この時期、お寺は菜の花で満たされていた。
お寺の大檀那であった利休さんの命日に菜の花がお供えされるのだった。
ボクは千葉県出身だから菜の花には因縁めいたモノを感じる…千葉県の県花は菜の花なんですよ。
去年の冬に歩いた、四国でも所々先取りされた「春」の証しとしてあの花は咲いていた。
お寺では、お供えにあぶれた花が大きな水盤に入れられて、お寺の至る所で花入れに入ったそれは殺風景なお寺の中に「春」の色を届けてくれた。
一方、暮れ、お正月とお寺では「頂き物」を中心に生活をする事になる。
なぜなら畑で作物を作らない為に、いや作っていてもメインとなる食材がどうしても乏しくなるのは、ちょうどこの季節だった。
そんな時、目にとまったのは菜の花だった…
試しに湯がいて、「辛子和え」にしてみたり「おひたし」にしてみたり…
すると、これが美味いじゃないか!
それ以来、ボクらは菜の花に夢中になった。
多分一般人が一生のウチで食べるであろう?菜の花の量をはるかに超えた量を食べたと思う。
究極の頂き物なのだ!
菜の花の色は「春」の色。
時々、素で「美味しそう…」と言ってしまう。