オッティ(H92W)がエンストする事例のご紹介です。

 

お客様の話で車の下あたりで「ガサガサ」と音が出て、エンストしてしまうとの事でご入庫いただきました。

 

基本点検の後、現車を確認するとアイドリング状態では症状が確認できなかったのですが、エンジンをレーシング後アイドリングに戻ると症状が確認できます。

一度エンストすると再始動はでき、アイドリングでは普通なのですが再度レーシングすると再発します。

 

直感的に補機類プーリーの負荷が大きすぎ、ロック寸前なのではと感じたので補機ベルトを外し補機類のベアリングのガタと回転を確認しましたが、どれもその様な兆候はないのです。

うーん困った。

 

仕方なく再度組付けて、故障再現。 あっ!

エアコンをOFFしているのに、M/Gクラッチがつながっているではないですか。

 

コンプレッサーリレーを確認すると、リレーボックスの取り付け部とリレーケースが熱で溶けているのが確認できます。

 

赤丸の所が溶けている(今回は修正)

 

リレー裏側の焦げ(溶け)

 

これは多分リレーの中で溶着しているのだろうと思い、横にある同じ形のリレーを差し込んで確認すると正常に戻りました。

 

(写真は新品のリレー。電極の銅色した極(メーン接点)は対角状に配置されてるので、取付の向きは関係ないのかな?実際どちら向きでも作動したが、最初と同じ様に取り付けました。)

 

溶着の原因を探るべく、マグネットクラッチの抵抗など資料を探しましたが手に入らないので、これでしばらく様子を見てもらうことにしよう。

 

また、お客様の言う「ガサガサ」音はクーリングファンが回らない状態(A/Cスイッチを入れてない状態)で、エアコンコンプレッサーだけが回転すると、高圧側が異常に高くなりエンジンが回転できないような負荷にともなう振動です。

 

正常ならば高圧側が異常に高くなると、高圧スイッチからの入力でエアコンユニットはリレーに指示を出してM/GクラッチをOFFにするのですが、今回はコントロールできない直結状態になってしまったのでエンスト迄行ってしまったと思われます。

 

昔は破裂を防ぐためメルトボルトなどの装着があり、高圧が異常に高くなると(高温になる)溶けて圧力を解放したのですが、フロンは大気解放してはいけないので、こうなったのかな?

破裂などの二次的被害が出なくて良かったですが、最近のシステムはこの圧力に十分耐えるという事なのか、設計者ではないおっさんにはわからない事ですね。