薄汚い鼠古い安アパート狭い一室その隅のひとつにずっと光のあたらないところがあってそこにはこの狭い部屋を通り過ぎていった幾多もの人々の存在の欠片が寄り集まって一匹の薄汚い鼠と化しているその鼠は常に翳る隅に溜まる埃を食べて生きているいや埃のように見えたのはここで夢果てた者たちが皆まとっていた失われた時の糸屑だった薄汚い一匹の鼠は今でも翳る片隅で埃のような時の屑を齧り続けている