ルームハンティング | 019|まる・いち・きゅう

019|まる・いち・きゅう

丸い地球をまわりながら考えていることの記録

ルームハンティング。こうカタカナで綴るとまるで狩りか宝探しの遊びのようだがこれはつまり部屋探しのこと。アパートを借りたり買ったりするときに不動産屋をまわるのと同じことだ。ちなみに英語で就職活動はジョブハンティング。ハンティングは何かを探し求める行為を指す時に使われる。

毎年今頃、Newnhamの生徒の最大の関心事はこのルームハンティングとなる。自分の次年度の部屋はどこか、人気の一角はどこかなど学生間の会話はこの話題でもちきりとなる。

ケンブリッジにおいては各カレッジの持つ権限が大きいというのは折に触れて書いてきたが、学生へ部屋をどう割り当てるかも例外ではない。私も他のカレッジに所属する友達と話をしていて初めてわかったのだが、払う値段によって選べる部屋が変わるという合理主義的なカレッジから成績順に部屋を選ぶという実力主義的なカレッジまでその制度は驚くほど異なる。

私の所属するNewnhamは平等主義というかなんというかどの部屋を選んでも同じ値段を払うのが特徴だ。にも関わらずカレッジにはどれ1つとして同じ部屋はなく、間取りは同じでも家具や装飾が違ったり絶対にその部屋特有の何かがある。そのような中どうやって部屋は割り当てられるのか。最初の1年は入学時にカレッジ側から割り振られた部屋を使う。自分で部屋が選べるようになるのは従って2年目の部屋から。1年次の終わりになるとカレッジ側によって抽選が行われ、その結果自分に与えられた番号に応じて好きな部屋を選ぶ。3年目の部屋を選ぶ際にはこの順番がひっくり返るため、例えば1年生の抽選で1番だった人は2年生で3年目に使う部屋を選ぶ際に一番最後となる。部屋選びは2年生(3年次の部屋を選ぶ人たち)から始まり次に1年生、余った部屋が次年度の新入生に渡されることとなる。

Newnhamの部屋はどの一角を選ぶかでも、水道がついていたり、冷蔵庫がついていたりと条件が異なる。またカレッジの敷地はそれなりに広いため図書館や食堂など、どのような施設の近くに身を置きたいかも選ぶ際のポイントとなり、個人の趣向が大いに反映される。

私は今年38番を与えられ、念願かなって昨年から密かに狙っていた部屋を選ぶことができた。飾りとしての暖炉(使用不可)と、一人がけのソファー、さらには弓形に張り出した出窓がついている。水道も冷蔵庫もないが大満足である。気がつくと家具の配置や装飾を考えている自分にまだ半年も先のことだと言い聞かせてばかりいる今日この頃である。

(「SAITAMAねっとわーく」4月号より)