わたしは24年前にお母さんになりました。「目がキラキラ た情緒の安定した子どもを育てたい」と思い、色々な子育て法を試してみました。子育ては 母親が先導・指導してあげるものだと思っていたのです。

わたしの持っているものをすべてこの子たちに与えてあげたら、子どもはもっと素晴らしい人生を歩めるだろう。親子で幸せの積み重ねが可能だと思っていました。

「親業」を読んで目からウロコ。それはわたしが自分の親に求めていたかかわり方でした。
「これこれ、こんな風に言ってくれたら、わたしはもっと自信をもって能力を伸ばしていけたのに~」

社会人時代、自分の中に「自尊感情・評価を他に委ねない生き方」が欠けていると気づきました。他人の目が気になる自分でいる限り、真の幸せにはなれないのです。「自尊感情を傷つけない子育て」こそが子どもを効果的に伸ばす方法だと確信しました。


自尊感情は、自己肯定感・自尊心・セルフチュームとも言われます。根拠のない自信?自分はこのままで価値のある人だという自信です。人間の根っこのところ、深いところにあります。

他人にはコントロールできません。自尊感情の低い子に、コーチ、アドバイス、激励、賞賛などしても効果がないのは、他人からの操作ではどうもできない領域にあるからです。


他人どころか自分でもどうもできない領域。自尊感情が乏しいと大人になっても苦しみます。わたしもとても苦しみました。だからとても大切なのです。


わたしが「親業」を好きなのは、この、深い部分にある自尊感情を大切にしているからです。相手の深い領域へは踏み込まず、無理に変えようとしません。自尊感情の低い子は 「責められない」「誘導されない」「変わらなくてもいい」と思えて初めて安心して本心を伝えることができます。慰めや同情ではダメなのです。持ち上げられても、そんなことは一時的なものだと見抜いています。

でもしっかり向き合う。面と向かってパシッと言っても、尊重の精神があれば自尊心は傷つきません。信頼を感じてかえって嬉しく感じることもあります。「対等な立場」でかかわっている事実が「個人として信頼・尊重されている」と実感できるのです。そうすると少しずつ自分に自信が持て、自尊心が高まります


上にも下にもしない。人として真に「対等」であるということ。


「この人が本当のところ自分のことをどう思っているのか」なんて、子どももには、わかっちゃうのよね。特にお母さんの気持ちには超敏感だから。アドバイスをしたり、目標を定めたり、良かれと思っていても、どこか操作的である限り親の「上から目線」と「下心」がミエミエで逆効果になることもあります。


コーチやアドバイスがダメだといっているのではありません。コーチやアドバイスのできない時があり、その時に効果があるのが「親業」のコミュニケーションです。いい関係があればこそ、コーチやアドバイスも生きてきます。たとえコーチが辛くても、いい関係性があれば耐えられます。人間関係の基礎となるのが関係性。自尊感情が高いとお互いを尊重しあい、成長しあえるいい関係が築けます。


わたしは自分がコントロールされると感じると、自分自身を否定されたように感じる敏感なタイプだったので、この考え方にはとても納得しました。そして、自分の子育てにとても役に立ちました。


この辺りは、判断がムツカシイと思われるかもしれません。でも、本当にちょっとしたことです。だって子どもの自尊感情を壊すと知っているなら、そのことばは選ばないでしょう。ちょっとした言い方って、本当に大切です。微差が大差。侮れません。

そして大人はもう立場が違うので子どもの時の感性を思い出すことはできません。だから学んでほしいのです。