スタンウェイを弾く無愛想なおじさん・・・ミケランジェリ | 八王子高尾 ピアノ教師 の日記

八王子高尾 ピアノ教師 の日記

桐朋学園大学ピアノ科卒業後個人でピアノを指導しつつ演奏活動を続けております。八王子市高尾駅より徒歩5分です。
皆様と音楽やピアノについて、交流ができれば幸いです。ピアノについてのご質問等も是非お寄せ下さい。
oyuki42koba☆yahoo.co.jp ☆を@にかえて下さい。

子供の頃、ピアノリサイタルに母と行きました。
既にピアノを習っていたので、時々友達や先生のピアノを聴きにホールに行った事がありました。

でもそのホールはいつもと違って、高い所から真ん中のピアノを見降ろす、変なホールでした。
男の人がツカツカ出てきて、無愛想なお辞儀をして、無愛想にピアノを弾きました。

最初の音が、凄く鮮明というか金属的というか、・・・今でもそれは耳に鮮明に残ってます。

何だか凄い!

後になって耳に残ったメロディから、シューマンの「ウィーンの謝肉祭の道化」とわかりました。
ミケランジェリの日本公演でした。・・・(歳バレバレ!)

子供心に決して好きな演奏ではなく、感じ悪いおじさん・・・でしたが、強烈でした。

こんな凄い演奏を子供の私が聴いてしまい、聴きたくても聴けなかった方々に申し訳なく思います。

大人になって、色々知りました。とても完璧主義で、自分のピアノを持ち込み調律師の方も同伴だとか・・・
私の聴いたコンサートは、キャンセル魔の彼が突然公演をする事になり、中野サンプラザしか会場がなかったとか・・・
(ミケランジェリについては多くの伝説があり、ここでは詳細は省きます)

その後、ミケランジェリの演奏を聴く機会はありませんでした。

今、数少ない録音を聴くと、愕然とします。
もちろん、たとえ自分に素晴らしい技術があったとしても、彼の様に無愛想には弾きません。

でもその音は、徹底的にクリアでした。無骨で無愛想で、完璧です。
ショパンの葬送ソナタを聴いた時、思いました。

スタンウェイを弾くべき人はこの人だ・・・・(極端な意見ですがその位強烈なのです)

又、ラヴェルのピアノコンチェルト、ト長調を聴きました。
キラキラしたオモチャ箱の様な、夢一杯の曲・・・・見事に無愛想な演奏でした。

でも・・・・・素晴らしい!

録音ですがその音は、本当に・・・・美しい音でした。
カデンツァの部分では涙が出ました。

この演奏が録音でも聴けて良かったと、しみじみ思います。

ミケランジェリ・・・・無愛想な感じの悪いおじさんでした。無愛想な演奏でした。

でも彼の音は・・・・・涙を流し、この音が聴けて幸せだ!と思ってしまう音なのです。

鬼才・・・という言葉がふさわしいピアニストだったと思います。