ピアノ仲間の友人から、「1820年制のプレイエルを購入したから弾きに来て」とお招き頂きました。ありがたいお話です。
日本でまだ約200年前といえば、もしや江戸時代ですね。外見はアンティーク、質素で華奢なピアノでした。弦は平行弦、フレームも金属でなく恐らく木製かと思われます。
嬉しい事に「じゃんじゃん弾いて。弾くとショパンの解釈が絶対変わるよ」と仰って下さいました。本当に新発見だらけの2時間でした。
まず鍵盤の戻りが遅く、細かい連打、トリルは不可能です。装飾音もゆっくりと響きが溶合う様に弾くことになります。この鍵盤の動作から察するに、速いテンポで弾かれたとは考えにくく、例えばバラード2番の最後の同音連打等はもっとゆっくり弾かれていたと思われます。
高音は澄んでクリアなのに優しく良く通ります。低音は丸く太くよく響きます。比較して中音域はややこもった繊細で溶合う様な優しい響きです。
鍵盤は非常に軽く浅く、腕の重みを逃がす様に相当重心を後ろにとり、打鍵も斜め前方にして撫でる様に弾く必要があります。
舟歌を弾いてみると、低音は少しぶんと響かせ、高音はクリアな厚みのない音を通らせ、中音域は溶け合う様に弾くことになります。
トリルはゆっくりと響きを味わう様に・・・
今まで違和感のあったペダルの指示も、これなら納得がいきます。
再現部の前の美しいdolce sfogatoの部分、粘る様に歌う方もいますが、透明にプレーンに弾くことになります。
ワルツ5番を弾いてみましたが、低音が美しく響き、最初の速い右手の内声が溶合う様です。
高音域の速いパッセージは輝き、中音域が溶合い、ぶんと響く低音が印象的です。
この楽器に触れて、再度楽譜をよく読み直してみる事により、ショパンのイメージしていた音が少し掴めた様な気がします。楽譜に感じていた違和感も納得がいきます。よってショパンの弾き方そのものが大きく変わってしまいます・・・(大変だ~)
そして、この楽器ではモーツァルト、シューマンの小品は違和感ありませんが、ベートーヴェン、リストやブラームスはミスマッチな様に思います。弾き方そのものが全然違います。楽器としてウィーン式と英国式の、大きな2つの流れを感じます。
ショパンのイメージしていた音に少しだけ近づけたかな?と思います、貴重な体験をさせて頂きました。さて・・・仕切り直しです。
もう一つ大きな収穫・・・
自分にはモーツァルトとショパンは弾けない・・・という事を痛感致しました。トホホ!