成長の決め手・ダイバーシティ再論 | キャリアデザインのススメ

成長の決め手・ダイバーシティ再論

以前にもダイバーシティマネジメント について触れました。 団塊の世代の大量退職、新卒数の減少と争奪戦の激化を踏まえ、有能な人材確保のために、性別、年齢、国籍等の多様性を受容できる「日本型ダイバーシティマネジメント」という人材管理手法の導入が、企業成長を大きく左右する時代に突入したと感じます。


1.人材を「ポートフォリオ」で捉えること

2.「ポートフォリオ」に、キャリア豊富でバリューのある中高年の積極採用、優れた能力を有する女性の採用・復職を組み入れること

3.その「ポートフォリオ」が有効に機能するための、労働時間・休日休暇・評価・報酬等の人事制度を一体的に見直すこと


これらが「日本型ダイバーシティマネジメント」の要諦だと思いますが、一部それもCSR(企業の社会的責任)に敏感な大企業か、業種的にパートタイマーへの依存度が高い大手流通業など除いて、これらへのチャレンジは本格化していません。私はベンチャーをはじめ、成長志向の企業こそこの手法を積極導入すべきと思うのですが、今のところ余程人材マネジメントに造詣が深く、それを経営の生命線と捉えられる経営者以外には、受け入れられていません。


だからこそ他に先んじるチャンスでもあるわけです。例えば経験豊かな中高年の活用であれば、フェロー制度(客員社員制度)など、従来の組織の枠組み外の就業のあり方を整備し、広く不足する経験や知識を注入していきながら、パフォーマンス次第で経営幹部として招聘するといった手法もあります。女性の復職であれば、ある種のリハビリシステムが有効かもしれません。キャリアの中断や環境変化を埋めるために、フェロー制度と同じく、一定期間は従来組織の枠組み以外の“遊軍社員”として遇し、キャッチアップできた段階で、適切なポジションに配置するというような工夫です。


パーセンテージの高くない採用媒体の掲出に過度な費用をかけるのではなく、“イケてる”人材活用にリソースを割くのは、実は採用ブランディングにも効いてきます。新卒でもキャリア採用の現場でも、優秀な女性ほど、「どれだけ長く働けるか」「どれだけキャリアを積んでいけるか」を重視しています。また本当にスキル・能力があるのに、ミスマッチで活かしきれていない中高年も少なくありません。


「ダイバーシティにチョッと一手間」で競合に競り勝つリソースが得られることを、成長企業の経営者は学ぶ必要があります。余計なマイクロマネジメントなどせず、「成長企業なら経営者こそ採用現場に立て!」が最近の私の口癖です。