知ることは超えることへの第一歩 | 019|まる・いち・きゅう

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丸い地球をまわりながら考えていることの記録

今日からまた講義が始まった。
気持ち新たに頑張らねばと思っていたところにとっても励まされる、刺激的な文章に出会った。

知ることは超えることへの第一歩である。現代とは常に歴史の果てにある時空であり、現代に至る戦争と平和の力学を知ることなくして現代から未来に至る平和を考察することはできない。とすれば、すべての歴史は現代史であると宣言するB.クローチェに倣って現代への問題意識で歴史を照射し、戦争を克服するための糧として歴史を現代に活かしていく努力が必要であろう。これほどまでに戦争を繰り返してきた人間社会を思えば、戦争の解明が平和の構築に直接的に役立つことはないかもしれないが、平和は無知から生まれ出づることはできない。

(猪口邦子著「戦争と平和」より)

 毎日が宝探し

私は特に最初と最後の一文が好きだなぁと思った。
「知ることは超えることへの第一歩である」
「平和は無知から生まれ出づることはできない。」
凛とした、キレのある文。
学者として「知」の開拓をしてきたからこその言葉だと思った。

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知らないで「超え」ようとしてしまったり、知らなくても何かを生み出せると思ってしまうのはよくあること。
知ってても何も超えられないし、何も変わらないと思ってしまうこともあるはず。
でもこの文章を読んで、やはり「知る」ことを怠ってはいけないし
「知る」ことは強みになるのだと再認識した。

大学という過去・現在の英知が集まる場所で、思う存分「知る」という作業をしていきたいと思った。
さて、私の今年の授業は3つ。簡単にご紹介。

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World Politics
国際政治。1学期目は「近代国家の分析」ということで安全保障、政治経済、ガバナンスの三本柱に特に焦点を当てて現在の国際政治が抱える問題、学問上の議論を学ぶ。2学期目はケーススタディを通して1学期に学んだことをより掘り下げていく。ケーススタディにはルワンダの大虐殺、コソボの独立や2010年のアイスランド噴火などが含まれる。

Social Theory
社会学理論。これは政治思想の社会学版のようなもの。これまで様々な学者が提唱してきた社会学理論を学ぶ。まだ始まっていないのでわからないのだが近代社会とそれまでの社会の違いなどにも注目して社会学的に社会を分析していくようだ。

Inquiry and Analysis
これは唯一年度末の試験ではなくて随時提出する課題によって評価される授業。方法論、統計、プロジェクトの三本立て。方法論では心理学や社会学で使われる研究調査の方法について学びそれらについて批判的に分析したレポートを書く。統計ではヨーロッパに関する様々な項目が盛り込まれた膨大なデータセットを与えられ、自分の興味に応じて項目を選び適した統計分析を行いながら統計からみえてくる社会の傾向を導き出しレポートにまとめる。この授業の半分を占めるプロジェクトは大学の教授や博士課程の学生が行っている研究の一部に携わりながら自分なりにその研究の中で更に課題を設定し研究をするというもの。私は日本の子どもの社会認識力の発達などについて調べている心理学の博士課程の学生についてプロジェクトを行う予定だ。ただ私が行うプロジェクトは日本の親の子育てに関する態度に焦点をあてることになりそうだ。アンケートとインタビューと二つの異なる方法で得たデータの相関性を調べる予定だ。

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