凍てつく寒さが
引き始めた季節
雨上がりの宵
いまだ空一面
ひっくり返って広がる
灰色に波打つ雲の海に
ポツポツと
深い群青の穴が開いて
その暗い底から
揺らめく燭光の如き
星々が覗き始めた
ためらうように
ゆっくりと下降しつつ
低く飛ぶ飛行機は
その鈍く輝く銀色の翼に
下界に息づく人々へと
星々の慈愛が注ぐ
願いを託されて
今まさにうずくまり
眠りに就こうとしている
翳りゆく家々の屋根に
無骨な脚を出しつつ
願いの雫を散布してゆく
いつしか空一面の
雲の潮も引き
星々を従えた月が
照り始めるとき
注がれた願いは
人々の寝息の中に
ひっそりと
溶け込んでゆく
凍てつく寒さが
引き始めるように