古い安アパート
狭い一室

その隅のひとつに
ずっと光のあたらない
ところがあって

そこには
この狭い部屋を
通り過ぎていった
幾多もの人々の
存在の欠片が
寄り集まって

一匹の薄汚い
鼠と化している

その鼠は
常に翳る隅に溜まる
埃を食べて生きている

いや
埃のように見えたのは
ここで夢果てた者たちが
皆まとっていた
失われた時の糸屑だった

薄汚い一匹の鼠は
今でも翳る片隅で
埃のような時の屑を
齧り続けている