ピアノ・・・ハノン | 八王子高尾 ピアノ教師 の日記

八王子高尾 ピアノ教師 の日記

桐朋学園大学ピアノ科卒業後個人でピアノを指導しつつ演奏活動を続けております。八王子市高尾駅より徒歩5分です。
皆様と音楽やピアノについて、交流ができれば幸いです。ピアノについてのご質問等も是非お寄せ下さい。
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又ハノンの話ですみません。

 

「ハノン、やるべきでしょうか?」とよくきかれます。

色々な意見あると思いますが、答えは「解りません」←(無責任?)

 

私自身は散々やったので、やらなかったら?という答えが解らない訳です。

 

只散々やった事で、音楽と奏法がちぐはぐになり、大変遠回りをした様な気がするので、推奨しません。

でもなるべく公平に考察せねばいけません。

 

まずプラス面を考えてみます。

 

①鍵盤に早く慣れます。

隣の音、3度離れた音、オクターブ等々を手が感覚として覚えます。

鍵盤ガン見しないで弾けると楽ですよね(*^^*)

 

でも、少し効率は落ちますが、実際の曲で練習する方が音楽に沿って習得できます。

又効率を優先した非音楽的練習は、結局は最も非効率かと私は考えます。

 

②指示が簡潔で済むので解りやすく、番号が進む達成感が得られる。

 

これも又別の問題がある上、番号が進む=良い演奏が出来る様になる、かは疑問です。

 

③手の構造上弱い指も強い指と同じ使い方をする。

 

鍛えようとすると手を壊します。

弱い指の使い方は、これもやはり実際の曲の中で学ぶ方が良い様に思います

 

次にマイナスを挙げてみます。

 

①音楽でないから、つまらない。

基礎練習だから・・・という事ではありません。

 

何も感じず反復するのは、音楽性の形成において大きなマイナスです。

音楽はその流れの中で、緊張と解放、の様な感覚が常にありますが、ハノンは音楽でないのでありません。

 

例えば、シレソという和音(ドミナント)では普通、曲は終わりません。

ドミソ(トニック)、で終わります。

和音にはドミナント(トニックに進む、緊張する)やトニック(終止、解放する)の様に、役割、表現があります。

 

シレソの響きは「?」と緊張する響きです。

そこでは追われず、どこかに向かう、不安定で緊張する響き。

ドミソは「ほっ」と解放され、安定し、終る事が出来る響き。

 

けれどハノンでは終止の前の最後の小節が「ドミナント」、とは、それまでの並び具合から感じにくい訳です。

 

拍にも表現があります。

1拍目は踏み込み、安定した拍

2拍子なら2拍目は「?」と次の1拍目に向かう不安定な拍です。

(なので、そこで緩んでドスンとなると、聴いてておかしいのです)

 

緊張する所では、身体の内部の筋肉は上がります。

人気ピアニストで顔芸で有名な方

表情がまさに音楽と一体化してる訳です。

 

ところがハノン練習では全部打ち込む様に弾く方が多いです。

実際の音楽ではそういう事はあり得ません。

 

実際の曲の中では、速い16分音符の連続がある時、「抜きどころ」を利用します。

 

会話に例えれば、早口だと、各フレーズの最後の音が軽く(短く)なります。

けれどそれは楽譜には書かれません。

 

これは最も良い例ですね(ショパン幻想即興曲右手)

小節最後の16分音符が一番軽いです。


16分音符が並んでいると、均等にしっかり!と言われる事が多いのですが、実際の音楽では均等ではありません。

 

小節最後の16分音符が一番軽く(短い)、極端な話、音が抜けても問題ありません。(但し抜けても構わない様にこの右手のフレーズを弾くのが難しく、それこそが技術ですが)

 

それは上級レベルの話ですよね?と言われる事もありますが、例え入門レベルでも同じです。

この曲は速いから歌いにくいですが、声に出して歌うとそうなるはずです。
歌う様に弾く事は大事です。

 

それは暗黙の音楽の基礎ですが、楽譜では同じ長さの音符で書かれます。

 

この小節最後の16分音符をがっつり打ち込むと、次の1拍目に進みにくくなるだけでなく、やかましく聴き手が息が詰まる様な演奏になります。

ふわりと抜く様に弾くと大変弾きやすく、音楽的に納得いく演奏になれます。

 

なのに全部打ち込む様に弾く演奏が実際大変多く、ハノンの悪影響かな~と推測してしまう訳です。

 

②ハノンの問題点、両手がユニゾンである事

(オクターブで同じに弾く)

 

まず両手で練習すると、どちらの手に問題があるか聴き取りにくい。

弱い指や手を強い指や手と同じ様に、という目的があるなら問題かと思います。

片手ずつ練習する方が良いですね(*^^*)

 

又そもそもユニゾンは曲の中で強調等に使われる、「やかましい」手法です。

 

男性が、奥さんと娘さんに両側から

「だから~、言ったでしょ!」

と弾いてる間中、ずっと言われ続ける様なもので不快です。

 

そういう感覚に無頓着になるのも良くないです。

曲の中でユニゾンが出てきても、何も感じ取れなくなってしまいます。

何も考えず感じずピアノを弾く習慣がつくのは怖いです。

 

③番号が進む事を上達と錯覚しやすい

 

例えばオクターブ、3度のレガートや半音階等、実際の曲で習得する方が遥かに早いです。

 

ハノンが進む=上達でない例も多いのです。

番号が進む事は達成=努力の結果ですが、良い演奏に反映されなければ無意味です。

現実は最も大事なそこがおざなりになっている例が多いです。

 

以上はあくまで私個人の経験による意見で、ハノンやるべきでしょうか?という質問には自信持って答える事は出来ません。

只、方向を間違えやすいので、独学はお勧め出来ません。

 

ハノンの作品がIMSLPに楽譜上がってました。
仏風発音ではアノン・いつの間にか練習の代名詞になってしまいましたネ(*^^*)
https://imslp.org/wiki/Le_bourriquet_de_la_m%C3%A8re_Gr%C3%A9goire_(Hanon%2C_Charles-Louis)