今朝3時のアジア太平洋域の地上天気図では、カムチャツカの南にある低気圧から長大な前線が伸びており、本州南海上から沖縄付近を通って華南に達しています。この長大な前線の原因の一つは日付変更線付近にある太平洋高気圧が西への張り出しを強めていること、もう一つは黄海に高気圧があってこれが太平洋高気圧との間で前線の活動を強めていることです。この黄海の高気圧はJAMSTEC(海洋研究開発機構)の茂木耕作さんによって「黄海高気圧 」と名付けられて、梅雨前線の成因の一つとして提唱されているものです。早くも梅雨時の様相が現れてきたことは注目すべきで、実際に今回の1か月予報でも、日本の南海上で前線が停滞しやすくなる予想が出ています。


 ちなみに添付のアジア太平洋域の天気図は、皆さんが見慣れている日本周辺域の天気図より広い範囲をカバーしています。この天気図を見ないと日付変更線付近の高気圧の位置が分かりませんし、冬季は大陸の奥地で出現するシベリア高気圧を監視するのに重宝します。ぜひ参考にしてください。


地上天気図






 さて、木曜日に更新されている気象庁の1か月予報によりますと、今後も日本の南海上で太平洋高気圧の西への張り出しが強いです。そのため前線が本州付近に停滞しやすく西・東日本の太平洋側を中心に多雨傾向の予想です。全国的に気温も高めで、周期的な天気の変化ですが菜種梅雨から走り梅雨の空模様になる日もありそうです。以下に、気象庁から発表されている1か月予報の概要と根拠についてまとめてみます。


気象庁HP 1か月予報 (地方、要素、予報期間を選択してくださいね)

※詳細予報資料はすべてSunny Spot専門天気図 にあります。


1週目(4/9-4/15)

 平均的に見ると平年より気温は高めですが、11日から12日にかけて一時的にこの時期としては強い寒気が入ります。上下層とも寒気が強く、11日は上空寒気の影響で北日本を中心に大気の状態が不安定になり荒れた天気になる恐れがあります。12日朝は放射冷却の効果もあって冷え込みが厳しく、東・西日本の平野部でも霜が降りる所がある見込みです。12日に移動性高気圧が通過した後、13~14日にかけて低気圧が通過して天気が崩れます。再び15日に高気圧が通過し、16日は西の方から雲が広がります。詳細のお天気の流れは明日の週間予報の記事で解説いたします。


2週目(4/16-4/22)

 日本の南海上でサブハイ(上空の亜熱帯高気圧)が強まり、地上の前線帯と不明瞭化しながら日本海から北日本付近まで北上。そのため2週目は前線の影響を受けにくく、沖縄・奄美は平年より曇りや雨の日が少なく、その他の地方では平年同様の周期的な天気の変化です。ただし南海上で高気圧が強いため、低気圧が通過する時に高気圧縁辺の湿った空気が入ることによって降水量が増える可能性があります。気温は全国的に高温傾向で、4/13頃からの約1週間について北海道を除く地方で高温に関する異常天候早期警戒情報が出ています。


異常天候早期警戒情報


3・4週目(4/22-5/6)

 200hPa流線関数はやや西谷傾向、850hPaと地上では日本の南海上で太平洋高気圧が強いです。そのため日本付近は、沖縄・奄美と西日本を中心に高気圧縁辺の暖かく湿った空気が入りやすいです。そのため東日本太平洋側、西日本、沖縄・奄美は多雨傾向の予想です。前線の位置は沖縄・奄美付近から本州南岸付近と思われます。




【地上平均気温】

左から1週目、2週目、3・4週目の予想

暖色系の色が濃いほど平年より気温が高くなる確率が大きい

寒色系の色が濃いほど平年より気温が低くなる確率が大きい


地上平均気温



【降水量・日照時間】1か月平均


降水量・日照時間1か月



【850hPa気温推移】1か月予報

左上:北日本、左下:東日本、右上:西日本、右下:沖縄・奄美

ピンク:平年より2℃以上高い、青:平年より2℃以上低い

太線:平均、細線:各メンバー(個々の数値予報の結果)

中央の縦線が4月6日で、その左側は実況、右側は予想


850hPa気温推移