境界線上を
ひとりぼっちで歩いている

その境界は緩やかな
グラデーションに溶け込む
広くたなびく霞の如き帯で
分割を表す確かな線は
そこを歩く私には
どこにも見えない

そんな不確かな
線とも道とも
ひとつの世界とも
言えないところを
私は独りで歩いている

そこは
独りで歩くべきところ
常に独りでしか
歩き得ないところ
であることを
なぜか私は知っていて

そしてまた
その境界が朧なもので
遥かな天空から見下ろせば
確かな線に見えても
そこを歩くものには
たなびく霞にしか
見えないことも知っていた

人は誰もが
そんな不確かな薄明の如き
茫漠とした境界を歩いている

その緩やかな
グラデーションを顕す
境界そのものが
人間という存在の
表象であることを
薄々感じ取りながら
たなびく霞がどこかで
他の朧な境界と
ほんの僅かでも
重なることを
夢見ながら
祈りながら

誰もが皆
そんな境界線上を
ひとりぼっちで歩いている