ピアノ・・・先生の鬼門、ツェルニー30番 | 八王子高尾 ピアノ教師 の日記

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桐朋学園大学ピアノ科卒業後個人でピアノを指導しつつ演奏活動を続けております。八王子市高尾駅より徒歩5分です。
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ハノン等のエクササイズ、ツェルニーの30番 40番等の練習曲

ハ長調が多いです。



入門はどうしてもハ長調が多くなります。以下の理由があるのです。

ピアノは処理する情報量が多い楽器で、譜読みが大変です。

最初から♯や♭が多いと、悲鳴を上げてしまいます。

子供の小さな手には、黒鍵の位置の高さも厳しい事があります

調性や和声の話を発展させるのに、ハ長調から進めると解り易いという事もあります。


実は、ハ長調は、弾きにくいのです。



ある程度の大きさの手を持つ人の場合です。

実際に弾く事を考えると、手の自然な構造を無視しているので難しいのです。



ハ長調の音階を考えてみます。

ド レ ミ ファ ソ
白鍵だけで平なので、意外に弾きにくいのです。
親指と小指は注意が必要ですが、全部同じ条件で弾く事になるのです。






ホ長調

ミ ♯ファ ♯ソ  ラ  シ 

人間の手の形には、こちらの方がしっくりくるはずです。

なので音階や和音も、こちらの方がはるかに楽に弾けます。

けれど、ホ長調は元々の音階に♯が4つ、なので譜読みが難しいのです。



で、多くの入門書はハ長調になります。

ハ長調は実は弾きにくいのだという事を、指導者は把握しておく必要があります。



やがて「ツェルニー練習曲」が立ちはだかります。

リトルピアニストあたりはまだ、何とか・・・

鬼門は30番練習曲。

弾きにくいハ長調の繰り返しパターンが、最初から長々現れます。

ここは注意が必要です。

技術向上には大変良い教材ですが、多くの「ツェルニー嫌い」がここで生まれています。



この時期、まだ4指、5指がうまく使えません。

当然うまく弾けません。その為の練習曲ですが、

これでもか
・・・と長々弾かされます。

「苦しい反復」です。

弱い5指、それと連動してしか動かない4指を鍛える!という発想が生まれます。



この時「鍛える」以上に、手首の柔軟性と共に「うまく使う」事を教えなくてはなりません。

手の自然な動きをうまく利用し、その中で細かく動かす神経を作る。

指導者がこれを忘れると、根性ツェルニー物語になってしまいます。


「苦しい反復」=「あと一周走れ~」


・・・これではいけません。






ツェルニーの美しく軽やかな世界を味わう事を、忘れてはいけません。

実際難しいですが、手首の柔軟性を少しずつでもきちんと指導する必要があります。

美しい音で美しく弾く事、それにより柔軟性が身に付きます。




音楽からトレーニングとして分離してしまうと、弊害になります

それが多くのツェルニー嫌いを生む原因です。



ツェルニー練習曲は量産され、一曲ずつに芸術性が込められたものではありません。

けれど、顔をしかめて「大っ嫌い!」と言う方が多過ぎます。

原因はほとんどがトラウマです。私も大っ嫌い!でした(笑)

でも嫌われるほど、芸術性の強い作品ではなく、心地よい音楽なのです。



教本「ABC」の良い点は、多くの調性が使われ、音楽的にも優れた作品です。

ここで、♯や♭にも慣れ、音楽的に美しく弾く練習を積む事は大変効果があります。


「ABC」の次に「ラジリテー」・・少しずつツェルニー風な難しさが出てきます。

ツェルニー30番に入る前までに、音楽的下地をきちんと作る事が大切です。



出来るだけ美しく弾く事、美しい音を出そうとする本能を作る事。

これは一番大切で、何を弾く時にも絶対におろそかにしてはいけません。



先生は是非生徒さんに、美しく軽やかなツェルニーを見本で弾いてあげて欲しい。

ロココで美しい世界です。

生徒さんが、私も弾きたい!と思える様に弾けなくてはいけません。


そして、この先生の言う通りに練習すれば私にも弾ける気がする!

そう思われる様なレッスンをしなくてはなりません。


30番は、実は先生の資質が問われる鬼門なのです。