又ハノンの話ですみません。
「ハノン、やるべきでしょうか?」とよくきかれます。
色々な意見あると思いますが、答えは「解りません」←(無責任?)
私自身は散々やったので、やらなかったら?という答えが解らない訳です。
只散々やった事で、音楽と奏法がちぐはぐになり、大変遠回りをした様な気がするので、推奨しません。
でもなるべく公平に考察せねばいけません。
まずプラス面を考えてみます。
①鍵盤に早く慣れます。
隣の音、3度離れた音、オクターブ等々を手が感覚として覚えます。
鍵盤ガン見しないで弾けると楽ですよね(*^^*)
でも、少し効率は落ちますが、実際の曲で練習する方が音楽に沿って習得できます。
又効率を優先した非音楽的練習は、結局は最も非効率かと私は考えます。
②指示が簡潔で済むので解りやすく、番号が進む達成感が得られる。
これも又別の問題がある上、番号が進む=良い演奏が出来る様になる、かは疑問です。
③手の構造上弱い指も強い指と同じ使い方をする。
鍛えようとすると手を壊します。
弱い指の使い方は、これもやはり実際の曲の中で学ぶ方が良い様に思います
次にマイナスを挙げてみます。
①音楽でないから、つまらない。
基礎練習だから・・・という事ではありません。
何も感じず反復するのは、音楽性の形成において大きなマイナスです。
音楽はその流れの中で、緊張と解放、の様な感覚が常にありますが、ハノンは音楽でないのでありません。
例えば、シレソという和音(ドミナント)では普通、曲は終わりません。
ドミソ(トニック)、で終わります。
和音にはドミナント(トニックに進む、緊張する)やトニック(終止、解放する)の様に、役割、表現があります。
シレソの響きは「?」と緊張する響きです。
そこでは追われず、どこかに向かう、不安定で緊張する響き。
ドミソは「ほっ」と解放され、安定し、終る事が出来る響き。
けれどハノンでは終止の前の最後の小節が「ドミナント」、とは、それまでの並び具合から感じにくい訳です。
拍にも表現があります。
1拍目は踏み込み、安定した拍
2拍子なら2拍目は「?」と次の1拍目に向かう不安定な拍です。
(なので、そこで緩んでドスンとなると、聴いてておかしいのです)
緊張する所では、身体の内部の筋肉は上がります。
人気ピアニストで顔芸で有名な方
表情がまさに音楽と一体化してる訳です。
ところがハノン練習では全部打ち込む様に弾く方が多いです。
実際の音楽ではそういう事はあり得ません。
実際の曲の中では、速い16分音符の連続がある時、「抜きどころ」を利用します。
会話に例えれば、早口だと、各フレーズの最後の音が軽く(短く)なります。
けれどそれは楽譜には書かれません。
これは最も良い例ですね(ショパン幻想即興曲右手)
小節最後の16分音符が一番軽いです。
16分音符が並んでいると、均等にしっかり!と言われる事が多いのですが、実際の音楽では均等ではありません。
小節最後の16分音符が一番軽く(短い)、極端な話、音が抜けても問題ありません。(但し抜けても構わない様にこの右手のフレーズを弾くのが難しく、それこそが技術ですが)
それは上級レベルの話ですよね?と言われる事もありますが、例え入門レベルでも同じです。
この曲は速いから歌いにくいですが、声に出して歌うとそうなるはずです。
歌う様に弾く事は大事です。
それは暗黙の音楽の基礎ですが、楽譜では同じ長さの音符で書かれます。
この小節最後の16分音符をがっつり打ち込むと、次の1拍目に進みにくくなるだけでなく、やかましく聴き手が息が詰まる様な演奏になります。
ふわりと抜く様に弾くと大変弾きやすく、音楽的に納得いく演奏になれます。
なのに全部打ち込む様に弾く演奏が実際大変多く、ハノンの悪影響かな~と推測してしまう訳です。
②ハノンの問題点、両手がユニゾンである事
(オクターブで同じに弾く)
まず両手で練習すると、どちらの手に問題があるか聴き取りにくい。
弱い指や手を強い指や手と同じ様に、という目的があるなら問題かと思います。
片手ずつ練習する方が良いですね(*^^*)
又そもそもユニゾンは曲の中で強調等に使われる、「やかましい」手法です。
男性が、奥さんと娘さんに両側から
「だから~、言ったでしょ!」
と弾いてる間中、ずっと言われ続ける様なもので不快です。
そういう感覚に無頓着になるのも良くないです。
曲の中でユニゾンが出てきても、何も感じ取れなくなってしまいます。
何も考えず感じずピアノを弾く習慣がつくのは怖いです。
③番号が進む事を上達と錯覚しやすい
例えばオクターブ、3度のレガートや半音階等、実際の曲で習得する方が遥かに早いです。
ハノンが進む=上達でない例も多いのです。
番号が進む事は達成=努力の結果ですが、良い演奏に反映されなければ無意味です。
現実は最も大事なそこがおざなりになっている例が多いです。
以上はあくまで私個人の経験による意見で、ハノンやるべきでしょうか?という質問には自信持って答える事は出来ません。
只、方向を間違えやすいので、独学はお勧め出来ません。
ハノンの作品がIMSLPに楽譜上がってました。
仏風発音ではアノン・いつの間にか練習の代名詞になってしまいましたネ(*^^*)
https://imslp.org/wiki/Le_bourriquet_de_la_m%C3%A8re_Gr%C3%A9goire_(Hanon%2C_Charles-Louis)
