に置いておけます。

でも、手の小さい人には大変厳しい10度音程の、ドソミ、の形が基本です。

 

このノクターンも左手の音域が大変広く、常にオクターブ+2度位は左手が動きます。

予め指をのせて用意する事も出来ず、ミスが多くなりますし、しなやかな手首の動きがないと、左手が疲労してしまいます。

 

手を移動させる必要がある時に、多くの方は今まで古典派を弾いていた様に、鍵盤の上を移動して上から弾こうとしてしまいます。

 

手が小さい方が10度の音程を掴む時、鍵盤の真上から弾くと届かなくても、鍵盤の手前から弾くと届くという事がよくあります。

上から弾くと鍵盤の角の分、余計に広くなってしまいます。

 

例え一度につかまなくても、音域が広いショパンの曲を上からまともに弾こうとすると、より拡げなくてはならない為弾きにくく、鍵盤の手前から弾くつもりの方が楽で弾きやすいです。

 

鍵盤の手前というと解りにくいですが、広い音域が届かない時に手前からなら届くという、その時の位置です。

 

鍵盤の手前から弾くなら、手首の位置を少し下げる必要があります。

こうする事で広い音域でも最小限に拡げれば弾けます。

 

それには手首の位置を下げる必要があるのです。

 

 

又別の面から考えてみます。

 

この曲はcis-mall(嬰ハ短調)

調号はシャープ4つの短調です。

つまりは黒鍵の使用が大変多いです。

 

対して例えばモーツァルト作品、調号が3つ以下と言ってよいでしょう。

白鍵の使用が多いのです。

 

黒鍵が多いショパンを、黒鍵の少ないモーツァルトの様に、手をお椀を伏せた形にして弾こうとすると、大変弾きにくいのです。

何が弾きにくいかと言えば、白鍵が黒鍵に比べ低いので指を深く差し入れないと届かないのです。

 

実験

左手で5指でド、1指でソを押さえ、♯ファを2指で押さえてみます。

 

最初は手のひらにお椀が入る形にします。

手の甲の高さを一切変えずに、2指で♯ファと♮ファを弾いてみます。

この時、手首を高くすると、2指は指の付け根から動きます。

深く差し込まないと届かないのですね。

 

同じ事を手首を白鍵と同じ位の高さにするつもりで下げてみます。

すると指が寝ます。

同じ様に2指で♯ファと♮ファを弾いてみます。

手首が低いと、指先だけの動きで弾けます。

 

手首を下げる事により手を拡げる事、黒鍵と白鍵を弾き分ける事が楽になるのです。

 

もう1点、広い音域を片手で弾く時、水平に手首を柔らかく動かす事で移動して弾きますが、広い音域をつかもうとすれば、手を拡げる為、手首の位置が自然と下がるのです。

 

低い位置で手首を水平に動かす為には、ピアノと身体に十分な距離が必要で、ピアノに覆いかぶさる様に弾いたりは出来ません。

 

自然にピアノと身体の間の距離も開き、音楽が広がる様になり、それがショパンの楽想とも一致してきます。

 

大雑把な分類ですが・・・

音域が片手で届く範囲におさまり、白鍵が多い古典派に多い作品

片手でおさまらない広い音域が多く、黒鍵が多いショパン

 

全く同じ弾き方ではうまくいきません。

 

長くなるのでここまでにしますが、手首を下げ、手首を開放して弾く事になるショパンの場合、当然運指も身体の使い方も変わってきます。

 

オクターブのレガートも、3度の半音階もこの奏法を押さえるととても楽に弾けます。

 

音楽が異なれば、当然弾き方も違ってきますが、そこに気づかずツェルニーの様に練習してもショパンは楽に弾けません。

 

ショパンの奏法は大変理にかなっていて手の自然な形に沿っている為、無理なくオクターブや6度等も楽に弾けます。

お弟子さんにも、スケールはC Dur(ハ長調)でなく、E Dur(ホ長調)から始めさせてましたが、手の形に自然に沿った手に負担のない調性なのですね。

 

ショパン作品は手には負担が少なく優しいのですが(易しいではないです)、音楽はとんでもなく難しいです(汗)

 

https://www.youtube.com/watch?v=b6ekCvBrm6o

 

手首の開放、無駄のない静かな打鍵、音色の弾き分け、広い音域、大きな跳躍・・・

大変な事ばかり要求される曲ですが、ショパンの奏法をとてもよく表している作品でもあります。

どれほど多くの人がこの曲の美しさに惹かれ、うまく出来なくてピアノの前で悩んでため息をついた事でしょう。