真夜中を流れる
虫の音のレンズで
意識の虚に
幾人もの
先に逝った友の姿を
結像させている詩人がいた
彼の日常は
友たちへの土産話を
集めるのに忙しいと
その詩に綴られていた
今 詩人は既に
向こう岸へと渡り
虫の音に導かれて
旧友たちと共に
数多の土産話や思い出話に
花を咲かせていることだろう
あたかも季節が巡り
寒風に枯れ果てた枝にも
再び新たな芽が吹くかのように・・・
逝ってしまった詩人の
遺した言葉の雫が
しづやかな虫の音の如く
この深い静寂に染み入る夜
月光へと昇りゆく
虫の魂を乗せて
雫は落ちることなく
この重い夜を貫いてゆく
闇に沈む声を
世に結像させるために
✢✢詩集「ウロボロスの夢」を読んで✢✢