フォルテ、フォルテシモがうるさい、と言われ困っている方が意外と多く、原因を遡ると大変根の深い問題に行き当たります。
原因については後で触れるとして
応急処置として前回・・・
胸を掻きむしる様な不快な表現のフォルテ
それは取りあえずは耳障りで良いから(出来れば音量少し控えて)、解決は後にしましょう!
本当は弾き方が違うのですが、まず応急処置。
但しそういう音は、1曲に一瞬あるかないか、です。
豊かなフォルテ、豊かに響くフォルテ等は、まずは全員で伸びやかに歌う事をイメージし、音量より表現を考えてみましょう。
とまずは大雑把なご提案で終わりました。
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で、少し掘り下げてみますね。
感情が高ぶると、入れ込んでつい、ガーン!と弾く方が大変多いです。
確かにそういう所で「フォルテ」とか「フォルテシモ」とか書かれてます。
で、「そこ、うるさいよ」となる訳ですが、感情が高ぶるから「ガーン!」といきたい訳で、控えろと言われるとストレスになります。
「だってフォルテです~~」とよく言われました(笑)
一つ例です。ベートーヴェン ピアノ・ソナタ1番の第4楽章
(中級以上の方が弾く曲で大変難しいですが・・・)
2分の2拍子、プレスティシモ、つまりは猛烈に速いです。
冒頭
①
冒頭ピアノです。左手は微かに、右手も和音は上の音のみが聴こえる位。息を殺して手の動きも最小限、指だけ。
でないとピアノに聴こえません。
↑
とっても緊張して弾く、ピアノ
②
すぐフォルテ、この一瞬は全部の音が楽に出せます。
↑
ここ、一瞬、開放できる所、フォルテ
緊張が高いのはピアノ。演奏者は大変なエネルギーを要します。
この曲の場合、ピアノ(緊張、圧縮)→フォルテ(開放、放出)
フォルテ=入れ込んで、が~ん!では逆です。
なので大変神経使うのは、このフォルテの後のピアノ
その放出したエネルギーを一瞬で高速テンポの中圧縮しなくてはなりません。
多くの方
ピアノにしようという、気合、が足りません!
少し先を見てみます。
最初に盛り上がる所、フォルテシモが出てきました。
ここで一つ一つの音を精一杯の大きな音で弾こうとしたら、まず手を痛めます。
このフォルテシモ、この後結構長いですから、ずっとガンガンやられたら大変な事になってしまいます。
中には「鍵盤の底を撃ち抜く様に弾いて!」と言われた、という方もいらっしゃいますが、手や体の重さを鍵盤に載せたら、こんな速い曲は弾けません。
そこで筋肉がない!ハノン100回とか・・・それはやめましょうね。
このフォルテシモ、上から渾身の力で鍵盤がんがんがん!
逆なので手を痛めます。
この様な方は、気持ちが高ぶると鍵盤に「入れ込む」という感情表現の回路が出来てしまってます。
うるさい!と言われると感情込めて弾けなくなり、大変なストレスを感じます。
なので第一歩として、全部の音を楽に出すのがフォルテ、と思うと良いです。
渾身で入れ込んでフォルテ、から、開放して楽に弾くフォルテ、という発想を持ってみて下さい。
別の機会に触れますが、日本のピアノ教育の中で戦後引き継がれた、大きな音で全ての音をきちんとしっかり、フォルテはもっと体重載せて鳴らして、1000人のホールでも負けない様に!その様な指導を受けた方が大変多いのです。
私自身も、汗だくになって「もっと大きな音出るでしょ~」と言われてベートーヴェンとか習いました。
日本にその様な間違いが生まれやすい土壌があったのです。
(これについては又別の機会に)
この様な方が、感情込めてフォルテ!となると大体、逆をやってしまう訳で、実際大変弾きにくくなります。
これを治すのはそのレベルの方にとって技術的には大変ではないのですが、高ぶると入れ込む、という思考を変える必要があり、そのストレスが大変です。
なので焦らず、うるさい、と言われたら、まず、少しだけ聴手の身になって音量控えてあげましょう。
実際合同の練習会や勉強会等で、本来お互い演奏を聴き合うのがマナーでも、耳が壊れそうで悪いけど外に出る!というお話も時々伺います。
一生懸命練習して弾いて、それではお互い悲しいですよね。
まず、フォルテは音量だけでなく、表現である事。
ピアノが圧縮、緊張、
フォルテが開放、弛緩
という発想でも考えてみて下さい。
子供の頃から習って当然と思っていた事を変えなくてはならないのは大変です。
それは私自身も、そう習って、ハノン100回、もっと大きな音、と求められてきたからよく解ります。
なので焦らず無理せず、まずは違う角度から考え、ほんの少し楽な気持ちで伸びやかにフォルテを弾いてみて下さい。
豊かに響きますように(*^^*)

