日本の音楽教育は第二次大戦中、ドイツから主に入ってきたので、子供にも厳しい教育法でした。
昔のピアノの先生怖かった、と皆さん言いますが、そんな事情もあったのでしょうね。
指上げて鍛えなさい、全部の音をちゃんと弾き、もっと大きな音で、体重のせて・・・
ハノン、ツェルニーというのが、そういう土台の上にもあったと思います。
日本は高温多湿で、エアコンが今ほど普及していない時代、梅雨時等はピアノが大変重くなりました。
実際、指しっかり上げて振り下ろしたり、体重のせないと、確かに重くて弾けなかったのです。
「窓全開で、首にタオルまいて、指振り下ろしてベートーヴェン練習したわよ~」
等とお友達と苦い想い出を共有しております(笑)
う~ん、ご近所の皆様ごめんなさい。
騒音にも大らか、昭和でした~(*^^*)
こんな風に教わった方が多いのです。
ピアノは基本個人レッスンなので、今でもそれが引き継がれているという話も時々聞きます。
ここで、ちょっと別方面から音楽を考えてみます。
以前の記事に、フォルテは表現である事。
潰される様なフォルテはあるけれども、ショッキングな音なので曲の中では多用されてはいない事。
伸びやかだったり、皆で歌ったりワイワイしたりする開放の表現のフォルテが多いという事を書きました。
この「開放」のフォルテの時
音楽は「開放」しているのに、気合入れて体重のせてガツン!
これは音楽と身体感覚が一致していません。
何かを伝えようと歌い、何かを伝えようと体が動く。
それが音楽の原点だと思うのです。
伝えたい、表現したい、「何か」の感情、音楽はそこから湧き出てきたものです。
この音楽の持つ感情に反する身体の使い方をすると、大変弾きにくくなります。
全部の音を均等に!
本来、湧き出てくる拍子やリズムに沿えば、すべての音は均等にはなりません。
(スキップなら短い音が軽いですよね)
フォルテだから、全身をのせて、上半身全部のせて弾きなさい!
開放を表現するなら、のしかかって入れ込む事は音楽に反しています。
指上げて振り下ろして、しっかりした音できちんと弾きなさい!
その弾き方が出す音は道路工事の様で、音楽ではありません。
音楽に反するという事は、音楽が表現しようとする感情と反する事になります。
大げさな例えですが
悲しくて嗚咽したくなる時に、笑え!と言われたらどうでしょう?
喜びで満ちている時、憎悪をむき出しにした表情をしろ!と言われたらどうでしょう?
音楽から離れた弾き方、練習、とはそれに等しい事だと思うのです。
指を大きく動かし一音一音打ち込む様に練習すると、最初はある程度音が当たる様になり、指の動きも良くなります。
けれど、ある時期から、だんだん弾けなくなります。
曲を弾こうとすると、「弾きにくさ」がついて回ります。
けれど、なまじ最初に効果があるので、その後の上達がないと練習が足りない!と言われたり思ったりする訳です。
初期効果の時点ですぐ辞めるなり、時々弾いてみる程度が良い様に思います
私自身、この様な練習を成長期に長期間毎日続けてしまいました。
当時の先生からは、ハノンを100回弾く様によく言われました。
時には、「練習前にハノン全部弾く様に」とも(ゲゲッ!)。
さすがに時間的に無理なので、あちこちチョンボしてましたが(笑)
でも自分で言うのも何ですが真面目だったので(笑)、一生懸命やりました。
この練習自体が悪いとかよりも、極端に危険な辛い練習をやり過ぎた事が悪かった様に思います
ある時期からだんだん、曲が弾けなくなってきました。
中学生の時、毎日4~5時間位は弾いてました。
丁度ショパンを弾き始め、リパッティの優雅で軽やかな演奏にショックを受けました。
それは全然別世界でした。
「練習しても、もううまくならない様な気がする」とこぼした事があります。
「努力すればできますよ」
又ある時
「それはショパンに聴こえません。もっと速く指が回る様に練習しなさい」
ショパンのワルツを前にして、大きな超えられない何かを子供ながら感じました。
結局、ベートーヴェンのソナタとかに逃げた訳ですが、それも本来のベートーヴェンとは全く違うものだったと思います。
音高や音大に進むと、入学した時点で「弾けて当然」、出来なければ落されるだけなので、弾けないと居場所がなくなります。
弾けないなら必死で練習するしかありません。
実技試験前等は、他の授業は出席日数だけ確保したら、もうどこかのレッスン室に潜り込んで必死で練習!
そのお陰で、私の学力は中卒です。特に理数系(涙)
※ボイルの法則・・・・何茹でるの?(アホ過ぎ)
それでもちっとも弾けなくて、レッスンの度、叱られる日々でした。
どれだけ練習すればいいんじゃい?と、開き直りまして。
限界まで練習した時期があります。夏休み、毎日12時間位
「これだけやって怒ったらもう、グレる!」www
ところが困った事に、ここまでやると、ある程度筋力で強引に弾けてしまうので怒られない(笑)
(ちっとも素敵でないピアノ)
「凄い」「音が見事に並んでる!」とはなりました。
確かに音は確実に当たる様になる。でも幸せでないピアノ。
練習すれば出来るのかな~(汗)と反省する訳です。
※この時期、この弾き方で見事に弾ききって世間を圧巻させたのが、ポリーニのショパンエチューード。
なんと威圧的な壁が立ちはだかった様で、愕然としたものです。
でも毎日12時間も弾き続ける事はできません。
2学期の開始と共に、又叱られる日々。
そしてショパンのグランドポロネーズは結局弾けませんでした。
練習するほど、弾きにくくなるばかり。
輝かしくて喜びに満ちているのに、ガツンガツン!入れ込んで弾こうとしても、ここまでの難易度になるともう筋力や回数こなす事では解決しないのですね。
やがてショパン弾こうとすると気持ち悪くなる、という症状が出てきました。
その事を相談したら、もうそれは烈火のごとく周りから非難され責められました。
「ショパンを弾くと気分が悪いってなんて事を!」
は~い、ごめんなさ~い。
私にはショパン弾けませ~ん。
もう12時間弾けませ~ん。
試験に落ちずに卒業出来る様にがんばりま~す!
まぁ、人生色々ありますネ(*^^*)
只1日中、誰とも話をせず、独り見込みのない辛い練習を続けるというのは、美容と健康に悪いですネ。
人生やり直せるなら、ピアノ習わないぞ!と思う事もあります。
そうそう、人生やり残した事
①練習より勉強して、音大より理系に進んでみたかった。
※理数系コンプレックス+男子比率が音大より格段に多い
②いわゆる当時の「女子大生らしい事」を満喫したかった。
合コンに励みたかったな~!(こら)
③優しい先生に趣味でピアノ習って、練習してません~、とか、その曲嫌いです~とか、甘えたい。今からでも出来る?(笑)
④その他色々沢山・・・(不謹慎なので内緒)
それはともかく、何が言いたいかと言えば・・・
ハノンやツェルニー100回弾くより、遊んでおけば良かったぞ!とか
ピアノは趣味で楽しくやる方がいいよ!とか
あまり真面目だと損するぞ!とか
いやいやいやいや、そ~ゆ~事より(笑)
ハノンやツェルニーをメトロノームで練習したり、フォルテ大きな音出して~~
って、音楽から離れた練習を沢山やっても、あまりいい事ないですよ・・・という事(笑)
全面的に否定しているのではありませんよ。
全て理解した上で上手に使うと、ある時期大変効果あります。
私もツェルニーは時々生徒さんに、目的を説明した上で使います。
自宅で練習しないでもらって、レッスンのみで使う事が多いです。そんな程度です。
ツェルニー、あまり素敵ではなく可哀想なので、
無理矢理でいい、目一杯、素敵に弾いて!
という課題付き(笑)
音楽から離れなければ、大丈夫。
その様な訳で、うちの教室はのんびり楽しくやってます。
時々、テンション高い生徒さんもいらっしゃいますが、「頑張りすぎると燃え尽きるから、緩くやってね~」と言ってます。
「練習できてなくていいから、ピアノ弾きに来てね~」とか
音楽と共にあるので、穏やかで楽しい方が多く、私も幸せにレッスンさせて頂いてます。
初心者から上級の方まで、お互い尊重し合いながら、素敵な演奏を聴かせて下さいます。
今年の発表会
特に初心者の方の演奏がとても丁寧で、聴いていると幸せな気持ちにさせてくれました。
発表会等でも、初心者の方が萎縮する事なく、上級の方の前で伸び伸び演奏してくれて嬉しかったです。
そして上級の方も、「あんな風に弾きたいな~」と憧れられる様な、聴いていて幸せな演奏をして下さいました。
聴いている私が一番幸せな発表会でした。
自慢になりますが、レベルの高い発表会でした(*^^*)
生徒さんに感謝!
そして今、私自身、時間許す限りショパン弾いていて、とても幸せでいられる事が一番嬉しいです。
年金はともかく、やがて来る老後、幸せな気持ちで過ごせそうです。
幸せな音楽と共に、アンチエイジングな日々を(*^^*)