ピアノ・・・ハノン39番(短音階の大人の事情) | 八王子高尾 ピアノ教師 の日記

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桐朋学園大学ピアノ科卒業後個人でピアノを指導しつつ演奏活動を続けております。八王子市高尾駅より徒歩5分です。
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ハノン39番、音階(スケール)

長調の音階は調号のとおり、最初の音から順番に弾きます。

調号のとおりですから、意外な音は出てきません。

安心してなだらかに聴こえます。その様に弾くのが自然です。



短調はちょっと複雑な事情があります。

複雑な事情ですが、大人のピアノ、ならではの味わいがあります。

ハノン39番を見ると、短調の音階が2つ、書かれています。

なにやら♯やら♮やら???



実は短調には3種類の音階があります。

調号のないイ短調が解りやすいですね。


1、自然短音階

ハノンには書かれていません。調号どおりの音階です。

イ短調には♯や♭はありませんから、白鍵だけを弾きます。




音階の開始の音を主音といいます。この場合、

そして音階の7番目の音。この場合、



この7番目の音が主音の半音下である場合
導音、
と言います。



自然短音階は、音階の7番目の音が、主音の全音下になってしまいます。

導音と主音の間は、半音でなくてはなりません

が、この、ソ、と、ラ、の間は全音


つまり自然短音階には、導音がありません。



導音は主音に進む性質があり、メロディや和音において大切な役割を担います。


導音がないと困る!・・・・でも7番目の音、主音が恋しい!

そこで



2、和声短音階

 
 音階の7番目の音を半音上げて、♯ソ(導音)を作りました。

これで問題は解決で、こんな風に和音が自然で美しいです。

 
 導音の♯ソが、主音のラに向かってます。
(これ、和声の基礎の掟です)

これが短調の和音です。
 
これを弾く時、 ♯ソが、主音のラに行きたい~~~っ!
と切に願う気持ちが大切です。


主音が恋しい・・・

大人のピアノならではの音階練習もいいですね(笑)


声楽等では、この音が主音に向かう時は、ピッチを高めにとります。

再度確認してみましょう。和声短音階


 
今度はファ、と♯ソ、の間が、異様に開いてしまいました。


意外性のある、エキゾチックな響きです。

この音階の独特なこの雰囲気

アラブ風の響きみたいで美しいです。

このファ、と♯ソ、の間の音階らしくない開き


その為に一層目立つ、導音♯ソが、主音のラ、にすり寄る異様さ

時に焦燥感、時に不自然さ、何でも味わってしまいましょう!

大人の特権です(笑)



けれどこの音階、段差があって不自然です。

やや音階らしくありません。


じゃ、その前の、ファ、も半音あげちゃう!、そこで

3、旋律的短音階


 
上りと下りが違います。

導音、♯ソ、は主音、ラ、に行く役目があります。

でも音階の下りでは、役目は終わり。

あんまり♯や♮がつくと、何調だかわからなくなります。

役目が終わったら元通りに戻しました。




上りは♯が2つもつくので、やや昂揚感や華やかさが生まれます。

下りは・・・え?という空虚さ

華やかさを表す♯が消え、短調らしい寂しい響きに戻ります。

妄想が好きな方は恋の後の空虚さを感じてもいいですね(笑)


 短調の音階は、3種類それぞれ表情があります。

導音を高めに意識し、主音へ向かおうとする意志を持つ事は基本です。
時に、主音にすり寄る美しさも表現できます。


2つの音が半音上げられた旋律音階

なめらかで華やかな美しさがあり、下りの自然短音階が寂しく聴こえます。



音のそれ自体の動き、並び方を意識する事は大切です。

作曲家がどの様に音を並べているか?

そこには表現してほしい事が書いてあるのです。



ハノンは大変効果的な教材です。

非音楽的な練習だけに終わりがちです。



音階の練習を指の体操だけに終わらせるのは勿体ないです。

理論は単なる知識ではありません。

音の動き、性質そのものを味わいながら練習してみて下さい。


どんな風に弾こうかな?もっと美しく弾きたいな!


練習がとっても楽しくなりますよ。

だって音楽ですもの(*^_^*)