お客様が趣味で維持している昭和53年式三菱ジープのブレーキ・オーバーホールをやりました。
このころはABSなんて付いてないのが当たり前で、マスターシリンダーの配管接続部に残圧保持弁がついています。
あぁ珍しい。
ブレーキ配管接続箇所に付く残圧保持弁
近頃は精度と構造の関係からか写真のような残圧保持弁がついていないマスターシリンダーが一般的ですので、今回はおっさんの知る所で残圧保持弁についてちょっとお話をしてみようと思います。
その昔、車検整備の時にブレーキ・ホイルシリンダーからのオイル漏れがあると、残圧保持弁の不良も考慮してマスターシリンダーのインナーキット(残圧保持弁付)も交換するように言われていました。
なんで? と思う方もいるかもしれませんが、ホイルシリンダーのカップにはリップ締め代(ホイルシリンダーの内径よりカップゴムの接触部(リップ)の径が大きい)というものがあり、カップがホイルシリンダーに密着している状態を作る構造的に大事なものです。
そして残圧保持弁はブレーキを踏まない状態でもブレーキ配管に油圧を少し残すことにより、シリンダーカップのリップ部分をさらにホイルシリンダーに密着させる役目があるのです。
残圧保持弁の中身
このおかげでホイルシリンダー内のカップは加圧(ブレーキを踏む)、減圧(踏んだブレーキを離す)を繰り返しても、シリンダー内にはいつも油圧が残り、リップが締まる(密着する)のでオイルが外に漏れないようになっているとの事。
(最近は漏れの程度によってはワイプアウト現象という解釈もある)
そんな訳でホイルシリンダーの処置のみならず、マスターシリンダーキットの交換も促されていたのです。
おっさんが、かつて務めていた指定工場(昔は東指)では運輸局の監査でマスターシリンダーキットの要交換を指摘される(昔の話)事もありましたが、今はあまりやらなくなった作業です。
昔は当たり前で交換しなければならない車検キットなるものもあり、車検メニューは大変だった事を思い出します。