暗闇に沈む
夜の街

遠くを這う終電車も
巣穴へと戻り

案山子のような踏切も
沈黙の内に眠る

そんな夜の街の片隅
狭い部屋のベッドの上で
青白い鬼火の如き
スマホの光に
己が面を浮かび上がらせ

私は見知らぬ人からの
メッセージに
心を震わせている

電子の明滅に刻まれた
喜怒哀楽の調べ

漂う電波に憑依する
感情の揺らめき

それらが私を
眠りの淵から遠ざけて

どこかにある虚構の
どこにもない現実が
私自身を侵食してゆく
淡く仄かな感覚に
今夜も酔いしれている

暗闇に沈む
夜の街

暗闇に沈む
私の存在

暗闇に沈む
鬼火の夜