今日はちょっと趣向を変えて、恋愛談義をしよう。
おっと・・・甘く見てもらっちゃ困るぜ。
オレにだって、恋バナの1つや2つはあるんだぜ。
もう昔々の話だけどな・・・
いつかはその話もしよう・・・
今日はオレの古い友人の話だ。
そいつが恋をしたんだ。
そいつはその相手の事を、とても深く愛していた。
だけどヤツは、結局最後はフラれてしまうんだな。
ヤツの落ち込みようときたら、それはそれは大変なものだった。
かける言葉も無いくらいにな・・・
それでもある程度は、時が解決してくれる・・・ある程度はな。
1年近くが過ぎて、オレはそいつに聞いたんだ。
―どうだ? もう傷は癒えたのか?
そいつは言った。
―傷が癒えたかって?
あれから、ずい分苦しみは和らいだ。
傷口も・・・
だけど、相手の事を忘れたわけではない。
1年近くが過ぎても、未だに忘れられない自分がいる。
いったいいつになったら忘れる事が出来るのか?
もしかしたら、死ぬまで相手の事を忘れる事が出来ないのかもしれない。
どうしたらいいのか・・・未だにふと相手の事を考えてしまう。
オレはヤツに言った。
―上等じゃねえか。
忘れる事はないぜ。
なあ、一生忘れられないのだとしたら、
これはもう持病だと思って、一生付き合っていったらいいさ。
ヤツとの素晴らしかった思い出を、その都度疼く傷痕だと思って、
ずっと、大事にしたらいい。
別に無理して忘れる必要なんてないのさ。
オレにもある・・・
・・・別に恋愛に限った事じゃない。
様々な箇所に様々な持病を抱えて生きている。
それで、いいんじゃないのか。
生きていくって、そういう事じゃないのか。
大人はみんな持病持ちだ。
友人は久々に、ごくごく自然な笑顔を見せた。
そういう事だな・・・ヤツは呟く様にそう言うと、ゆっくり空を仰いだ。
そういう事だぜ。
オレもアンタもみんなみんな、大人ってヤツは持病を抱えて生きている。