親分カラスのつぶやき -5ページ目

親分カラスのつぶやき

いろいろ人生大変だけど、

生きてりゃ何かいい事もあるだろう。

オレはカラス、親分カラス。

だけど人間の気持ちは理解できる。

オレはオレなりに苦しみを乗り越えて今がある。

アンタも大丈夫。明日はきっと晴れるだろうよ。


今日はちょっと趣向を変えて、恋愛談義をしよう。



おっと・・・甘く見てもらっちゃ困るぜ。


オレにだって、恋バナの1つや2つはあるんだぜ。


もう昔々の話だけどな・・・


いつかはその話もしよう・・・



今日はオレの古い友人の話だ。


そいつが恋をしたんだ。



そいつはその相手の事を、とても深く愛していた。


だけどヤツは、結局最後はフラれてしまうんだな。



ヤツの落ち込みようときたら、それはそれは大変なものだった。


かける言葉も無いくらいにな・・・



それでもある程度は、時が解決してくれる・・・ある程度はな。



1年近くが過ぎて、オレはそいつに聞いたんだ。



―どうだ? もう傷は癒えたのか?



そいつは言った。



―傷が癒えたかって?


あれから、ずい分苦しみは和らいだ。


傷口も・・・


だけど、相手の事を忘れたわけではない。


1年近くが過ぎても、未だに忘れられない自分がいる。


いったいいつになったら忘れる事が出来るのか?


もしかしたら、死ぬまで相手の事を忘れる事が出来ないのかもしれない。


どうしたらいいのか・・・未だにふと相手の事を考えてしまう。



オレはヤツに言った。



―上等じゃねえか。


忘れる事はないぜ。


なあ、一生忘れられないのだとしたら、


これはもう持病だと思って、一生付き合っていったらいいさ。


ヤツとの素晴らしかった思い出を、その都度疼く傷痕だと思って、


ずっと、大事にしたらいい。


別に無理して忘れる必要なんてないのさ。


オレにもある・・・


・・・別に恋愛に限った事じゃない。


様々な箇所に様々な持病を抱えて生きている。



それで、いいんじゃないのか。


生きていくって、そういう事じゃないのか。



大人はみんな持病持ちだ。



友人は久々に、ごくごく自然な笑顔を見せた。



そういう事だな・・・ヤツは呟く様にそう言うと、ゆっくり空を仰いだ。




そういう事だぜ。




オレもアンタもみんなみんな、大人ってヤツは持病を抱えて生きている。