企業も「青い鳥症候群」 | キャリアデザインのススメ

企業も「青い鳥症候群」

部分的ではあるが息の長い景気回復、団塊の世代の大量退職、新卒者数の減少などを背景に、新卒、キャリア採用ともエントランスでは過熱していますが、キャリア採用を中心に、需要と供給のミスマッチは依然大きいと感じます。


外資、国内を問わず、金融やコンサルティングの世界では、スペシャリティの要求される職種が増え、「募集」は増大の一途ですが、供給される人材は「ネタ切れ」状態です。それでもおおよそ「人材育成」というところから及び腰になってしまっている人事部門は、コストパフォーマンスの落ちている「採用」に大きなコストを割いています。


一方ベンチャー企業では、こちらも相変わらず、何でもこなせる「ゼネラリスト」を安いコストで採れないかという、浮世離れしたことに執着する傾向があります。


どちらも「青い鳥症候群」で、その結果、事業の進捗を遅らせているわけですが、その背景には、人事が経営と遠いところで考えられ、非常に安易に扱われている事、「人材ポートフォリオ」の発想と「人材育成」の覚悟が失われている事の二つがあると思います。


白書等では、冒頭のような団塊の世代の大量退職で、今の賃金構造を前提にすると、日本の人件費は10年間で88兆円の余剰になるとの予測も出ています。採用コストはもちろんある程度かけなければいけませんが、青い鳥を探すことに浪費するぐらいなら、労働生産性を高めるための投資という視点から、これらの問題に総合的に対処する方がどう考えても得策です。


採用だけではない「人事再生」が、日本企業の再生とエクセレントベンチャーの輩出に最も近道であると思わされる今日この頃です。

厚生労働省, 厚労省=
労働経済白書〈平成18年版〉就業形態の多様化と勤労者生活