少し硬いお話です。
上達の為に・・・常に当たり前の事を意識し、きちんと守る。
それをうるさく言う理由を、上級の方の為にまとめますね。
弦楽器や管楽器はソロや無伴奏もありますが、主に音楽の一部を担当します。
ピアノはオーケストラの代用も出来ます。
ソロの曲でも、1人で何役ものパートを処理する事になります。
クラシック音楽はベースが多声音楽です。
メロディと単純な和音の伴奏でも、和音はコーラスの様に奏する必要があります。
もし3つの音から成る和音であれば、3人で歌う様に弾く訳です。
で、ほとんどの曲は、それよりはるかに複雑です。
多くの声が絡み合う構造が多いです。
頭の中に、何人もの演奏者と統括する指揮者を常におく訳です。
片手で2つ、3つの声を歌う事も多く、その際音色を変える必要があります。
片手で複数の声を、複数の音色で、両手同時に違う事を弾く訳です。
ショパンの舟歌等は良い例で、大変複雑です。
それぞれの声は、時にとんでもないリズムで絡みます。
2連と3連、3連と5連の組み合わせ等、珍しくありません。
譜読みの段階で、卒倒寸前

上級の曲になると、1分間の打鍵は数千にもなります。
暗譜だけでは弾けません。
脳の奥の奥まで、記憶と通り越して叩き込まないと、本番で固まります。
指遣いは?、手はどこを通るのか?、いつ鍵盤を目視してから跳躍するか?
全部段取りを練習で組み、反復し叩き込む訳です。
動作の全てを整理し叩き込む為には、ゆっくり確認しつつ何度も練習します。
速い曲で一瞬でも迷えば、演奏は中断してしまいます。
「ゆっくり意識して練習して下さい」という1つの理由です。
複雑だとフレーズの最後を丁寧に、音符の長さは厳密に、どころではありません。
でもこれら原則は、どの声部でも完璧に守らねばなりません。
でないと音楽が崩壊し、大変聴き苦しい演奏になります。
なかなか弾けなくて苦しむ時、原因はほぼ原則が守られていない事にあります。
複雑過ぎて原則を見失うと音楽が解らなくなります。
音楽と動作が乖離すると、技術的にも弾けません。
音楽の原則は初歩から叩き込み、無意識下にする必要があるのです。
拍子を正しくとる・音価を厳密に守る・フレーズの最後は丁寧に等々・・
もう一つよく言いますね。
「絶対に違う指遣いで弾かない事」
「書いてある指示は極力意識し、出来る限り全部最初から守る事」
動作は、かすかにでも記憶されます。
複数の動作を脳が知ると、迷いが生じます。
ペダル一か所、どこで離すか一瞬迷えば、速い曲では命取りです。
例えば有名な「木枯らしのエチュード」
あの曲の恐ろしさは、猛烈なスピードにあります。
どんな技術の持ち主でも、一瞬何か迷えば崩壊します。
演奏時や練習時、脳に相当な負荷がかかります。
この様な曲を複数同時に短期間でやる事がありますが、必ず身体に現れます。
免疫力が落ち、口内炎や風邪をひきます。
いくら食べても満足感が得られず、食べ過ぎます。
苛々して攻撃的になり、眠れなくなります。
大変なストレスがかかるのですね。
弾きたい曲は、出来るだけ弾いて欲しいと願います。
ただ時々とんでもない曲に挑戦する方もいる様です。
うちの生徒さんにはいませんが、よその先生から相談される事もあります。
背伸びは良いですが無茶はダメです。大きな犠牲を払う事になります。
「ダメ」と言うからには、理由があります。
アマチュアだから好きにさせて、という話とは次元が違います。
ピアノは、恐ろしい楽器でもあります。
どんなに上達しても、基本を忘れないで。
ピアノは恐ろしいけれど、でも、素晴らしい楽器ですから(*^_^*)