千島列島付近には500hPa(上空5100m)で-40℃の寒気を伴う寒冷渦(寒気を伴う上空の低気圧)が停滞、その直下には発達した低気圧があって日本付近は冬型気圧配置が続いています。今朝未明に気象庁から「暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第3号」が発表されており、「北海道や北陸では15日にかけて暴風雪や高波に警戒、東北地方では14日夕方にかけて大雪に警戒」を呼びかけていますので、暴風や猛吹雪、大雪による交通障害、高波にご注意ください。


 今朝8時の気象衛星画像で、北海道の北東で渦を巻いているのが寒冷渦とその直下の低気圧です。その南では寒気の流れ込みによる筋状の雲が北海道から東シナ海まで明瞭で、太平洋側まで寒気が流れ込んでいる様子がよく分かります。


気象衛星画像



 拡大してみますと、済州島の下流には寒気が強い時によく現れる「カルマン渦」が見られます。朝鮮半島のすぐ南にある済州島から南東方向に伸びる雲の中に、小さな渦がいくつかできているのがその「カルマン渦」です。


カルマン渦





 さて、昨日の金曜日に気象庁から発表されました1か月予報資料によりますと、当初の寒冬傾向の予想が少しトーンダウンして年末年始の天気は気温も含めてほぼ平年並みになりそうです。先週までは平年より雪が多くなりそうだった北アルプスなど長野県北部も、今回の予想では平年並みの降雪予想に変わりました。ただし現時点では2週間以上先の予想は予報のバラツキが大きく、今後変わってくる可能性があるため、まだ参考程度の情報として捉えた方が良さそうです。


1か月気温予想

関東甲信


 まずは気象庁の週間予報資料 に基づき、1か月のお天気のシナリオをまとめてみました。地上平均気温、850hPa気温推移と併せてご覧ください。

気象庁HP 1か月予報 (予報期間を選択してくださいね)

※詳細予報資料はすべてSunny Spot専門天気図 にあります。



1週目(12/14-20)

 東シベリアのリッジ(気圧の尾根)と500hPa高度正偏差(平年より気温が高いため空気が膨張して500hPa高度が上昇)が顕著になって、日本付近も高度負偏差から正偏差に変わります。来週初めまでは冬型気圧配置が続きますが、18日頃に南岸を通過する低気圧が南から暖気を運んできます。低気圧通過後の週末は、再び冬型気圧配置になります。気温の予想は、平年より寒気の影響が弱いため北日本は高め、前半の下層寒気の影響で東・西日本は低めの予想になっています。詳細のお天気に流れは、明日の週間予報の記事で解説いたします。


2週目(12/21-27)

 東シベリアからオホーツク海にかけて、リッジと500hPa高度正偏差が持続、北日本を中心に寒気の影響を受けにくくなります。地上では冬型気圧配置は平年並みですが、寒気の影響を受けにくいため北日本は気温が高めの予想。その他の地方では、ほぼ平年並みのお天気の予想になっています。 


3・4週目(12/28-1/10)

 850hPa気温推移にも現れていますが数値予報のバラツキが大きく、予報の信頼度が低いです。北日本を中心に、高温側、低温側どちらにも予想が変わる可能性があります。東日本以西は、西部太平洋熱帯域の対流活動が活発なことにより日本付近の偏西風が南に蛇行する可能性を考慮して、平年よりわずかに低温寄りの予想になっています。全般的には予想のバラツキが大きいため、気象庁の予報はほぼ平年並みのお天気を見込んでいます。



【地上平均気温】

左から1週目、2週目、3・4週目の予想

暖色系の色が濃いほど平年より気温が高くなる確率が大きい


地上平均気温



【850hPa気温推移】

左上:北日本、左下:東日本、右上:西日本、右下:沖縄・奄美

ピンク:平年より2℃以上高い、青:平年より2℃以上低い

太線:平均、細線:各メンバー(個々の数値予報の結果)

850hPa気温推移




 1週目の北半球500hPa天気図を見ると、どうも東シベリアのリッジと日付変更線付近のリッジによって東シベリアからアリューシャンまでが鞍部となって、北からの寒気の南下をブロックしている感じです。そのため北極の寒気は北米大陸に流れてしまって、北米は大寒波に見舞われているようです。(米に寒波襲来 サンフランシスコで4人凍死 )


500hPa天気図1





 3・4週目も若干この傾向が残っていて、オホーツク海に高度正偏差の中心(+マーク)がありますが、平年からの偏差は小さいです。また、ベーリング海の北にもリッジと高度正偏差の中心がありますが、2週目(図は割愛)はここにブロッキング高気圧があって、文字通り北からの寒気をブロックする予想になっています。


500hPa天気図34





 数値計算結果のバラツキを表すスプレッド図(ハッチング部はバラツキが大きく信頼度が低い)によると、サハリン付近のトラフとベーリング海付近のリッジの予想のバラツキが非常に大きいです。ベーリング海付近のリッジが予想ほど持続しなければ、北米だけでなく日本付近にも寒気が入ってくると思われます。


スプレッド



 年末年始の予想は、1か月予報の2週目になる来週の金曜日の気象庁HPの更新まで待った方が良さそうです。果たしてどうなるのか楽しみです。

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