誰かの手によって、必ず明らかにされるんですよ。

だから、いつも 自分の仕事には、細心の注意をしながら、いつか 他のどんなリペアマンに見られても、恥ずかしく無い仕事をしなければ いけません。


今回は、最低な仕事を見せつけられる事となりました。


よくもまぁ この仕事ぶりで、お客様から お金を頂戴出来たものですわ!

ほんま、呆れ返りました。

はっきり言って“詐欺”ですよ!!



ギブソン レスポール・ジュニア。

リアのピックアップを以前ご紹介したSGと同じく、ディマジオのP-90タイプのハムバッキングに交換されていました。

で、そのピックアップを購入された お店で、取り付けもしてもらったそうです。


しかし、お客様 ご自身でピックアップの高さを上げようと ビスを緩めたら、、、ピックアップが外れたそうです。


実際に見てみますと、外れたビスは、簡単に抜けてますね。

リペア親父の本音-jr11.jpg


ポールピースは、かなり上がってます。(これは、ピックアップ自体が上げれないので、ポールピースの高さで お客様が調整された、苦労の跡ですね。)


何故、こうなるか?

...答えは簡単です。

オリジナルのピックアップは、真ん中あたりをビスで固定するしくみですが、ディマジオは 両端にビス穴があります。

抜けてしまったビスは、1弦側。

つまり、こちら側に ビスが噛まない“何か”があるからですね。

その“何か”は、コレです。

リペア親父の本音-jr012.jpg


ピックアップの配線が通るためのミゾ。


リペア親父の本音-jr013.jpg


深さは、約5ミリ。
つまり、本来は この5ミリの範囲にビスが噛んで、しっかり安定しているべきなんですね。

しかも、よく見ると このビス穴の跡、、、

リペア親父の本音-jr015.jpg


穴と言うより、ただのヘコミですよね。

よくこれで 止まっていた物ですよ。

ネジ山 1周分も開いていないでしょ。

あまりのひどさに、一瞬 手が止まりましたもん。



では、検証してみましょうね。

なかなか、一般の方々は 見る機会が無いでしょうから、よ~く 見て行ってちょうだい!!

そして、みなさん自身が いい加減なリペアマンに騙されない様に、しっかりと目に焼き付けておいて下さいね。


リペア親父の本音-jr016.jpg


単純に、ビスをこのミゾに立ててみますと、ピックガードの上からビスの頭の下側まで、約3ミリ。

つまり、ビスのネジ山が 全く木に噛んでいない状態であっても、ピックガードから約3ミリしか、ピックアップが上がらないと言う事です。

実際には、ネジ山を木に噛ませると、最低でも2~3ミリぐらいは必要ですので、ピックアップとピックガードが ほぼツライチになると言う事ですね。

それでは、全く使えません。


こんな事は、別に何の知識も、計測工具が無くても ビスをこの様に置いてみれば、素人でも解る事ですよね。


次に、修正作業をするに あたり、一旦ピックアップを外そうと思い、ポットのハンダ付けを見ると、、、

リペア親父の本音-jr014.jpg


ピックアップのコールドの線とアースの裸線が、ネジってポットにハンダ付けされているものの、ケバケバに線が剥き出しになっているわ、予備ハンダが流れきっていないわ。。。

これでは、ちょっと引っ張ったら、簡単にネジリがほどけるし、ハンダも“天ぷら”(見た目はキッチリ着いている様でも、線にハンダが溶け込んでいないために、空洞になっている)なので、すぐに外れます。


これだけの『ド素人 仕事』を見せつけられて、ウンザリでしたわ。

お客様を馬鹿にするにも程がある!!



では、このピックアップを取り付けるには、どうするかと言いますと...

一番 安全で簡単な方法をご紹介しましょう。


ビス穴の位置に大きめの穴をボール盤で垂直に開けます。

リペア親父の本音-jr017.jpg


この穴径と同じサイズの丸棒を接着します。

リペア親父の本音-jr019.jpg


たった これだけの作業です。

接着剤の乾燥時間を入れても、1時間もあれば十分です。

ピックアップの線は、この丸棒の隙間に楽に通りますから、全く問題は無いですよ。


で、リアピックアップはフロントに比べて高めにしますから、ビスの下側にスプリングを入れますと ぐらつきやすくなりますので、ウレタンのクッションを敷いて安定させます。


配線も完了して、ポールピースの高さも元に戻せば こんな感じ。。。

リペア親父の本音-jr021.jpg


何のストレスも無く、上下させれる様になりました。

ちなみに、、、

リペア親父の本音-jr020.jpg


ボディー表面から、約10ミリまで 上げる事に成功しました。


みなさん くれぐれも、悪徳リペアマンに騙されない様、ご注意下さいまし。