ちょいと(笑)ブログをサボっている間に我がパートナーぷりんは7歳になりました。
シニアにちょっと踏み込んだわけですが、犬の学習能力には驚くばかりです。
一緒に生きてきた仲間は、人・犬という種族を問わずチームであり、家族だと強く実感しています。
そのチーム・家族が私の言う処のパック(群)だと考えて頂ければ幸いです。
パック(群・家族)とは個性を抑えるものではなく、むしろその個性をより活かす「拡張された自己」の様なものです。
このことについては、いずれ別項に書きたいと考えています。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160215/20/oxalis0207/43/77/j/o0728096013568228572.jpg?caw=800)
◆本文
Ⅲ 行動の観察から
この子をデイケアでお預かりして、先ず気が付いた特異な行動が「水のがぶ飲み」でした。
何度も止めなくてはならない程、大量の水を飲もうとするのです。
そして「あること」に気がつきました。
がぶ飲みの直前、動きを停めしばしフリーズして“戸惑った”ボディランゲージを示したのです。
犬がフリーズした状態とは「何処にも意識が向いていない」状態です。
ここで、馴染み深い「何かを口に入れる」という行動で不安を解消しようとします。
そして、その場で口にできる物が水。
これは、「転移行動の一種なのでは?」と考えました。
通常、転移行動は「地面の匂いを嗅ぐ」ことが多いのですが、
「不安な時にその場にある物を口にした」
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「安心した」
という学習を過去の何処かで「偶然に」してしまい、「不安時には何かを口入れる」という行動を選択するようになったのではないだろうか?
逆に考えれば、
『「何かを口にする」ことで「不安を解消」できる』
ということです。
我々ドッグトレーナーは「古典的条件付け」という手法を使います。
これは「食べ物を次々と口に入れて」苦手な物事への「感情」を変えて行く手法です。
消化に関わる内臓「主に腸」の活動と犬の下半身の活動には密接な関係があり、それはポジティブな感情(=ボディランゲージ)に繋がります。
「食べる⏩排泄する」ということは、動物の生きる基本です。
この「管」に進化の過程でより生存に有利な様々な機能が追加されて来たのです。
ただし、石ころや土等、食べ物では無いモノを食べてしまうと、時にその生存を脅かします。
「何処にも意識が向いていない」状態とドッグトレーニングには、重要な人と犬とのコミュニケーションの問題を含み、ドッグトレーニングの重要性についての示唆を与えてくれるものですが、これについては事項以降に後述します。
Ⅳ マズルガード
根本的な解決ではありませんが、
当面の予防手法として有効です。
幸い、飼い主様はマズルガードに抵抗感無い方で、既に必要に応じてマズルガード使用してお散歩をされていました。
「可哀想」「格好悪い」などとマズルガードの使用を躊躇していたならば、十分にお散歩に行くことも出来ずにもっと異嗜の症状が悪化していた可能性があります。
マズルガードを使用することで、
・不安時に食べ物では無い物を口に入れることを成功させない。
・上記のため、飼い主様が安心出来る。
と主に二点の良いことがあります。
“それ”が物理的に出来なければ「匂いを嗅ぐ」等の別の行動を選択出来ます。
しかし、マズルガードあくまで予防ですので、外した途端に「地面にまっしぐら」となります。
根本的な原因は社会化不足に起因する不安(=興奮)ですが、意識が地面に向き続ける限り屋外での社会化は困難です。
ただし、この子の場合は社会化不足と言っても、
・人⏩OK
・犬⏩OK
・場所⏩NG
です。
ここで私、一週間悩みました。
異嗜は常態化してしまうと、強い執着となり殆ど人の声がとどかないのです。
また、1度地面にロックオンしてしまうとオヤツも「その場だけ」の効果しかありません。
こういった問題は、いわゆるモチベーショントレーニングやボディランゲージによるトレーニングだけでは解決出来たとしても非常に時間がかかるのです。
また、それでは一瞬で異嗜行動を止めれないのです。
石や土を口に入れる前に「前に立ちはだかって」止めるのは不可能です。
とにかく「地面に意識が向いた瞬間」に止めなくてはならないのです。
「やってしまって」からで遅すぎるのです。
長く意識を向けるほど、対象への執着は増します。
また、「不適切に興奮している」ほど「不安」は際立ちます。
ですから、同時に「不適切な興奮」も止めなくてはならないのです。
「不適切に興奮した状態では」何も学べません。
「声が届かなければ何も学べません」
ではどうするのか?
今回はこの辺まで。
まだまだ続きます。
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