親分カラスのつぶやき -6ページ目

親分カラスのつぶやき

いろいろ人生大変だけど、

生きてりゃ何かいい事もあるだろう。

オレはカラス、親分カラス。

だけど人間の気持ちは理解できる。

オレはオレなりに苦しみを乗り越えて今がある。

アンタも大丈夫。明日はきっと晴れるだろうよ。


オレの話をした事があっただろうか。


オレはカラス。


かつては、何十羽の大集団を束ねていた。


周りからは親分と呼ばれ、恐れ敬われていた。



あの頃のオレは、今よりはるかに若く体力も充分にあったし、


血気盛んで野心家だった。



いつも的確で素早い判断をし、まわりの奴らからは全幅の信頼を得ていた。



今はこうして人間と親しくなって、いろんな連中が悩みを相談しに来たり、


愚痴を言いに来たり、そんな風になってしまったけど、かつてはまったく逆だった。



人間達とは敵対関係で、いつも小競り合いをやり合っていた。




ある日、些細な事から本当に大がかりな戦いに発展してしまったんだ。



”人間対カラス族”



あの戦いは壮絶だった。


どんなに頑張っても、所詮オレ達はカラスだ。


限界がある。


オレもあの時の戦いで羽を痛めてしまって、


今では満足に飛ぶことの出来ない身体になってしまった。


そんな事はどうだっていい。



だけどなあ、憎しみの気持ちを持つもんじゃない。


憎しみからは何も生まれない。


最終的には破滅するだけだ。


解っている・・・頭では解っていた。


この戦の先に待っているのは、破滅だけだって。


だからすぐにでも辞めれば良かったんだ・・・そんな無益な戦いなんて・・・




でも、オレの心が邪魔をした。


あれは、何だったのだろう。


憎しみは強かった。


しかし、きっとそれ以上にオレを突き動かしたのは、


意地・・・リーダーとしての意地であり、プライドだった。



くだらない事さ、今にして思えば・・・


そんな事の為に、多くの尊い仲間の命が犠牲になった。



今は解る、自分がどうするべきだったか・・・


だけど、その渦中にいる時は、気が付かなかった・・・


いや、気が付いていたけど、無視していたんだ、その感情に。



なぜならオレは誇り高きリーダーで、一旦やり始めた事は、


最後までやり遂げるのが、オレのスタイルだったからな。



愚かだった。引き際を誤ったんだ。


そうして多くの仲間を失った。



なあ、アンタ。


辞める勇気も時には大事だぜ。


いや、むしろそっちの方が大変なんだ。


だけどなあ、もしアンタの心の奥底で “助けてくれ!もう無理なんだ”


って悲鳴が聞こえたなら、その心の声を素直に聞くのも一つだぜ。



辞める勇気は大変かもしれないけど、どうしようもない事って人生にはあるからな。


引き際も大事だってこと。


無様だろうがみっともなかろうが、そんな事どうだっていいじゃないか。


世間からどう言われたって、アンタには強い見方がいる。


アンタの事を一番知って理解している、アンタ自身だ。


だから、もし迷っているなら、ほんのちょっとでいい。


立ち止まって目をつぶって、心の声を聴いてみな。



何て言ってる? それがアンタの答えかもしれない。