昼に花ちゃんから電話があり、「駐車場まで降りてきて」と言う。
ランチがまだだったので秘書には「ランチへ出てくる」と外へ出た。
ぼくのランドクルーザーの横に立っている花が見えた。気がついた花ちゃんが手を振る。
なんか…持ってる。緑色の筒状のものだ。
ホテル裏の駐車場を走った。
「アレクスー」
花が笑ってる。
「花ー、それなにを持ってるんだー?」
走って近づき、それが、やはり、竹筒だと、判った。
「竹だよ!」
「竹、だね」
はぁはぁと荒い息を吐くぼくの傍らで、花ちゃんはドや顔をしている。
「いい竹でしょう」
ほんとうに取ってきたんだ、竹。
「これは一部分なんだけどね。ジョイントするやり方がわからなくて。一部カットして持って来たの」
「ジョイントって。そんなに丈の長い流し素麺にするのか?」
「うん。わたしが階段の上から流して、アレクスが下で食べるの」
うちは3階建てで階段がわりと長い。
「花」
「なに?アレクス」
「ぼくは花ちゃんとふたりで食べたい。花ちゃんが流している間、きみは食べられないじゃないか」
「そのときはアレクスが上へ行って流す。ふたりでかわりばんこに食べるんだよ」
「えぇ…?」
とりあえずEVIANへ行き、花ちゃんにステーキサンドとアイスティーを頼み、ぼくはサラダサンドとコーヒーを注文した。
花ちゃんは朝食もそこそこに出かけたのでおなかがへっているみたいだ。ぼくのサンドイッチも半分分けた。
「な。流し素麺は旅行先で食べよう。どこか探して、あるだろう?」
「えー、イヤー。おうちでふたりっきりで食べたい」
これは…、妻に流し素麺の実現をあきらめさせる名案が浮かばない…。
手早くランチをすませ、モロゾフでチーズケーキを購入した。それから車の後部に竹と自転車を乗せ、花を家まで送る。
助手席に座り、「おいで~、きょうもラスカル、ぼくの庭へ~」と花ちゃんは歌う。CDの大杉久美子さんといっしょに歌っている。花ちゃんは子どもの時から大杉久美子さんの大ファンなのだ。
流れで『ロックリバーへ』に入ると、花ちゃんは必ずぼくに少年合唱隊・Saint Mary Children Chorusのパートを歌わせる。妻にこづかれる前に歌う準備をしているので、いつもちゃんと役目は果たせている。
少年合唱隊のパート担当→〔訳と歌・Alexander Anderson〕
Hidy Hidy Little Rascal
Like the Wind, O Little Rascal
Hidy Hidy, My Little Rascal
Come with Me, O Little Rascal
Hidy! Here Rascal
やぁ おチビのラスカル
風のように ぼくの小さなラスカル
やぁ 親愛なるラスカル
いっしょにおいでよ ぼくの小さなともだち
やぁ ここだよ ラスカル
年の離れた若い女房ってのは、おもしろいよ。思いがけないたのしさがある。
ちょっと忙しくなるけどね。
さて、流し素麺案件。どうするかな。
ぼくは普通に食べたいけどね。
