「知行合一」とは、「知識や認識は必ず実行を予想しているものであり、知って行わないのは真に知っているのではないとし、知(真の認識)と行(道徳的実践)とは表裏一体をなす」と説く陽明学 の考えである。西郷隆盛をはじめとする幕末維新の偉人、岩崎弥太郎、伊藤忠兵衛、澁澤栄一など近代日本を形づくった財界人にも、陽明学の信奉者は多い。


この「知行合一」は、江戸期の武士の教養のメインストリームともいうべき、朱子学の「知先行後」に対するアンチテーゼであるとも言われる。また、変革や革命に繋がる思想でもあり、大塩平八郎の乱で知られる大塩平八郎も陽明学の徒であった。つまりは毒にも薬にもなり得る(もちろん見る人の立場によって異なる)学問であり、思想であるわけだ。


20代の就活前の学生諸氏、20代のビジネスパーソンと接点を持って感じるのは、知識豊富で有能な人がとても多いということ。それと同時に既述の言葉を借りれば、「知先行後」とまでは言わないが、「知行合一」の人の少なさだ。


賢いことは悪ではないが、「確率論」の徒となることにも通じかねない。しかし、「確率論」の徒だけでは、新しい産業も、求められる社会変革も興らない。40代は40代の、30代は30代の領分において、「知行合一」のお手本を示さないと(大きな事でなくていい)、明日を支える世代の辞書から「可能性」「変革」という言葉が消えてしまうかもしれない。


人生と陽明学 (PHP文庫)/安岡 正篤
¥580
Amazon.co.jp

近代日本の陽明学 (講談社選書メチエ)/小島 毅
¥1,575
Amazon.co.jp

現代に甦る陽明学―『伝習録』(巻の上)を読む 桜下塾講義録/吉田 和男
¥2,310
Amazon.co.jp